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12.共和国・人探し

二百五十二話 双頭のサルカムネス

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252話 戦い慣れしている魔物との初戦闘

弾かれたのを見て尾の方へと向きを変えて近付く、その途中で邪弾を頭部の方へと
放ったがその間に入り込んだ脚に当たった途端弾かれる様に消えてしまった、どう
やらこの程度の魔法では効きそうにない、それとも使った属性が悪かったのか・・・
属性の問題なんだろうか?近づいた場所に聖弾も撃ち込んでみる、甲殻の薄そうな
腹部にやったのに同じ結果とは・・・弾かれて消えた、魔法は駄目だなやめておこう
使える中で効きそうなものが1個も無い、攻撃が一切通らなかったからかこっちへ
反応するのやめて食事に集中している、私の剣は通るか?マガセビを取り出し長刀
のまま脚の間接と胴体?の重なった場所へ横薙ぎに振るう、脚の間接を斬り裂いて
胴体へと斬り込む・・・が背の甲殻にめり込むと途中で止まってしまった、腹部なら
問題なかったが背の甲殻は無理か・・・亀裂は入ったが刃が途中で止められてしまう
体をねじり暴れるように脚を動かされ、ばたつかせているその脚に蹴り飛ばされた
ん?当たった左腕が少し凹んでいる・・・肘から下の動きが鈍い、暴れて直ぐに体を
巻き体勢を整えた奴はこっちへと向かって来る、頭は2つともこっちを向いていて
こちらに集中しているようだ、食事を優先してくれれば良かったんだが流石にそう
上手く行く訳がないか、突進してくる体を脚に気をつけながら避けそれに合わせて
幾つか右側の脚を斬り飛ばす、振り切った直後に後ろから衝撃を受けて又吹き飛ば
される・・・吹き飛ばされながら地面を蹴って後ろに振り向く、すると奴が右の頭を
振りかぶっているのが見えた、どうやら頭を叩きつけられたようだ・・・反応が早い
こっちが避けて直ぐに次の攻撃に移ったのか?本能での動きか経験での動きかは
流石に判らないがそこらの魔物より強いだろう、それにやるべきことは変わらない
少しづつ脚を斬り飛ばして機動力を殺していく事、それが最も優先してすべき事だ
あの脚は機動力だけじゃなく攻防一体の武器でもある、実際5本は獲れたと思った
が3本しか切り落とせていない・・・ん?口がモゴモゴと動いている、何かしらの予備
動作だろうか?吹き飛ぶ勢いを血で濡れた砂で押さえて次の攻撃に対処するために
幾らか距離を取る事にする、それでも離れすぎないようにと急いで近付くと口から
石の礫が吐き出された、まだ距離があった事で威力はそこまででもないが至近距離
で喰らえばひとたまりもないだろう、ズタズタになっていた死体はこれを喰らった
のだと考えれば納得がいく、喰らえば手足は千切れ体中に穴が開く事になると簡単
に予想が着く以上あれを近距離で喰らうのはまずい・・・かと言って他に技が無い訳
じゃないだろうしこっちから攻撃出来なくなる以上距離を取り続けてもいられない
姿勢を低く体の方に沿う様にして近付こうとした所で急に足元が振動しだしたため
近付くのを止めて距離を取るように横に跳ぶ、すると砂が巻き上がり槍の様に突き
出たかと思えば中央は槍だがその周囲に小型の砂嵐が出来ている、風の勢い自体は
飛ばされる程強くは無いが行動を阻害されるには十分すぎる強さがあり、何よりも
厄介なのは舞い上がっている砂だ・・・視界が砂交じりの風に遮られ視覚が潰されて
しまう、目を閉じると目に入り込んでいる砂がゴロゴロと邪魔をする、それに耐え
て前を見れば薙ぎ払う様にして尾が向かって来ている、しゃがんで避ける事は出来
たものの鋭い足先によって左腕を突かれてしまった・・・突き刺さる事は無かったが
それに押される様にしてそのまま後ろに倒れてしまう、暴れ狂う体があちこちの
地面へと打ちあたり砂を巻き上げ巻き込みながら近付いて来ていた、長刀を右上へ
と放り投げてから地面を右手で強く叩いて転がり起き上がる、落ちてきた長刀を掴
んで振り下ろすと脚の1本が切れて飛んで行った、そこで大鎌へと変えてもう一度
横へと薙ぎ払う・・・今度は甲殻の一部と共に脚が3本飛んでいきその動きに絡め取ら
れるようにしてこっちも投げ飛ばされてしまった、ふーむ今のは自分のミスだが
こいつ強いな・・・正直言って戦闘経験自体はあんまり無いんだよな、大体一方的に
攻撃して勝ててたから正面切って戦う事が少なかった、何故かそれでも十分戦えて
しまえる程に直感部分だけだが戦闘経験が補強されているようだ・・・だがこの姿の
相手は少々慣れないな、しかしおかげで距離がとる事が出来たしあいつが落ち着く
のを待つとするか・・・長刀に形状を戻し暴れ回る奴を見て待つ・・・足元が揺れた?
直ぐに距離を取ると砂で出来た槍のような柱が突きだしてきた、今回は強風が無い
し別の技か、なんだ?あちこちから同じ柱が生えてきたが・・・まさかこれで行動を
妨害しようって事か?近づいてきた奴はその柱の間を縫って更にその柱に体を巻き
着けて体を揺らす、すると大して耐久力が無かったのか柱が折れてそれをこっちへ
振り回してくる、そこから回転を繰り返して柱と頭部によって薙ぎ払ってくる・・・
しかもご丁寧に途中で砂の礫を吐いて来ると言う接近への対処着きときた、知能が
高めなのか自ら道具を用意して使う上に併用までしてくるとは・・・やはりそこらの
魔物に比べて知能も能力も高い厄介な奴だな、地面スレスレどころか砂を削り巻き
上げながら薙いでくる、飛んでくる邪魔な砂を浴びながら飛び下がりそこにあった
柱を蹴って隣の柱に乗る、巻き上げられた砂が奴の周りを埋め尽くし姿を覆い隠し
ている・・・そこから飛び出してきた尾が乗っていた柱を薙ぎ払い砕く、直ぐに跳び
降りて砕けた柱の一部を蹴って奴に飛ばす、まぁこんな物で効きはしないだろうが
・・・それがぶつかった音がすると直ぐにそれに答えたかのように半分に折れた柱を
飛ばして来た、だが少し右に逸れていたおかげで上体を左に逸らすだけで避ける事
が出来た、しかしあれは攻防一体の状態か・・・甲殻を抜ける威力が無いと尾や頭部
に反撃されるだけだから手詰まりだ、ふーむ困った困った、こう言った時のために
高威力の何かが1つでもあれば良かったんだが、大剣に変えて振り下ろせば何とか
なるか?まだ残っている柱があるし、あれを足場にすれば勢いも付けれる・・・かな
柱へ走り飛び乗る、しかし奴は何もやってこない・・・奴は待ちの姿勢か?なら都合
が良いというもの、前に姿勢を低くして倒れる様に出て柱の側面を蹴る、柱が砕け
勢いが少し消えたが剣先が足の方へ行くまで大きく構え大剣へと変化させる
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