初体験が5歳という伝説の「女使い」冒険者の物語 〜 スキル「優しい心」は心の傷ついた女性を虜にしてしまう極悪のモテスキルだった

もぐすけ

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第三章 旅

悪魔ダビデ

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悪魔ダビデはリリスと敵対している悪魔で、リマの南の森の中のダンジョンを拠点としている。報酬は5億円。討伐すれば、一気にSランクに上昇する。

悪魔を殺すのはかなり難しいが、魔界に返すことで討伐達成となるため、殺す必要はない。

神や悪魔などの精神体との戦いは精神戦だ。剣や通常の魔法でも、威力が大きければ、肉体を消滅させることはできるが、精神には影響がなく、また別の肉体に移ってしまうだけだ。

俺なんて生きていても無駄だあ、と思わせ、精神的に殺すか、あるいは、精神を削ぎ落として、精神を無にすることで、悪魔は滅びる。そうではなく、精神体を維持している精気をなくす方法もある。ただし、この場合は精神体が魔界に帰るだけで、滅びるわけではないが、どちらでも討伐成功となる。

インストとラクタは後者の精気が果てた状態だ。現在は神界に引きこもっている。

ちなみに、フローラ達も同様に肉体が消滅しても死にはしないが、別人の容姿になってしまうため、肉体の消滅は絶対に避けたいところだ。そういった肉体へのこだわりは、他の悪魔、特に女性の悪魔には多く、悪魔も物理攻撃から身を守るが、今の容姿へのこだわりのためであり、生死のためではない。

この精神戦において、リンリンは切り札となる。加護のおかげで、精神攻撃を受けてもネガティブな精神にはならないし、悪魔に対して強力な精神攻撃をかけることができる。ただ物理的な攻撃には弱いため、リンリンを悪魔の物理攻撃から守る必要がある。

リンリンを女全員で守りながら、リンリンからの精神攻撃を悪魔に当てる必要があるのだ。

その作戦を先ほどからリンズの面々は悪魔ダビデに繰り返し行っていた。

悪魔ダビデは中年のぱっとしないおっさんを肉体にしており、容姿へのこだわりはないと思われる。ほぼノーガードで攻撃を繰り出して来る。

ダビデへの物理攻撃は精神体をこの世界に逃すだけの結果に終わるため、女達は攻撃は行わず、専守防衛に徹している。

ダビデは女達が今の肉体にこだわりを持っていることを確信し、物理攻撃を放って、上手く女たちを牽制しつつ、一番の強敵の男の子への一撃のチャンスを窺っていた。また、パーティの弱点である小さな女の子も同様に標的にしているのだが、流石にこの2人へのガードは固い。

ダビデは今、打開策を考えていた。

もうすでに2時間ほど膠着状態が続いているが、時間が長引くのはダビデには不利だ。魔力が切れてしまうからだ。恐らく相手は初めからその作戦なのだと思われる。

吾輩としたことが、まんまと引っかかってしまった。いつものようにボス部屋でくつろいでいると、あなたのファンですという女悪魔が1人来た。ダンジョンの守衛達はいったい何をしているんだと思ったが、それよりもこの娘の胸の大きさと顔のあどけなさのアンマッチに体を借りている人間が強烈に反応してしまって、つい吾輩も興味を持ってしまった。しかも、さらに同じような女悪魔が2人も立て続けに現れて、吾輩としたことが、乳を揉みたいなんて欲情を感じてしまったのだ。

そこに不意の精神攻撃があの子供から来て、欲情分の精神をゴッソリと持って行かれた。この古き悪魔の吾輩を相手に奇襲作戦をまんまと成功させおったのだ。

こやつらがどこの悪魔の眷族かはわからぬが、悪魔になりたての人の匂いが残っている赤ん坊だ。こんな奴らが10人集まろうが怖くはないが、あの子供はまずい。恐ろしいまでの精神力だ。最初は神ではないかと間違えたぐらいなのだが、単なる加護持ちのようだ。ただ、3つ加護を持っているだけで、あの力の説明にはならない。あの力をまともに食らえば滅ぼされてしまう。この吾輩が滅ぼされるのだ。まただ、また恐怖を感じてしまった。き、来たっ。

危なかった。恐怖心を抱かせては切り取る攻撃を仕掛けられているのだ。まずい、まずい。しまった、焦りを感じてしまった。また、来たっ。

あの子供、吾輩の精神状態が手に取るように分かるようだ。本当にまずい。強敵だ。このままではジリ貧だ。

少年に聞いてみた。

「えーと、なぜ吾輩を攻撃するのだね?」

「おじさん、魔界に帰って、100年だけ我慢してくれないかな」

「そうすれば、見逃してくれるということかい?」

「そうだよ」

(くっ、こんな乳くさい悪魔と人間に舐められてたまるか。うおっ)

ダビデは憤怒の精神を持ってかれた。このままでは本当に滅ぼされてしまう。

(まさか、まさか、この吾輩が、こんな子供に屈服しなければならないのかあっ。かくなる上は、ここにいる女悪魔を道連れに、魔界に逃げてやるさっ)

「女使いの名において我が妻に命じる。魔界転送防御! 魔界に連れて行かれるなよっ」

女達の子宮から熱い力が溢れ出る。魔界への転送を誘う強力な呪文から身を守る神のオーラが全身に纏いつく。10人の女達は神々しいまでに輝き、ダビデの誘いを完全防御する。

ちなみに、マリとリンリンは悪魔ではないため、防御は不要だ。

ダビデが無念の言葉を残して魔界に逃げて行く。

「くそ、悪魔のくせに神の力を纏うなんて、お前ら卑怯だぞっ~」

中年のおっさんが残されて呆けていた。

「みんな、お疲れさま」

リンリンは女使いの力を解除する。

フローラがおっさんを見ながら話す。

「ダビデさんって、かなりイケてる悪魔だってリリス様に聞いてたけど、あの捨て台詞はないわよね」

「卑怯だぞっ~ってのはないわよねえ」

カトリーヌが相槌を打つ。

「さっ、組合に報告に行って、報酬をいただきましょう」

エリーゼが両手でガッツポーズしている。

「あの、このおじさんどうしますか」

ルミがリンリンに聞いてきた。

「放っておけばいいですよ。ダンジョンにはもう危険はありませんから」
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