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12.共和国・人探し

二百五十三話 有効打無き戦い

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253話 拮抗する戦い

振り下ろした大剣は甲殻を砕き斬り内部へと押し入る・・・だが斬り抜くには足りて
いない、やはり半ば程で止まってしまった、体を捻り力を込めて上へと跳ね上げる
今回は引き抜く事が出来た・・・しかしこれだけ深く斬りつけたと言うのに奴は何の
反応もしていない、流石にこれだけ深く斬れていれば効いていない事は無いと思う
んだが、これはただ痛みを感じていないから無反応なだけか?ぐっ・・・急に飛んで
来た砂礫が左足を掠った、体で隠していた方の口からいつの間にか放ってきていた
ようだ、右腕を引き絞り頭部を隠す様にして丸まっている体を潜り抜けて砂礫を
放ってきた頭部へと近付く、狭い隙間を抜けて強引に奴の甲殻の一部を削りながら
頭部へ向けて突きを放つ、するとまた暴れ出しのたうち始める・・・体に巻き込まれ
捕まりそうになった所で突きが左頭部の右目に突き刺さったが深く刺さる前に離れ
る事になってしまった、直ぐに右腕を引き向かって来る体を迎撃する、右から来る
のを斬り上げ左から来るのを斬り下ろし上から来るのを側面で弾き上げて防ぐと
頭部が向かってきた、目に傷が無いし右の方か・・・左へと斬り払うと顎に当たり弾
かれる様に互いに離れる、奴が少し左を向いたため一歩前に出て右へと斬り返すと
奴の左目を斬る事が出来た、こちらも浅く効果は薄そうだが少しは機能が弱まった
だろう、探知能力が弱まってくれればそれだけこっちが動きやすくなるからな・・・
だがやはり怯みはしないか、目を斬られてもそのまま直ぐに返すように頭部を叩き
つけてくる、それを受け流す様に後ろに下がって斬りつけると砂を削って頭部が
地面へ打ち付けた、そこで足場がぐらつき上がっていく、砂が壁の様にしてせり上
がった、そこに左の頭部が右から叩き付けにやって来る、高さもあったおかげで
上に跳べばそれだけで避ける事が出来た、がそこへ急に止まった左の口から砂礫が
放たれる・・・空中でそれを避ける事が出来る訳も無く大剣を盾にして凌ぐ事にした
当たる物は全て防ぐ事は出来たが押し込まれてしまう、着地と同時に無理矢理前へ
転がる様に跳び距離を詰めるのとこれ以上距離が離れないようにする、前へと跳ん
で直ぐに砂の槍が突き出て来た・・・着地をこれで狙ってたのか、更に前へ進もうと
すると砂の壁が幾つも出てきて道と視界を塞いで来る、急に目の前に出で来た壁に
当たらないように急停止して剣で薙ぎ払う、すると頑丈さや強度自体は無かいのか
斬った場所から上が崩れていく、固まっていた砂が落ちていき一部が風に吹かれて
飛ばされていく・・・向こう側から向かって来ているのが見える、噛み付こうとして
いるのか左の頭が前に右の頭が上から狙いをつけているように構えている、そして
上から右の頭部が押さえつける様に噛み付いて来る、後ろへと避けようと跳んだ所
で背中に衝撃を受け動きが止まった、後ろと前にまたしても砂の壁が作られた・・・
逃げ道を防がれたせいで動きが止められ次の行動が出来る余裕を失くしこの攻撃を
防ぐしかなくなった、大剣の刃を前にして縦に構える・・・当然勢いが弱まる事など
無く大剣に噛み付かれる、そのまま後ろの壁に押し付けられ動きを止められた・・・
だが力にそこまで差が無いのか十分に押し合いが出来る、力を入れて押し返し弾き
飛ばそうとしたがそこに左からギチギチと歯を打ち鳴らしながら、左の頭部が噛み
付きに来るそれを体をねじってその勢いで逸らした右の頭部を左の頭部に当てる様
にして凌ぐ、がその寸前に右横腹に左頭部の顎が掠ってしまった事で少し削られて
更にその衝撃もあって体勢を崩したことで少し逸らす先がずれてしまった、しかし
それでもぶつける事で奴の次の動きを邪魔する事が出来たし、こっちも凌ぎ切る事
が出来た・・・掠りはしたが大したダメージじゃないし転がっていた奴も直ぐに立て
直して臨戦態勢になっている、戦いを始める前からずっと飢餓状態だろうに随分と
動き回っているし頑丈な奴だな・・・とは言えこのままやって倒しきれるか?確かに
見ているだけでも戦いを始めた頃より飢餓の度合いが上がっている気もするが・・・
疲労しているだけなのかもしれないしどうかは判らない、だが速度だけでなく動き
も少しづつ鈍くなっている、動きへの対処はやり易くはなってきているが有効打と
なる攻撃が無い・・・あっちもそれを判っているのか近接戦を主体とした戦闘をする
のに決めたのかそれとも魔力が切れたのか判らないが、魔法や間接攻撃の手段を
取らずただ一直線に近づいて来る、頭部が同時に噛み付く様にしながら来た所に
右の頭部へと剣をぶつけ弾き反射的に左足で左の頭部を蹴り上げる、逸らした頭部
が直ぐにこっちへとまた向かってくる、上半身を捻りながらの斬り返しで左の頭部
を弾き左足を降ろす勢いを使って右の頭部を右足で蹴り上げ軽く上に跳ぶ、そこに
勢いよく降りてきた右の頭部を右足を振り下ろして蹴りつける、左の頭部を大剣で
逸らすように斬る、そこに下から来た右の頭部に上に押し上げられた、これは・・・
下から襲ってくる双頭を右手の大剣と両足を使って何度も弾き続ける、その衝撃や
襲ってくる方向のせいか常に空中に固定され地面に降りる事が出来ない・・・しかも
途中途中何度も足と動かせない左腕に向かって噛み付きに来るせいで適当には対処
できない、それにしても左腕が全然修復されないな・・・両腕が使えればもう少しは
対処しやすくなるんだろうが仕方ない、この状況をなんとかして脱しないとこの
まま空中で削られる不利な状況が続くだけだ、とは言ってもどうすればいいのか
今は凌ぎ続けるだけで正直他に出来る事が無い、噛み付かれないように気をつけて
蹴り飛ばす・・・もうどっちの頭部が左か右なのか判らない位空中で翻弄されている
すると動かない左腕に噛み付かれ地面へと叩き付けられた、左腕の感覚が無くなり
千切れたかと思ったが今度は持ち上げられ空中へ投げ飛ばされる、左腕は問題無く
繋がっているし何故か噛まれたことによる傷も見られない・・・左腕が硬化している
とでも言うのか?それは判らないが左肩から下が全体的に黒ずんでいる、また何か
起きているようだが害は無いだろうし別にいいか、今気にしている余裕もないし
そこに頭部では無く尾での叩き付けでまた地面に叩きつけられる・・・それにしても
これだけ攻撃を喰らっているのに生命力に余裕があるのが不思議だ
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