初体験が5歳という伝説の「女使い」冒険者の物語 〜 スキル「優しい心」は心の傷ついた女性を虜にしてしまう極悪のモテスキルだった

もぐすけ

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第一章 城

継母の凶行

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エーデンリッヒ伯爵家は今の王家に先祖代々仕える名門中の名門貴族だ。

都の西の肥沃な一帯に広大な領地を持つ。親父は女にはだらしがないが、領地経営には辣腕をふるい、治安も財政も安定しており、領民からは名領主との評判だ。王家からの信頼も厚い。

俺は嫡男として15歳のときに正式に後継ぎとなる予定だ。

ラクタさんが話しかけて来なくなってから2年。

5歳になった俺は相変わらず離れで暮らしているが、年に数回、両親にパーティに連れていかれるようになった。

そこでわかってきたのだが、俺のスキル「優しい心」は確かに便利なスキルだ。

俺が優しい口調で話すだけでも「あの子は優しい子だ」「お前は優しい子だ」と褒められ、人に好かれるのだ。

また、「感謝の気持ち」も優れたスキルで、「ありがとう」と謝意を示すと、相手はとても喜び、俺を目にかけてくれるようになる。

この2つのスキルで、対人関係はパーフェクトだ。

しかし、継母には全く効かないようだった。彼女が2人目の男子を出産したとき、自分の息子を伯爵家の後継にしたい継母は、俺に牙をむいて来たのだ。

ただ、俺の周りには俺のシンパがたくさんいる。

なんたって、誰からもMaxで好かれる子供なのだ。

継母が讒言をしようが、勘違いだ、そんなことはない、と誰も相手にしない。

そのため、彼女はついに直接行動に出た。

俺も油断していたわけではないのだが、しょせん5歳児だ。

疲れりゃ寝るだろう。

なんとあの女は、俺を抱っこして離れに帰る途中のセシリおばさんを崖に突き落としたのだ。

エーデンリッヒ城は山の中腹に建てらていて、母屋から離れに行く道の片側は崖なのだが、道も広く、落ちるものなど誰もいないのだが、そんなことはお構いなしに凶行に出たのだ。

落下すること300メートルから400メートル、かわいそうなセシリおばさんは俺を抱きながら守って、自分はあちこちに体をぶつけ、落下の途中ですでに息を引き取っていたが、それでも崖下まで俺を守り続けた。

一番下まで落ちたとき、セシリおばさんのふくよかな体がクッションになって、おれは奇跡的にかすり傷一つ負わなかったのだ。

横に倒れているセシリおばさんはピクリとも動かない。体はあちこちが裂け、血まみれで、顔もあちこちぶつけて悲惨な状態だ。たくさんの血を流して、どんどん冷たくなっていく。

でも、俺はそんなぐちゃぐちゃになってしまったセシリおばさんに抱き着いて、わんわん泣いた。あの女への憎しみが心の底から湧いてくる。あいつ、許しておけるものか!!

<「憎しみの気持ち」を取得しました 女神ラクタの加護が取得を拒否しました>
<「悲しみの気持ち」を取得しました 女神ラクタの加護が取得を拒否しました>
<「憎悪の心」を取得しました 女神ラクタの加護が取得を拒否しました>
<「忘れぬ恨み」を取得しました 女神ラクタの加護が取得を拒否しました>
<「極限の殺意」を取得しました 女神ラクタの加護が取得を拒否しました>
<「仇討ち」を取得しました 女神ラクタの加護が取得を拒否しました>
<「怒りの鉄拳」を取得しました>

そんなとき、あの懐かしい声が、脳内に響いて来た。

「やっほー、リン君。あ、ごめん、そんな気分じゃないね」

え? ラクタさん・・・

「よっ、久しぶりっ、元気してた? あ、セシリさんは大丈夫だよ。もう次の人生始めたから。彼女はあなたを守って死んだので、そりゃあイケメンの神様からいい感じで説明受けてたわよっ」

ははは、この人がいると、悲しい気持ちが消えていくよ。でも、ちょっとだけ、もう少しだけ泣かせてくれ・・・
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