見知らぬ美女と一緒に異世界召喚され、お互い幽霊になりました。勇者たちよりも強い最強な俺たちですが、俺は彼女とラブコメしたいです

もぐすけ

文字の大きさ
43 / 91
第六章 帝国

教皇

しおりを挟む
 俺はもう神社の話でお腹一杯なので、教会なんぞはどうでもよかった。男ばかりで面白味がないし、庇護欲も全く湧かない。自分から教皇に会いたいと言っておきながらどうかと自分でも思うが、興味がなくなってしまった。

 ミサトの人間の男の好みは変わっていて、声変わりする前の男の子か、すっかり黄昏てしまったお父さんのどちらかだ。生殖能力の高い男は好みではなかったりする。ただし、あくまでも人間に対する庇護欲の話だ。

 ミサトも俺もなにも話さないので、フランシスコは焦っているようだった。ワインに救いを求めるような目を向けている。マリアには冷たいワインだが、フランシスコには少し情があるようだ。

「あの、神霊様、教皇に何かご質問はございますでしょうか」

 ワインが取りなして来た。そうだ、一つ聞きたいことがあった。

「教会って何が目的なんだ?」

 フランシスコは待ってましたとばかりに話し始めた。

「神霊様のお教えを広く民衆に伝播するのが我らの役目です」

「そんなこと言われても、俺たちから人間に教えることは何もないし、そもそも人間には興味ないぞ」

「神霊様の素晴らしさを民に説いて回っています」

「俺たちは素晴らしくはないぞ。建前抜きの本当の目的を教えてくれ。表面的な話だけなら、もう帰るぜ」

 フランシスコは腹を括った。

「分かりました。美辞麗句抜きにご説明します。教会は神霊様のご威光を利用して、人間社会を牛耳ることを目的にしております。教会が世界を思うように動かすために、神霊様の力をお借りしています」

 随分とぶっちゃけたな。でも、この方が分かりやすぞ。

「なるほど。だが、俺たちは力を貸した覚えはないぞ」

「今はお名前をお借りして、信仰することで救われるという教義を説いて、信徒を増やしております」

「俺たちは信仰されても救わないぞ。庇護欲が湧くかどうかだな」

「私どもはこう考えております。同じように生き、同じように行動している人間がいたとして、一方は神霊様を敬おうともしない、もう一方は神霊様を心の底から尊敬している。こんな二人がいたとき、神霊様は後者の方に情を持たれるのではないでしょうか」

「まあ、それはその通りだな」

「また、このようにも考えております。神霊様は強大なお力をお持ちで、人間など簡単に滅ぼすことが可能です。しかし、そうされないということは、私たち人間は、神霊様に生かされているのだと考えます。神霊様に感謝して生きるようにと説いております」

「なるほどね。確かに敬われているうちは殺そうとは思わないわ。敵対したら容赦なく殺すし、態度が悪ければお仕置きするけどね。そうされないように大勢を諭しているわけね」

 ミサトはかなり記憶が戻って来ているんじゃないだろうか。俺も人間には興味はないが、態度が悪いだけでお仕置きしようとは思わないぞ。

「ご明察の通りでございます」

 フランシスコがミサトに対して深々とお辞儀をした。

「確かに俺たちが腹を立てるとすれば、知的生物に対してだよなあ。ワイン、この世界には人間のほかに知的生物はいるの?」

「はい、この大陸以外に別の大陸が四つありまして、それぞれに、エルフ、ドワーフ、オーク、ドラゴンがおります。今はまだお互いに遭遇しておりません」

 フランシスコは知らなかったようだ。ワインの方を見て、ものすごく驚いている。

「そっちの方にも行ってみたいが、まずは人間だな。教会は人間を俺たちに従順にさせるという活動をしているということだな。これって必要か?」

 俺はミサトに聞いてみた。

「そうねえ。どっちでもいいかな。人間が自分たちを守るために自分たちでやっていることでしょう。私は気に入らない人間は教会とか神社とか関係なく殺しちゃうから、せいぜい殺されないようにすることね」

 ミサトは完全に人間やめちゃってるな。人間時代の情が全く抜けちゃったようだ。でも、今のミサトの方が数段美しく見え、ゾクゾクしてしまうのはどうしてだろう。ミサトを愛する気持ちが急激に膨れ上がって行く。

「ミサト、綺麗だなあ」

「あ、あなたはいきなり何を言い出すのよ。こんな人間たちの前で!」

 あら? ミサトがドギマギして、可愛いミサトに戻ってしまった。でも、こっちのミサトも好きなんだよなあ。

「すまん、つい。あまりにも美しいので見惚れてしまった。俺にとってはミサト以外は興味ないから、教会の目的が何であれ、好きにやってくれって感じだな。神社は俺たちの手足になることを選択し、教会は俺たちに敵対しないことを選択したってことだな」

「ねえ、フランシスコ、少年合唱団とかはいないの?」

 ミサトが俺の横に来て、腕を組んでくれて、俺たちアツアツじゃないか、と思っていたときに出てきた言葉がこれだった。

「つ、作ります。すぐに作るように致します」

 俺たちから教会興味なし宣言されたフランシスコは必死だ。

「よい返事だわ、フランシスコ。期待しているわよ」

 女王様風のミサトも素敵だ。

「なあ、ミサト、ほら、森を抜けたご褒美を頂きたいんだが」

「分かってるわよ。もう、ゆうきはホントそればっかりね。ワイン、帰るわよ」

 俺たちは教会を後にした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ

双葉 鳴
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。 彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。 そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。 洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。 さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。 持ち前のサバイバル能力で見敵必殺! 赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。 そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。 人々との出会い。 そして貴族や平民との格差社会。 ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。 牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。 うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい! そんな人のための物語。 5/6_18:00完結!

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅

散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー 2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。 人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。 主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身、動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物や魔法、獣人等が当たり前に存在する異世界に転移させられる。 彼が送るのは、時に命がけの戦いもあり、時に仲間との穏やかな日常もある、そんな『冒険者』ならではのスローライフ。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練とは如何なるものか。 ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜

KeyBow
ファンタジー
 この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。  人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。  運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。  ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...