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第三章 旅
新たな加護の使い方
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「いやはやけしからん」
どうも、声に出てしまっていたようだ。
「リンリン君、そうよね。ロミエール家は許せないわ」
フローラさんが俺の発言を勘違いしたようだ。俺は女神ラクタの加護のおかげで、負の感情を持てないのだ。ロミエール家にはまったく何の感情もなかった。
あれ? では、なぜ3人娘には負の気持ちを一瞬でも持ったのだろう? そうか、俺がけしからんと思っていたのは、胸のことだったんだ。彼女達に胸をどうにかして欲しいと思っていただけであれば、確かにこれは負の感情ではないな。
そういえば、加護といえば、新たに取得したインストさんの加護と、インストラクタの加護だが、インストさんの加護の効果はまだよくわからないが、インストラクタの加護はどうやらインストの加護あるいはラクタの加護を与えることの出来る加護であるようだ。何故なら、使い方が分かるためだ。
あ、いかんいかん、難しい顔で考えて込んでしまった。
「リンリン君、何か考えでもあるの?」
「え? あ、すいません。確かにけしからんです。カトリーヌさんはどう思いますか?」
「あまりかかわらない方がよろしいかと思いますわ。でも、話を聞く限り妹のシルビアの仕業と思うのですが、あの子だけは私を心配していたのに、どうしたのかしら。昔は仲良かったのに」
「そうですか。それでは、ちょっとそのシルビアさんをまずは見に行きますかね。僕に考えがあります」
街に戻る必要がある。急いで戻れば、1日で着くだろう。オスカルと元インストの意識が戻っていないため、カトリーヌ、ユカリ、ルミ、リンリンの4名のみで戻ることになった。
フローラが心配していたが、彼女は元インストが死のダンスを始めてしまう可能性があったため、マリと一緒に残った。
***
シルビアはロミエール家の次女で、カトリーヌの2つ下の妹である。
シルビアが何一つ勝てなかった姉が、10歳になって全てを失い、姉が失った全てのものをシルビアが引き継いだ。
第二王子の婚約者の座も引き継いだ。
第二王子のジョージはシルビアの憧れの人だった。優しくてハンサムで聡明で、そんなジョージと婚約していた姉を羨ましいと思っていた。
その姉が奇病を持っていて、ジョージとの婚約が破棄され、自分に婚約者の座が回ってきた時は狂喜した。
親兄弟の中でもシルビアだけが、落ちぶれてしまった姉を心配していたのだが、姉を忘れられないジョージを見るたびに、嫉妬心が彼女を狂わせて行った。
ジョージが姉の居所を見つけて、姉にコンタクトしようとしていることが分かったときには、魔法使いの少女3人を脅して、姉をパーティから追い出すように仕向けた。
その後もロミエール家の力を使い、姉を追い詰めた。両親は気づいているはずだが、何も言わなかった。姉よりも王族との婚約者である私を優先したのだろう。
ジョージの姉の捜索は徹底的に妨害した。捜索者を殺害したこともある。ただ、いつまでも隠し通せないと思い、それまではずっとためらっていたのだが、遂に姉の殺害を盗賊に依頼した。しかし、あっけなく失敗した。
子供2人と若い女性4人のチームに明らかに過剰と思える50人を投入しての結果とは思えなかった。冒険者のことはよく知らないが、そんなに強いのか?
忌々しい姉だ。でも、まあよい。盗賊によると、国を出て行くそうなので、もう会うこともないし、ジョージもいつかは諦めるだろう。
「シルビア、こんにちは、お久しぶりね」
「え? カトリーヌ姉さん。どうやって、ここに?」
「紹介するわ。私の夫のリンリンさまよ」
カトリーヌが5歳ぐらいの男の子と手を繋いでいることに気づいた。背が低くて視界に入らなかった。
「何の冗談よ。幼児を夫だなんて。それより、病気が移らないうちに出てってくれる? ここは姉さんがいていいところじゃないわ」
リンリンはシルビアを見つめた。そして、シルビアの心を支配して、善行を妨げているのが嫉妬であることを見抜くことができた。リンリンはピンと来た。なるほど、インストの加護はこれか。人を善行に導くため、善行を阻害する要因を分析する力か。
「カトリーヌさん、妹さん、嫉妬でおかしくなっていますね。子供の頃は仲が良かったのでしょう?」
幼児が何か言っている。仲が良かった? そうよ、自慢の姉だったわ。でも、今は私の方が上よ。
「シルビアさん、嫉妬で心をやられちゃってますから、女神ラクタ様の加護を与えますね」
気がついたら、男の子の目が金色に変わっている。私は無意識のうちに跪いて頭を下げていた。
男の子の手が私の頭に触れる。私の心に渦巻いていた様々な負の感情が綺麗に洗い流されていく。
神様?
シルビアは男の子は神の化身であると思った。シルビアは自らを悔い改め、カトリーヌへの謝罪を素直に口にした。
「カトリーヌ姉さん、ごめんなさい」
「いいのよ、シルビア。辛かったわね。私はもうリンリンさまのものよ。安心してジョージを愛しなさい」
「はい、カトリーヌ姉さん、ありがとうございます」
「シルビアさん、ご両親はどうしますか? お祓いしますか?」
「リンリンさま、ありがとう。もういいわ。宿に戻りましょう」
***
宿の部屋割りはリンリンとユカリ、カトリーヌとルミの組み合わせだ。
リンリンの女使いの指令は、リンリンと交わったものにしか届かないことが分かったため、パーティの戦力アップのためにフローラからユカリにリンリンと一夜限りの関係を結ぶよう命令が下っていたのだ。
夜のリンリンが凄いことはオスカルを見てよく分かっている。命令とはいえ、ユカリも興味はあった。
「では、ユカリさん、行きますよ」
「はい、初めてですので、よろしくお願いします」
あの活発なユカリさんが、なんてしおらしいんだ。
うおおおおおぅ、イキリ立つぜ、俺。何ていい世界なんだっ!!
どうも、声に出てしまっていたようだ。
「リンリン君、そうよね。ロミエール家は許せないわ」
フローラさんが俺の発言を勘違いしたようだ。俺は女神ラクタの加護のおかげで、負の感情を持てないのだ。ロミエール家にはまったく何の感情もなかった。
あれ? では、なぜ3人娘には負の気持ちを一瞬でも持ったのだろう? そうか、俺がけしからんと思っていたのは、胸のことだったんだ。彼女達に胸をどうにかして欲しいと思っていただけであれば、確かにこれは負の感情ではないな。
そういえば、加護といえば、新たに取得したインストさんの加護と、インストラクタの加護だが、インストさんの加護の効果はまだよくわからないが、インストラクタの加護はどうやらインストの加護あるいはラクタの加護を与えることの出来る加護であるようだ。何故なら、使い方が分かるためだ。
あ、いかんいかん、難しい顔で考えて込んでしまった。
「リンリン君、何か考えでもあるの?」
「え? あ、すいません。確かにけしからんです。カトリーヌさんはどう思いますか?」
「あまりかかわらない方がよろしいかと思いますわ。でも、話を聞く限り妹のシルビアの仕業と思うのですが、あの子だけは私を心配していたのに、どうしたのかしら。昔は仲良かったのに」
「そうですか。それでは、ちょっとそのシルビアさんをまずは見に行きますかね。僕に考えがあります」
街に戻る必要がある。急いで戻れば、1日で着くだろう。オスカルと元インストの意識が戻っていないため、カトリーヌ、ユカリ、ルミ、リンリンの4名のみで戻ることになった。
フローラが心配していたが、彼女は元インストが死のダンスを始めてしまう可能性があったため、マリと一緒に残った。
***
シルビアはロミエール家の次女で、カトリーヌの2つ下の妹である。
シルビアが何一つ勝てなかった姉が、10歳になって全てを失い、姉が失った全てのものをシルビアが引き継いだ。
第二王子の婚約者の座も引き継いだ。
第二王子のジョージはシルビアの憧れの人だった。優しくてハンサムで聡明で、そんなジョージと婚約していた姉を羨ましいと思っていた。
その姉が奇病を持っていて、ジョージとの婚約が破棄され、自分に婚約者の座が回ってきた時は狂喜した。
親兄弟の中でもシルビアだけが、落ちぶれてしまった姉を心配していたのだが、姉を忘れられないジョージを見るたびに、嫉妬心が彼女を狂わせて行った。
ジョージが姉の居所を見つけて、姉にコンタクトしようとしていることが分かったときには、魔法使いの少女3人を脅して、姉をパーティから追い出すように仕向けた。
その後もロミエール家の力を使い、姉を追い詰めた。両親は気づいているはずだが、何も言わなかった。姉よりも王族との婚約者である私を優先したのだろう。
ジョージの姉の捜索は徹底的に妨害した。捜索者を殺害したこともある。ただ、いつまでも隠し通せないと思い、それまではずっとためらっていたのだが、遂に姉の殺害を盗賊に依頼した。しかし、あっけなく失敗した。
子供2人と若い女性4人のチームに明らかに過剰と思える50人を投入しての結果とは思えなかった。冒険者のことはよく知らないが、そんなに強いのか?
忌々しい姉だ。でも、まあよい。盗賊によると、国を出て行くそうなので、もう会うこともないし、ジョージもいつかは諦めるだろう。
「シルビア、こんにちは、お久しぶりね」
「え? カトリーヌ姉さん。どうやって、ここに?」
「紹介するわ。私の夫のリンリンさまよ」
カトリーヌが5歳ぐらいの男の子と手を繋いでいることに気づいた。背が低くて視界に入らなかった。
「何の冗談よ。幼児を夫だなんて。それより、病気が移らないうちに出てってくれる? ここは姉さんがいていいところじゃないわ」
リンリンはシルビアを見つめた。そして、シルビアの心を支配して、善行を妨げているのが嫉妬であることを見抜くことができた。リンリンはピンと来た。なるほど、インストの加護はこれか。人を善行に導くため、善行を阻害する要因を分析する力か。
「カトリーヌさん、妹さん、嫉妬でおかしくなっていますね。子供の頃は仲が良かったのでしょう?」
幼児が何か言っている。仲が良かった? そうよ、自慢の姉だったわ。でも、今は私の方が上よ。
「シルビアさん、嫉妬で心をやられちゃってますから、女神ラクタ様の加護を与えますね」
気がついたら、男の子の目が金色に変わっている。私は無意識のうちに跪いて頭を下げていた。
男の子の手が私の頭に触れる。私の心に渦巻いていた様々な負の感情が綺麗に洗い流されていく。
神様?
シルビアは男の子は神の化身であると思った。シルビアは自らを悔い改め、カトリーヌへの謝罪を素直に口にした。
「カトリーヌ姉さん、ごめんなさい」
「いいのよ、シルビア。辛かったわね。私はもうリンリンさまのものよ。安心してジョージを愛しなさい」
「はい、カトリーヌ姉さん、ありがとうございます」
「シルビアさん、ご両親はどうしますか? お祓いしますか?」
「リンリンさま、ありがとう。もういいわ。宿に戻りましょう」
***
宿の部屋割りはリンリンとユカリ、カトリーヌとルミの組み合わせだ。
リンリンの女使いの指令は、リンリンと交わったものにしか届かないことが分かったため、パーティの戦力アップのためにフローラからユカリにリンリンと一夜限りの関係を結ぶよう命令が下っていたのだ。
夜のリンリンが凄いことはオスカルを見てよく分かっている。命令とはいえ、ユカリも興味はあった。
「では、ユカリさん、行きますよ」
「はい、初めてですので、よろしくお願いします」
あの活発なユカリさんが、なんてしおらしいんだ。
うおおおおおぅ、イキリ立つぜ、俺。何ていい世界なんだっ!!
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