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12.共和国・人探し

二百五十五話 死を越えた死

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255話 終わりが無いのが魔人

今はまだ右手は大剣を握ったままのお蔭か落ちずに済んでいるが、それも時間の
問題だろう・・・このままいけば意識を失った所にトドメを刺されて終わる、同時に
手が剣から離れて落ちるだろうし、もし殺しきられずともこっちに出来る事は無く
なる・・・何故こんな事になったんだ?やはり最近起きている自身の異常の1つなんだ
ろうが、こんな時にデメリットらしきもので来るとは困ったものだ、視界が霞んで
黒く染まり体から力が抜けていく・・・大剣に寄りかかっているが手から力が抜けて
剣から手が離れてしまった、奴が動く震動のせいですこしづつ体がずり落ちていく
左腕からミシミシと軋む音が聞こえる中意識が薄れていく、遂には止めを刺される
事も無く背中からずり落ち砂の地面に落ちて転がる、既に砂や熱に風の感覚も感じ
無くなっているようだ・・・重力も感じていなくて上下も自分がどうなっているのかも
判らない、生きていても死んでいても変わらない・・・か、確かに元々自分はそう言う
存在だったな・・・あぁもしかして生の方向に寄り過ぎていたのか?それでバランスを
崩していたと言うのなら、これは死に近づいてバランスを戻そうとしているのか?
だがこんな時に来なくてもいいだろう、せめて落ち着いた時なら良かったんだがな
あぁもう思考も消える・・・奴が遠ざかっていく、せめてマガセビを抜いておけば・・・
・・・・・・
・・・・
うっぐぅ、体中に痛みが走ったが無理矢理上体を起こし周囲を探る・・・が奴の姿は
もう確認出来ない、どれだけ意識を失っていたんだろうか?空は・・・流石に砂嵐は
変わらずだが太陽の位置からして特に時間が経っている様子は無さそうだ、1時間
も経ってないと思っていいか、そしてやはり左腕の感覚は無く動かせないままで
しかも肩から下が全てがさっきまでより黒く染まっている、触ってみると表面は
少しザラザラとしたワイバーン達の甲殻の様な感触になっている、立ちあがって
みるもふらつく事は無く、動いて全身の感覚を確かめてみるも左腕以外には異常や
変化は確認出来ない、どうやら今までと違って重さや疲労感等も無いようだ・・・
今までと違う事が起きているのかただ適応したのか・・・判別しようがなく気にして
も仕方がない事ばかり増えていくな、右隣を見ればバーゼスクライトが膝を着いて
うつむいていた・・・左腕を抑えているがまさか何かこっちの影響を受けているのか?
「どうした?左腕に異常が出たのか?」
「ぐぅ、どうやらそのようです・・・力が有り余っているような感覚がありますな」
「ふむ?困っている訳でも無さそうだな」
「えぇ、特に問題はありませんし、これならどうとでもなるでしょうから」
「そうか判った、時間はそんなに経ってないよな?」
「自分もこの状態になってしまい、時間間隔がずれているかもしれませんが・・・
そうですね、多く見積もってたとしてもまだ5分も経っていないかと」
「随分短かったな・・・それで奴はこのまま真っ直ぐ行ったのか?」
「はい、随分余裕が無さそうでしたな・・・あの逃げ様はまるで怯えている様子で」
「確かに怯えているような様子は感じていたが・・・他の魔物を刺激しないためにも
あまり長居はしない方が良いかもしれんな」
「ですな、日が真上にある内にさっさと奴を狩って帰りましょう」
「よし、そう離れていないな」
あっちも死が近いのか気配は感じないが・・・あれだけの損傷だ、空腹と怪我を癒す
ために何処か近くで休んでいるだろう、それに怪我で長距離移動に耐え切れないと
思われるし機動力も低下している、そもそもあの移動速度からして常に走り続けた
としてもそう遠くは離れる事は出来ないはず、僅かに残った砂で出来た凹凸の痕を
追って走る・・・流石に所々消えて途絶えている場所もあるが、その先を見ればまだ
痕がしっかりと残っている部分が多くお蔭で見失うことなく追い続ける事が出来る
たまに甲殻の一部らしき物が落ちているが・・・ふむ?再生しているのか欠けただけ
なのか、それにしてもさっきから他の魔物を1体も見かけない、最初砂漠に入った
時にはそれなりに居たがこの砂嵐のせいで隠れているのか?気配すら感じないが
ここら一帯の魔物は隠密が得意なのだろう、それか地中等に一定以上の深さを潜ら
れると感じ取れないからそっちなのかもしれないが・・・邪魔にならないなら今は
どっちでもいいか、痕の隣を走っていると右脚が急に沈み込んだ、また落とし穴か
砂の中に穴が出来ている?となると奴が作った穴じゃなく他の魔物の作った穴か?
引き摺り込むような穴では無くただの穴のようだ、穴の表面が隠れているせいで
見ただけでは穴を見つける事が出来ない、鑑定をしてみたけど引っ掛からない・・・
とは言え特に害も無いし気にしないでいいか、進んでいるともう1度穴に掛かった
今回もさっきと同じただの穴だ、それにしてももうどれくらい痕を追って来ただろ
うか・・・思ったよりも長距離移動している、すると幾つもの大きな砂の山が見えた
この砂山の中に隠れている何かの気配を感じる、だがどれが奴かどうか判らない
砂山は5つ存在しその中の3つから気配を感じる・・・1つは小さいからこれは違うか?
他の2つだが片方は弱っている?となるとこいつか、しかし砂山の中にどうやって
攻撃すればいいんだ?そんな威力のある攻撃手段が無い、取り敢えず次の事はまず
殴ってから考えるか、砂山を殴り薙ぎ砂を剥ぐ・・・思ったより脆いのか簡単に砂山
が崩れてくれるおかげで直ぐに砂山の一部が崩れていく、マガセビがあればもっと
早く崩せるだろうが、ただ道中にも無かったしまだ突き刺さったままなんだろう
うーん何か使える物を持ってないか?使えそうな物は無い・・・昨日回収した長杖が
使えるか?いや木製だし頑丈でもないこれでは耐えれそうにない、手でなんとか
するしかないか、殴って崩し掘って削り穴を広げていくとその内側から来た何かに
押し飛ばされる、その姿を見ればどうやら正解したようで後ろに下がって砂を払う
砂で動きづらそうにしている所に目の前の頭部へ近付き、その首?の下へと下から
殴り上げ一撃を叩き込む、ミシリと軋む音が聞こえ殴った部分の甲殻が砕け右拳の
表面に黒い線が走り皮膚が割れたようになる、頭部が上へと跳ね上がる前にその割
れた部分に指を差し込み引き込む、下側の甲殻が剥がれ持っている甲殻を剥がれた
皮膜すらない部分へと叩きつけて突き刺し直ぐに離して甲殻を更に奥まで押し込む
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