17 / 143
第二章 小屋
従者の契約
しおりを挟む
夜、リンリンとマリが寝静まるのを確認し、フローラは小屋を出た。
悪魔に言われたとおり、十字路の真ん中に立ち、自分の名前と悪魔の名前を交互に3度口ずさみ、指の先をナイフで傷つけ、血を6滴土に垂らした。
すると、フローラの血を含んだ土が、非常に細かい粒子状になって舞い上がり、螺旋を描いたかと思うと、悪魔がフローラの前に立っていた。
悪魔はダンジョンで見た時とは服装が異なっていた。息をのむほどの美しい女性の容姿は以前見たときと変わらないが、今回は非常にセクシーなボンテージドレスを着ている。悪魔のピンクの唇からキレイな声が流れだす。
「呼んだわね、フローラ」
「はい。リリス様」
「ほう、私を恨んでいないのか? 大事な姉と義兄を殺したのだぞ」
「恨んでましたが、今はもうどうでもよくなりました」
「ふむ、何かあったか。それにしても、相変わらずいいおっぱいをしているな」
(またこの悪魔は私のおっぱいを狙っているのね。シリアスなムードのなかで、まじめな顔でよく「いいおっぱい」とか言えるわね。とりあえず、無視よ、無視)
「あの、永遠の若さを得たいのですが、代価はなんなのでしょうか」
「そうだな、人ではなくなる。それだけだ」
フローラは確認しておく。
「若さの代わりに醜くなるのでしょうか」
「そんなことはない。私は美しいものが好きでな。お前のその美しさを壊したくないから、若さを授けるのだ」
結果、汚くなったら本末転倒ではないか、と悪魔がぶつぶつ言っている。
「では、永遠の若さをいただけますか」
フローラは意を決した。
「いいぞ。こちらにこい。儀式のためのキスをする」
キスと聞いて、フローラは躊躇した。
この変態悪魔は私にキスだけして、「バーカ、引っかかってやんのー」とでも言いそうだ。
「そんなことはないぞ、私の精気を分け与えるためには口づけが必要なのだ。嫌ならやめるがよい」
フローラはリンリンの顔を思い出す。彼への愛情が次から次へあふれ出てくる。
(早く歳をとらないようにしないとダメだわ)
「わかりました。お願いします」
フローラは悪魔に近づいて行き、目を閉じた。
悪魔の唇がフローラの唇に触れる。
あ、唇が熱く感じると思ったら、熱さが口いっぱいに広がり、のどを通って、心臓まで達する感触があった。
その後、熱いという感覚が、血液を通して全身に広がり、フローラの全身にいまだかつてない快感が突き抜ける。
それとともに、目の前のリリスに対して、絶対の忠誠心が植え付けられていく。
フローラは認識した。私はリリス様の忠実なる従者になったのだと。しかし、それをも上回るリンリンへの愛は不動のままだ。
「リリス様、ありがとうございます」
「ふむ、リンリンという男のためだな。興味深い男だが、従者のものを取るわけにはいかぬ」
リリスは現れたときと同じように土の塵となって消えた。
フローラは自身の体を見回した後、妖艶に微笑み、小屋へと戻って行った。
悪魔に言われたとおり、十字路の真ん中に立ち、自分の名前と悪魔の名前を交互に3度口ずさみ、指の先をナイフで傷つけ、血を6滴土に垂らした。
すると、フローラの血を含んだ土が、非常に細かい粒子状になって舞い上がり、螺旋を描いたかと思うと、悪魔がフローラの前に立っていた。
悪魔はダンジョンで見た時とは服装が異なっていた。息をのむほどの美しい女性の容姿は以前見たときと変わらないが、今回は非常にセクシーなボンテージドレスを着ている。悪魔のピンクの唇からキレイな声が流れだす。
「呼んだわね、フローラ」
「はい。リリス様」
「ほう、私を恨んでいないのか? 大事な姉と義兄を殺したのだぞ」
「恨んでましたが、今はもうどうでもよくなりました」
「ふむ、何かあったか。それにしても、相変わらずいいおっぱいをしているな」
(またこの悪魔は私のおっぱいを狙っているのね。シリアスなムードのなかで、まじめな顔でよく「いいおっぱい」とか言えるわね。とりあえず、無視よ、無視)
「あの、永遠の若さを得たいのですが、代価はなんなのでしょうか」
「そうだな、人ではなくなる。それだけだ」
フローラは確認しておく。
「若さの代わりに醜くなるのでしょうか」
「そんなことはない。私は美しいものが好きでな。お前のその美しさを壊したくないから、若さを授けるのだ」
結果、汚くなったら本末転倒ではないか、と悪魔がぶつぶつ言っている。
「では、永遠の若さをいただけますか」
フローラは意を決した。
「いいぞ。こちらにこい。儀式のためのキスをする」
キスと聞いて、フローラは躊躇した。
この変態悪魔は私にキスだけして、「バーカ、引っかかってやんのー」とでも言いそうだ。
「そんなことはないぞ、私の精気を分け与えるためには口づけが必要なのだ。嫌ならやめるがよい」
フローラはリンリンの顔を思い出す。彼への愛情が次から次へあふれ出てくる。
(早く歳をとらないようにしないとダメだわ)
「わかりました。お願いします」
フローラは悪魔に近づいて行き、目を閉じた。
悪魔の唇がフローラの唇に触れる。
あ、唇が熱く感じると思ったら、熱さが口いっぱいに広がり、のどを通って、心臓まで達する感触があった。
その後、熱いという感覚が、血液を通して全身に広がり、フローラの全身にいまだかつてない快感が突き抜ける。
それとともに、目の前のリリスに対して、絶対の忠誠心が植え付けられていく。
フローラは認識した。私はリリス様の忠実なる従者になったのだと。しかし、それをも上回るリンリンへの愛は不動のままだ。
「リリス様、ありがとうございます」
「ふむ、リンリンという男のためだな。興味深い男だが、従者のものを取るわけにはいかぬ」
リリスは現れたときと同じように土の塵となって消えた。
フローラは自身の体を見回した後、妖艶に微笑み、小屋へと戻って行った。
0
あなたにおすすめの小説
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる