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15.魔の目覚め/死の律動

三百七話 骨・骨・骨騎士・決闘場

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307話 骨の決闘・とても自然な死闘/なちゅらるですまっち

その勢いで床に叩き付けられて滑る様に背中から落ち、それによって骨が砕け音を
鳴らす、カラカラと互いに打ち付ける乾いた音とバキバキと砕ける音が広間に響く
追撃があるか何か起きるかと警戒したが、起きて周囲を見渡しても静まり返った広
間に変化は無く、魔物も居らずさっきの叩き付ける攻撃?も来ない、外側に出よう
とすると引き戻そうとしてやってくると考えれば、この四方の牙のような柱?にも
何かしら意味があるんだろうが・・・ふむ?中央に口が開いた頭蓋骨が転がっている
さっきまで無かったと言うかさっき叩きつけられた場所か?取り敢えず何かが起き
ると信じて頭蓋骨を触ってみる、僅かに暖かさを感じるものの何も起きる様子はな
く掴んで持ち上げてみた、人間の頭蓋を模しているようだが側頭部に僅かに角の様
な突起らしき膨らみがある、そして血の様な生暖かさとぬるりとした感覚と感触・・・
それでありながら硬い物を掴んでいるという違和感を感じそれを手に乗せてみると
空っぽだった筈の口腔内から何かが転がって出て来た、臓器?ドクンドクンと未だ
に脈打つそれ、この広場の鼓動と同じ鼓動を刻む心臓・・・これがこの部屋の核か機構
の鍵となっている物なのだろうか?それを鑑定してみても[脈打つ心臓]としか出て
こないし、心臓で合っているがそれ以外の情報は無いと来た、頭蓋骨の方を見ても
[頭蓋骨]としか出て来ないし・・・人のと付かないと言う事は人間のと言う訳では無い
様だが、そうなるとどの種族の物なのだろうか?もう1度触ってみるも今度は温かみ
も無く骨の感触しかないただの骨になっていた、こっちはもう何の意味も無さそうだ
し心臓の方が重要だと思い、取り敢えず握り潰したくなった気分とやれと言う直感に
従って握り潰す、一瞬心臓があるであろう辺りに寒気を感じると直ぐに圧縮された
これは攻撃した対象の心臓に状態やダメージを再現しているのか?ふむ、あれを倒し
た冒険者達もこれで死亡したのか、どうして外傷の少ない綺麗な死体が多いのかと思
えばこう言う事だったのか・・・呪魔法かそれらしき奴だな?生命や血や魂関係とか?
そう言った魔法もありえそうだしそれ系統のギミックも有るか無いであれば有りそう
だな、あーするとこのダンジョン、もしかしてそう言った魔法を使ってるか漏れてる
なんてのもあり得るのか?ここ絶対普通のダンジョンじゃないだろ・・・そこまでして
侵入者を確実に殺そうとするなんて普通のダンジョンの性質や機能じゃありえないし
誰かが意図的に造ったんじゃないだろうな?突出した魔法使いか神か?それともそれ
らしき事をやれる能力を持った魔物か~?こっちでもどれもありえそうだ、まぁまず
重要なのはこのダンジョンから出る事なんだが・・・む?いつの間にか頭蓋骨と潰した
心臓が中央に引き込まれおり、それを中心として力が注ぎ込まれながらそこに何かが
形作られている、人型の影が揺らいでいる・・・この気配からすると魔物か?特別死の
気配がする訳でも無いし魔人では無さそうで一安心だ、連日そんなのは困るし何より
ダンジョンに行くたびそんな事になるとこれからも同じ事が続くんじゃないかと不安
になる、頻繁に奴らと顔合わせなんて御免こうむる・・・絶対戦闘になるし戦った後は
暫くの間戦闘での負担が大きいせいかなんか疲れるし、そんな事が起きない事を期待
しつつ意識をこっちに戻すとしよう、この気配からすると魔物の集合体とも言えそう
なものだが、幾つもの気配が1つに混ざった様な感覚がするのに気配が同一の存在に
近く単一の存在が1つに戻った様な感じもする、ダンジョンの魔物を1つに集めたとし
たら個性の無い量産魔物を素材にしている以上可能性として高い、ただそれにしては
サイズが変わらないと言うのが気になる、そうすると普通は巨大化するモノだが・・・
それに人の気配を感じないのも不思議だ、ここにもあるがダンジョン内で死んだ人間
の魂や肉体を取り込んだり素材には使ってないのか?効率からすると素材に使った方
が良さそうなものだが、ダンジョン自身の性質と合わないから逆に効率が悪くなる・・・
なんて事もあり得るか?等とゆっくり考えていると、ようやくそれなりの時間を掛け
て現れた、基本的な見た目はスケルトンと特に変わりない、とは言え骨の体には金の
ボタンの白い長袖長ズボンの服を着ており、白いブーツと手袋を嵌め外が緑と内が赤
のマントを羽織っており、それは騎士外套とでも言うのか左半身を覆い左腕を隠すよ
うに着けている、服には肩や袖口と襟に金色の装飾が施されており貴族の服の様にも
見えるし演劇で使われるような騎士の服装にも見える、服装が大きく異なっているが
気配からしても特別変わった感じはしない、気配が強くなるわけでも巨大化する訳で
も無い・・・変わった集合体だな、これでは集合体としての意味が無いのではないか?
「あぁ貴公、決闘を始めよう、楽しい愉しい闘争を、闘争本能の楔を断ち切るのだ」
「いや、ここから出してくれる方が助かるんだ、解放してくれないか?」
見てみるも名称の鑑定が出来ない、格上なのか種族等に当たる物が無いのか・・・
「それは無い!ありえない!誰も戦いを拒めない!何故ならば闘争こそが命の在り方
であるが故に!闘争こそが存在の証明であろう!なれば我等は決闘を為すのみよ!」
「いやそっちに命は無いし、戦いなんぞにそんな価値は無いだろう?」
「あぁぅるとも、大いに!交わす言葉なぞに意味は無く!戦いの結果だけが全てを示
し決める!勝者だけが権利を持ち敗者はただ消え去るのみ!解ったな!ならば御託は
ここまで、いざ尋常に無情にして無道の決闘を!死を嗤う決闘を!死合おうぞ!」
会話をしているようでしていない、答えは返してくれているが言いたい事や決まった
事を告げているだけの様な会話する気の無い話しぶりだ、良い終わり剣を肩につける
ようにして縦に構えたかと思えば瞬時に突きが飛んでくる、しかも距離的には先端が
少し刺さるかどうかと言った距離のある状態でだ・・・距離があろうと当てられる刺突
を飛ばす様な技があると考えた方が良い、ならば射線上となる場所から離れなくては
「どうした?剣を抜かんのか?それでは我を殺す事は叶わんぞ」
近接戦がやり難いスナイパー形態からハンドガン形態に戻し、言葉と同時に一歩踏み
込む様にして一瞬で近づいて来た、更にほぼ同時に肩に向かって突き出された剣先が
突き刺さる寸前に弾いて続く連撃を躱す様に距離を取る、ローブに少し掠ったか・・・
邪魔だし破れても困るから脱いでおこう
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