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第一部 美少女モンクと死霊魔王
第23話 アララット山
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朝が来て、日の出と共に目が覚めた。
今日も体は快調だ。
昨日の夜はあの後も、ついイーリアスに対する俺の熱い想いを語りまくってしまった。エリーには悪いことをしたかもしれない。ちょっと引き気味だったもんなエリー。
でも仕方がない。『ファンサ5』のプレーヤーでイーリアスを嫌いなやつはいないんじゃないか? っていうくらいの大人気キャラだったもんな、イーリアスは。ゲームの時でさえ仲間になってくれる事に、ファンは喜びで涙したんだ。
登場シーンに流れるBGM『ロングブリッヂの死闘』なんて、ファンサ全シリーズを通しての神曲として、常に上位にランクインするほどだ。あれは単純な曲の良さだけとは思えないんだよな、俺は。もちろん曲は素晴らしい名曲なんだけど。
さて、今の内にチョコ吸いをして······スーハースーハー······うーん、いい匂い。朝から幸せな気分だ。
おっ、エリーが起きた。
「おはよう、エリー」
「おはよう、ルイちゃん」
朝の身支度を済ませ、朝の儀式もしっかりとこなした後、朝食をとったら準備万端、出発だ!
10日かけてチョコザで移動し、ようやくアララット山の麓に着いた。道中のレベリングで俺とエリーののレベルが49に、チョコとザックのレベルが38にまであがった。
ゲームだと、たしかこの辺りに······おっ、見つけた。なぜかこんな所に一人で住んでいるお爺さんの家を発見。ここでワイバーン避けのポプリをたくさん買って行かないと、夜安心して眠れないからな。
「こんにちは。私達大事な用事が合ってアララット山に登らないといけないんですけど、この山について何か知っていることがあったら、教えていただけませんか?」
「なんとまあ! こんな所に来るなんて命知らずじゃのう。この山はワイバーンの巣になっておる。一度足を踏み入れれば、縄張りを荒らした者を執拗に襲ってくるでのう。悪い事は言わん、やめておきなさい」
「どうしても、山頂まで行かなくちゃいけないんです」
「山頂! 山頂には巨大なワイバーンのボスがおるぞ! 普通の人間には手も足もでんから近付かんほうが良いのじゃが······仕方無いのぉ。ならばせめてこれを持って行きなさいワイバーン避けの花を集めたポプリじゃ」
「ありがとうございます!」
「一つ1000シグじゃぞ」
たっか!
ゲームの時より値段が十倍になってないか!?
この爺さん、ついにぼったくりを始めたのか?
まぁ仕方ない。ワイバーン避けのポプリを買えるのはここしかないから、一応多めに50個買っておこう。需要と供給のバランスということだろうしな。幸いにして報奨金をあちこちで、たんまりもらったので財布には余裕がある。
事前準備として、お爺さんからポプリを買ったので、体を休めたらいよいよアララット山にアタック開始だ。
ワイバーンも亜種とはいえ竜種なので、チョコザのもつ雑魚モンスター除けの能力ははたらかない。
因みに先程買ったこのポプリ、山の目立つ所をウロウロしているとさすがにワイバーンの巣だけあって、エンカウントはするが、団体様ではなく一体しか出てこなくなる、という代物だ。
俺達のパーティーだと、空にいる敵に遠距離攻撃ができないから、やってきた相手を逃さないように一体ずつ倒した方が無難ということだ。なにせこの山のワイバーンのレベルは50~60。
油断すれば死ぬのは俺達の方だ。
魔王軍の本拠地を除けばこの大陸では一、ニを争う高レベル帯のモンスタースポットなのだ。目的の『破邪の剣』を手に入れつつ、最低限こちらのレベルも60台にしたい。
ポプリを一つ使い、いよいよアララット山に入った。俺はザックから、エリーはチョコから降りて、歩いて登っていく。その方が上空からの攻撃に対処しやすいからだ。
突然、上空から影が襲いかかって来た!
「ワイバーンだ! 皆! いつも通りにやるぞ!」
まずはいつも通りに、エリーのかえるの歌を二、三回叩き込む!
状態異常耐性が高めの竜種には効きにくいが、確率で成功することもあるはずだ! その間は守備に徹してエリーをみんなで守る!
連続でミスだ!
だが慌てることはない。元々きけば儲けもの位の気持ちだからな!
続けて、すばやさの歌、ちからの歌へとだんだん移行していく。
ここからはエリーの守りは『護る!の腕輪』のオートかばうと、チョコザ達に任せて、俺は攻撃に転じる。
ワイバーンは空中のほど近い所をホバリングしてこちらに攻撃してきているが、若干距離が遠いので、前列後列関係なく何故か全体攻撃になっている、モンクのスキル『けり』を使う。
いわゆる飛び蹴りだ。流星の様なエフェクトと共にワイバーンに突っ込んでいく!
ドガッ!
よし! ちゃんと攻撃は通用する!
どんどん蹴りまくるぞ!
ワイバーンは全体攻撃の風魔法を多用してくるから、チョコとザックにはチョコヒールでの回復を小まめにやってもらう。
エリーは歌、俺は蹴りに全集中だ!
モンクの呼吸壱の型!
みなにけり!
ドガッ!
みなにけり!
ドガッ!
けり!
ズガッ!!
カシャーン!
硬質なガラスが繊細に砕けるような澄んだ音をたてて、ワイバーンが光のエフェクトと共に消えていった。
ふぅー。一戦一戦が、ボス戦みたいな手応えだな。
さすがに手強い!
だがきちんと危なげなく戦えている。その分レベルの上がりも早いからどんどんいこう!
しばらく進むと、また上空にワイバーンがあらわれた。
「エリー!」
「かえるの歌!」
ボワン!
カエルに変化したワイバーンがボテンと落っこちてきた。かえるの歌が効いたぞ!
よっしゃ~!!
やはりかえるの歌は凄い!
こうなれば後は楽勝だからな!
夜は手頃な洞窟で野営して、三日かけて山頂までやってきた。道中のワイバーン狩りは、平均すると四体に一体位がカエルになってくれたので、その分助かった。俺達のレベルもだいぶ上がったから、どんどん戦闘も楽になっていったしな。
山頂には『破邪の剣』は見当たらず、巨大なワイバーンが丸まって寝そべっていた。
でかい!
ジャイアントタートル並みの大きさだ!
今日も体は快調だ。
昨日の夜はあの後も、ついイーリアスに対する俺の熱い想いを語りまくってしまった。エリーには悪いことをしたかもしれない。ちょっと引き気味だったもんなエリー。
でも仕方がない。『ファンサ5』のプレーヤーでイーリアスを嫌いなやつはいないんじゃないか? っていうくらいの大人気キャラだったもんな、イーリアスは。ゲームの時でさえ仲間になってくれる事に、ファンは喜びで涙したんだ。
登場シーンに流れるBGM『ロングブリッヂの死闘』なんて、ファンサ全シリーズを通しての神曲として、常に上位にランクインするほどだ。あれは単純な曲の良さだけとは思えないんだよな、俺は。もちろん曲は素晴らしい名曲なんだけど。
さて、今の内にチョコ吸いをして······スーハースーハー······うーん、いい匂い。朝から幸せな気分だ。
おっ、エリーが起きた。
「おはよう、エリー」
「おはよう、ルイちゃん」
朝の身支度を済ませ、朝の儀式もしっかりとこなした後、朝食をとったら準備万端、出発だ!
10日かけてチョコザで移動し、ようやくアララット山の麓に着いた。道中のレベリングで俺とエリーののレベルが49に、チョコとザックのレベルが38にまであがった。
ゲームだと、たしかこの辺りに······おっ、見つけた。なぜかこんな所に一人で住んでいるお爺さんの家を発見。ここでワイバーン避けのポプリをたくさん買って行かないと、夜安心して眠れないからな。
「こんにちは。私達大事な用事が合ってアララット山に登らないといけないんですけど、この山について何か知っていることがあったら、教えていただけませんか?」
「なんとまあ! こんな所に来るなんて命知らずじゃのう。この山はワイバーンの巣になっておる。一度足を踏み入れれば、縄張りを荒らした者を執拗に襲ってくるでのう。悪い事は言わん、やめておきなさい」
「どうしても、山頂まで行かなくちゃいけないんです」
「山頂! 山頂には巨大なワイバーンのボスがおるぞ! 普通の人間には手も足もでんから近付かんほうが良いのじゃが······仕方無いのぉ。ならばせめてこれを持って行きなさいワイバーン避けの花を集めたポプリじゃ」
「ありがとうございます!」
「一つ1000シグじゃぞ」
たっか!
ゲームの時より値段が十倍になってないか!?
この爺さん、ついにぼったくりを始めたのか?
まぁ仕方ない。ワイバーン避けのポプリを買えるのはここしかないから、一応多めに50個買っておこう。需要と供給のバランスということだろうしな。幸いにして報奨金をあちこちで、たんまりもらったので財布には余裕がある。
事前準備として、お爺さんからポプリを買ったので、体を休めたらいよいよアララット山にアタック開始だ。
ワイバーンも亜種とはいえ竜種なので、チョコザのもつ雑魚モンスター除けの能力ははたらかない。
因みに先程買ったこのポプリ、山の目立つ所をウロウロしているとさすがにワイバーンの巣だけあって、エンカウントはするが、団体様ではなく一体しか出てこなくなる、という代物だ。
俺達のパーティーだと、空にいる敵に遠距離攻撃ができないから、やってきた相手を逃さないように一体ずつ倒した方が無難ということだ。なにせこの山のワイバーンのレベルは50~60。
油断すれば死ぬのは俺達の方だ。
魔王軍の本拠地を除けばこの大陸では一、ニを争う高レベル帯のモンスタースポットなのだ。目的の『破邪の剣』を手に入れつつ、最低限こちらのレベルも60台にしたい。
ポプリを一つ使い、いよいよアララット山に入った。俺はザックから、エリーはチョコから降りて、歩いて登っていく。その方が上空からの攻撃に対処しやすいからだ。
突然、上空から影が襲いかかって来た!
「ワイバーンだ! 皆! いつも通りにやるぞ!」
まずはいつも通りに、エリーのかえるの歌を二、三回叩き込む!
状態異常耐性が高めの竜種には効きにくいが、確率で成功することもあるはずだ! その間は守備に徹してエリーをみんなで守る!
連続でミスだ!
だが慌てることはない。元々きけば儲けもの位の気持ちだからな!
続けて、すばやさの歌、ちからの歌へとだんだん移行していく。
ここからはエリーの守りは『護る!の腕輪』のオートかばうと、チョコザ達に任せて、俺は攻撃に転じる。
ワイバーンは空中のほど近い所をホバリングしてこちらに攻撃してきているが、若干距離が遠いので、前列後列関係なく何故か全体攻撃になっている、モンクのスキル『けり』を使う。
いわゆる飛び蹴りだ。流星の様なエフェクトと共にワイバーンに突っ込んでいく!
ドガッ!
よし! ちゃんと攻撃は通用する!
どんどん蹴りまくるぞ!
ワイバーンは全体攻撃の風魔法を多用してくるから、チョコとザックにはチョコヒールでの回復を小まめにやってもらう。
エリーは歌、俺は蹴りに全集中だ!
モンクの呼吸壱の型!
みなにけり!
ドガッ!
みなにけり!
ドガッ!
けり!
ズガッ!!
カシャーン!
硬質なガラスが繊細に砕けるような澄んだ音をたてて、ワイバーンが光のエフェクトと共に消えていった。
ふぅー。一戦一戦が、ボス戦みたいな手応えだな。
さすがに手強い!
だがきちんと危なげなく戦えている。その分レベルの上がりも早いからどんどんいこう!
しばらく進むと、また上空にワイバーンがあらわれた。
「エリー!」
「かえるの歌!」
ボワン!
カエルに変化したワイバーンがボテンと落っこちてきた。かえるの歌が効いたぞ!
よっしゃ~!!
やはりかえるの歌は凄い!
こうなれば後は楽勝だからな!
夜は手頃な洞窟で野営して、三日かけて山頂までやってきた。道中のワイバーン狩りは、平均すると四体に一体位がカエルになってくれたので、その分助かった。俺達のレベルもだいぶ上がったから、どんどん戦闘も楽になっていったしな。
山頂には『破邪の剣』は見当たらず、巨大なワイバーンが丸まって寝そべっていた。
でかい!
ジャイアントタートル並みの大きさだ!
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