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12.共和国・人探し

二百五十八話 共和国を後に

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258話 帝国へはゆっくりと

その装備を慣れた動きで手早く纏って準備が終わった、特に他に気にする事は無い
よな?忘れるような物は元から無いし、後はもう外にまだ居るかもしれない2人に
気付かれないようにして外に出るだけだ、それ自体は音が消せる以上難しくないし
姿を見られないようにするだけ、扉のある方には窓が無いから窓のある方さえ気に
していれば見つかる事は無い筈だ、階段に行き上から扉の方を確認するが開けられ
た様子は無い・・・まだ扉の前に居るかどうかは判らないが窓の方を見ても家の中を
見てはいないようだ、2人揃って手早く階段を下りて半ば開いたままの窓へ向かう
「こっから入って来たの?それでここから出ると・・・」
先に窓から顔を出して外を確認するが人影は無く誰かに見られる心配は無い
「そうだ、誰も居ないし今の内にさっさと出るとしよう」
「どっちが先に行く?」
「一応私が先に行こう、あぁ音に関しては取り敢えず気にしなくて良い」
身を出すと入って来たよりもすんなりと潜り抜ける事が出来た・・・これは慣れか?
「さぁ来い」
首を越え胸部が出てくる時に窓枠につっかえてガチンガチンと金属音を鳴らす
「本当に大丈夫なのよね?!」
小さな声で焦ったように疑問をぶつけてくる、まぁ結構金属音が出たから仕方ない
「大丈夫だ、狭い範囲ではあるが範囲内で無音化されて外には聞こえていない」
「そうなの?そう言えば確かに部屋に来た時足音がしなかったわね、ぐぐぐっ」
くぐもったうめき声の様な物を漏らし体を押し出そうとしているが、やはり鎧が
大きいようでつっかえて進まない、このままでは出れそうにない・・・両脇部分に手
を入れて引っ張る、すると少しづつ出てきながらミシミシと鎧か窓枠が軋む音が
聞こえてきて、開いていた窓の接続部が壊れたのか外れたのか地面に落ちてガラス
にヒビが入り少し割れた、そのまま引き摺り出せたが窓枠もひしゃげてしまった
持ち主には悪いが修復する魔法は無いからここは見逃してもらいたい、まぁ持ち主
が存在するかは知らない・・・誰も勝手に使ってないから所有者は居ると思うが・・・
出ていくのは普通に門から出るつもりだ、正式な方法で入って来た以上正式に正門
から出ないと、もし入国者の情報が管理されている場合ずっと滞在している扱いの
ままになるだろうからな、そうなると後で面倒事になるしまた来る事になった時に
正面から入れなくなる、そう言えば彼女は正規の手段で入って来たのか?
「正面から普通に出るつもりだったんだが・・・今気になった事がある」
「ん?」
「君は正規の手段で入って来たのか?それとも非正規の手段か?」
「・・・うーん?どうだったかな、入る時は正門を通ったと思うけど、まぁどうでも
いいんじゃない?そもそも正規か非正規かなんて判んないだろうし」
「そうか、そこまでガチガチな訳でも無いんだな」
「商人も多く活動するしそもそもが多種族の国だからね、そこら辺をガチガチに
しても管理しきれないんだよ、人間の国でも他種族の把握と管理は難しいからね」
「そんなものなのか・・・では正門から出るとしよう、今はもう出入りの制限が緩く
なっているのか商人が出て行っているし今の内に出ていこう」
「そうね・・・また少ししたら制限が強くなるかもしれないし」
2人で正門に向かうと商人や冒険者らしき集団が短い列を作っていた、冒険者は出て
行く際に何も無くすんなり行っているようだが、商人は次の予定なのか衛兵と何か
を話しながら紙に何か書き込んでいて時間が掛かっている、となると自分達も何も
なく出ていけるな、しかしローブが少しボロボロすぎる・・・奪ったローブでも使うか
彼女もローブが無いし彼女達から手に入れた灰色と白色のローブを亜空間倉庫から
取り出す、確か彼女が使っていたのは白色の方だったか?渡しておこう
「これを返す、流石に目を着けられはしないよな?」
「問題ないと思うよ、別に珍しい物でもないし」
表通りに出る前に互いにローブを纏う、この灰色のローブが少し短いため今使って
いるローブの上から着る事にする、フード付きだが腰くらいまでの長さしかない
まぁ短いからこそ動く際に邪魔にならないと言う利点もあるか、ポーチをギリギリ
ではあるが覆いきれているから実用性で言えばこの長さで十分なのかもしれない
並んで少し待っていると普通に門の外に出れた、門に欠点があるとすれば門の幅が
狭く商人が通る際に他に誰も通れなく事だろうか、出入りで左右を別けているため
自由度が無く少し不便ではある、門の側に貼ってある紙には魔物の鎮静化を確認と
その下に一部の場所の接近への警告が書かれている・・・恐らく兵士達が死んだ場所だ
死骸を漁りにくる魔物が居るし活発化するだろうから当然か、さてこのまま商人達
の後ろを着いて行くように行くかとっとと走り抜けるか、商人達と近い場所に居れ
ば魔物に襲われ難くなるだろうし襲われても護衛の冒険者が居るから戦力も多い
欠点は移動速度が少し遅いから時間が掛かる事だな、急いでいく場合は彼女を運ぶ
事になるだろう・・・その場合道中の事もあって彼女を安全に運べる確証は無い
「急いで向かうのと普通にするのとどっちがいい?」
「普通なら商人達に合わせて移動するんでしょうけど・・・急いでいく場合は?」
「担いで走る、難点は走っている途中君の安全を確保しきれない事だ」
「それはどっちでも同じでしょうに、気にするところ?」
「いや担いでいる場合木や枝、すれ違った魔物に当てるかもしれない」
「あぁ・・・そう言う不注意によるやつね、流石にちょっとそれは不安になる」
「元から普通に歩いていくつもりではあったんだろ?」
「流石に向かってすぐ着いた・・・はな、先に色々と周囲を見ておきたいんだ」
「ふむ、安全に進むとなると道なりに進むのが1番だが・・・どこまで遠回りをして
いるのか知らないから思ったより時間が掛かるかもしれん」
「ん?確かあなた帝国から直接この国に向かって来たんでしょ?来るのにどんな
道を使ったの?」
「飛竜の渓谷の側を走り抜けてきた」
「・・・正気じゃないわね、あの場所を抜けるなんて」
「ワイバーン達にはちょっとちょっかいを掛けられたがそれだけだ」
「よく巣の近くを行く気になったわね、群れが多すぎて放置されてる場所よ?」
「そうだな、だが周囲を飛んでいたのは少なかったから運が良かった」
実際にはワイバーンイーターが居たからだろうが・・・そもそもワイバーンイーター
が居たこと自体、特に危険な外敵や天敵となる存在が周囲に居なかった事と人類が
攻撃しなかった事でワイバーンの数が増え過ぎていたのが原因なんだろうな
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