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14.それは成長か退化か

二百九十一話 毒溜りの森:伝説・大地より溢れ出たモノ

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291話 伝説って?:そこら辺で稀に良く見るよ

ゴボゴボと泡立つように内から湧き上がってくる黒い泥・・・表面に触れている根が
少しづつ朽ちるように色褪せて行くと、外へと崩れていって塵の様に散っていく
「ヴゥム・ラヴァム・フヴォーム」
穴の開いた場所から黒い泥が溢れ出て表面を覆うとその穴を塞いでいく、最後に口
から余ったと思われる泥がドロドロと流れるように零れ落ちていく、まだ少し内部
には違和感が残っている・・・根の一部が残ったままになっていると思われる、だが
もう十分に体を動かせるまで根を排除出来た、そうして体勢を整えた所に一直線に
向かって来るキンリンガムイの姿が僅かに捉えられた、しゃがんで足下をすり抜け
直ぐ様後ろへと振り返れば右腕が振り下ろされている、右手でかち上げるようにし
て弾く様に防ぐ、さっきより力も上がっているのか、弾く事は出来たが力負けして
いる・・・右手もダメージを受けて動かし難くなっているし右腕も動かす度に僅かに
だが軋みを上げている、だがあっちもダメージを受けているのか弾いた所が凹んで
いるように見える、まぁ気のせいかもしれないが・・・しかし今の衝撃のおかげか動き
を止めている間に左手を脚に伸ばし太腿部分を掴み力を込める、やはり硬く弾力が
無い・・・恐らく内部も同じ感じなのだろう、指を突き立て五指をめり込ませてみる
ミシミシと指が砕けかけながらもめり込んでいく、だが1cm程めり込んだところで
止まった、内部がより硬くなっている、痛覚は無いのか傷に反応せず左腕が横から
薙ぎ払う様に振るわれた、掴んだ箇所に力を籠め捻りながら引いて表面を剥ぎ取り
ながら動かし辛い右腕を力任せに上から叩き付け方向を下に逸らし、そのまま叩き
付けた反動を使って右腕を起点にして跳び上がる、そして足下にいった左腕を足場
にしながら威力より速度を重視し直ぐにその頭部へと左の拳を叩きこむ、ヒビが出
来る訳でも体勢を崩す所か威力が足りなかったのか後ろに逸れる事すら無い・・・と
たいして効いてはいなさそうだった、そこから人差し指と中指を眼へと突っ込んで
残った指で顔を掴んで指をめり込ませる、すると後ろから来ていた右腕に掴まれて
指の間に挟まれた左腕が肘から折れた、そのまま顔から引き離されるようにして投
げられる、その最中見る限りでは今のも効いている様子は無い、様子見を終えると
同時に背中から水に当たり、その勢いを使って後ろへと転がり体勢を整えて両足を
水に入れその勢いを抑える・・・それにしても力を込めて投げれるような投げ方では
無かったと言うのに随分な威力だ、まぁ生物の筋肉や骨格と構造が違うからか?
成程・・・そっちの方が効率的だし良いな、早速真似してみよう、人間の肉体構造の
模倣を止めて外側は人間の姿のまま内部を変更・・・骨とか筋肉の真似をやめて泥に
よる流動体を硬質化すればいいか?いや、流動体を部位事に別けて留めておくのか
右腕が振るえだしたかと思えばひしゃげてしまった、この欠点は部位の破損がその
部位全体に拡大してしまうのか?そうか1つの部位で完結するせいで外側が壊れる
と内部の泥が溢れ出すのか、んん?あぁ・・・思考も鈍くなってるなこれ、だめだ奴
がこっちへと向かって来ているのに動けない、早く戻さないといけないのに部位事
に別けたせいか全体が断裂している、これは完全に失敗だ・・・突っ込んで来た体に
そのまま押されて後ろの木へぶつかり挟まれる・・・失敗?いや頑丈にはなっている
本来なら潰れていただろうこの状況も消耗も無しに耐えれているのだから成功だ
思考力の低下とまともに体も動かせないと言う欠点はあれど防御面は遥かに上昇し
ているし状況的には合っている、そのおかげで協力な一撃を凌ぎきれたのだからこ
れで良しとしよう、だめだ思考が鈍っているせいで次にやるべき事が考えられない
体が重い・・・いや自分で思ったように動かせないだけで相手の動きに反応して自動
で防御行動を行い攻撃を捌いてくれている、弾いては逸らし叩き落としては叩き上
げ体勢を崩し時には力任せに押し込んで体ごと押しのける、こんな事が出来る筋力
は無かったから間違いなく筋力が大きく上昇している、脚が一歩下がると共に上体
を逸らさせる事までは出来たが倒れるまではいかなかったか・・・いや、そもそも浮
いているから転倒自体しないのか?押しのけて体勢を整えようと思った・・・がなぜか
既に右腕が奴の腹部へと伸びており、それに疑問を抱く前に拳は僅かだがめり込み
ドシンと衝突音が響き衝撃波が吹き抜ける、そしていつの間にか指を曲げた左手が
奴の前に出ている左脚へと振り下ろされていて、メキャリと木が砕ける音がすると
共に左手は半分ほど埋まりそのままの勢いで足から水へと叩き付ける、埋まった左
手を引き抜きながら横に回り込み、水面から僅かに見える腹部らしき場所へと右拳
を振り下ろす、ドンッと鈍い音が出た拳とその体が沈み込んだ衝撃で水飛沫が跳ね
上がり波を作る、異様なまでに視野が狭くなって眼の前以外が黒く染まり敵のみに
意識が全て向いた集中状態となった・・・キンリンガムイの僅かな動きをも見逃さず
「ウンパラヤスカ、カルンカッティー、イィノフォーボム」
何だ?さっきまでのガサついていた喋り方と違う、まるで歌っているような感じだ
それに低めの男と高めの女の声、両方がきれいに重なって聞こえて来る
「フーカルカイン、アルレッシウィム、ヨッテンモシーノ」
言葉の意味はまったく分からないが、音程的には会話とは思えないし歌っているの
は確かだろう、奴も起き上がり始め・・・その腹部が中心位から大きく横に裂けてまる
で大きく開いたギザギザの口のようなものになっている、それは口の奥が真っ黒で
口と言うよりは何処か覚えのある拡張された空間が広がる門の様な印象を受ける
「アルルウィニア、ケッセルフォルノ、トィウィヒバーク」
さっきから歌ってはいるものの、最初の口以外に何か変化が起きている訳では無さ
そうだし魔法を発動している訳でも無く、別に何か変な感覚がする訳でも無い・・・
「ウィレニバック、ウィソルゾレビエ、アウェルニデイレ」
「ヴェニエニ、レディアス、ゲネボリバシアス」
変わった?短くなってテンポも上がった
「レイジェニ、ファデアス、ゲデドリバニダス」
「カーディアル、ゼルフェロス、ヴェニエリヴァニタス」
何だ今のは?私の声か?少し声がおかしかったような気がするが自分から聞こえた
だが何故私の口から放たれた?歌と言うよりまるで詠唱の1部の様だったが・・・
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