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第一章 城
「優しい心」のスキルの使い方
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赤ん坊はやることがない。
まともに動けないし、しゃべれないし、1日中寝転がっていて、やることと言ったら、自分の手を見ることぐらいか。
そのためだろう。俺があのマイペース女と話をするのが楽しみなのは。
「やっほー、今日も来てやったよ。リンリンちゃん」
(あのう、ラクタさん、俺考えたんですけど、「優しい心」レベルMaxって威力あるんすか?)
「いきなりその質問? 何言ってんのよ。うまく使えば、超チートスキルよ」
(ちょっと使い方教えてくれます?)
「そうねえ。例えばよ、ある大金持ちの男が、女の子に9999円貢いで優しくしたとするじゃない。あなたは1円貢ぐだけで彼と同等の優しさを彼女は感じることができるのよ。これってすごくない?」
(うーん、すごいような、すごくないような。同等だったら9999円の方になびいてしまうような気が・・・。しかも、微妙に金額がせこくて、実感わかないっす)
(ちょっと待ってくださいね。俺が1万円かけて得る優しさを他の男は1億円かけないと得られない、ってことですか。それってすごいですよね)
「そうよ。ほかにもね、例えば、すごく優しい人がいて、9999年もかけて彼女に優しくして、ようやく彼女が振り向てくれたとするじゃない。あなたはたった1年で彼に追いつけるのよ!」
(わかるような、わからないような。9999年も生きる人いないし。そもそもの大前提で、優しさって決め手になりますかね?)
「ならないわよ。優しいだけの男って、魅力ないのよね。なんだかつまらないでしょう」
(あれ? ラクタさん・・・)
「私は優しいだけの神より、たまには私を傷つけてまでもやり通すような強引さのある神が好きよ」
(「神」って言ってますけど、あなたひょっとして神なんですか? それより、やはりハズレスキルなんじゃ・・・)
「な、なにを言ってるの。ハズレなんかじゃないわよ。でも、優しさを極めた男なんて見たことないから、なかなかいい例が浮かばないだけよ。きっとすごいはずよ。だって、優しさを極めているのよ!?」
(はあ、でもラクタさんには効き目ないですよね)
「ははあ、あなた気づいてないのね。そもそも、私が人ごときのインストラクターになると思う? あなたが優しいから、あなたといて居心地がいいから、毎日来てあげているんじゃない。あなたの優しさパワーは強烈なのよ」
(そんなもんでしょうか)
「そうよ、自信持ちなさいよ」
(でも、そうだったら、あの美人継母も俺の優しさに惹かれていくんじゃないですかね?)
「無理よ。だってあなた赤ん坊じゃない。赤ん坊がどうやって他人に優しく出来るのよ? 前世の知能あるんだから、もう少し考えれば?」
(いや、だって、ラクタさんは俺の優しさに惹かれて、毎日来てくれてるって)
「さあて、5分経ったわ。また明日ね。ごきげんよう~」
あの女、適当なことばかり言いやがって・・・。しかも、何か常識がズレているぞ。スキルの説明の例なんて人間やったことがないって感じだったし。神様に仕える元人間の侍女みたいな人だと勝手に思ってたけど、神様なのかな。
いずれにしても、こんな訳の分からないスキルに頼っていてはだめだ。努力するしかないぞ、俺。
まともに動けないし、しゃべれないし、1日中寝転がっていて、やることと言ったら、自分の手を見ることぐらいか。
そのためだろう。俺があのマイペース女と話をするのが楽しみなのは。
「やっほー、今日も来てやったよ。リンリンちゃん」
(あのう、ラクタさん、俺考えたんですけど、「優しい心」レベルMaxって威力あるんすか?)
「いきなりその質問? 何言ってんのよ。うまく使えば、超チートスキルよ」
(ちょっと使い方教えてくれます?)
「そうねえ。例えばよ、ある大金持ちの男が、女の子に9999円貢いで優しくしたとするじゃない。あなたは1円貢ぐだけで彼と同等の優しさを彼女は感じることができるのよ。これってすごくない?」
(うーん、すごいような、すごくないような。同等だったら9999円の方になびいてしまうような気が・・・。しかも、微妙に金額がせこくて、実感わかないっす)
(ちょっと待ってくださいね。俺が1万円かけて得る優しさを他の男は1億円かけないと得られない、ってことですか。それってすごいですよね)
「そうよ。ほかにもね、例えば、すごく優しい人がいて、9999年もかけて彼女に優しくして、ようやく彼女が振り向てくれたとするじゃない。あなたはたった1年で彼に追いつけるのよ!」
(わかるような、わからないような。9999年も生きる人いないし。そもそもの大前提で、優しさって決め手になりますかね?)
「ならないわよ。優しいだけの男って、魅力ないのよね。なんだかつまらないでしょう」
(あれ? ラクタさん・・・)
「私は優しいだけの神より、たまには私を傷つけてまでもやり通すような強引さのある神が好きよ」
(「神」って言ってますけど、あなたひょっとして神なんですか? それより、やはりハズレスキルなんじゃ・・・)
「な、なにを言ってるの。ハズレなんかじゃないわよ。でも、優しさを極めた男なんて見たことないから、なかなかいい例が浮かばないだけよ。きっとすごいはずよ。だって、優しさを極めているのよ!?」
(はあ、でもラクタさんには効き目ないですよね)
「ははあ、あなた気づいてないのね。そもそも、私が人ごときのインストラクターになると思う? あなたが優しいから、あなたといて居心地がいいから、毎日来てあげているんじゃない。あなたの優しさパワーは強烈なのよ」
(そんなもんでしょうか)
「そうよ、自信持ちなさいよ」
(でも、そうだったら、あの美人継母も俺の優しさに惹かれていくんじゃないですかね?)
「無理よ。だってあなた赤ん坊じゃない。赤ん坊がどうやって他人に優しく出来るのよ? 前世の知能あるんだから、もう少し考えれば?」
(いや、だって、ラクタさんは俺の優しさに惹かれて、毎日来てくれてるって)
「さあて、5分経ったわ。また明日ね。ごきげんよう~」
あの女、適当なことばかり言いやがって・・・。しかも、何か常識がズレているぞ。スキルの説明の例なんて人間やったことがないって感じだったし。神様に仕える元人間の侍女みたいな人だと勝手に思ってたけど、神様なのかな。
いずれにしても、こんな訳の分からないスキルに頼っていてはだめだ。努力するしかないぞ、俺。
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