目が覚めたら異世界で草生える

みももも

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山越え

山頂に到着した!

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 テントの中で寝るというからしっかり休めるかどうかが不安だったんだけど、その点は割とどうにかなった。鞄から取り出した寝袋は中古だからか表面が少し汚れていたけれど、自動洗浄の魔道でも働いているのか内側は新品同然だし、取り付けられている魔石にはまだ魔力がたくさん残っているみたいだから私でも魔導の恩恵を受けることができた。
 袋の中に入ると暖かさに包まれて、あっという間にまぶたが落ちる。

 ……そして気がつくと朝になっていた。ちょうど山間から覗いた朝日がテントの幕を通して差し込んできて、爽やかな目覚めを促してくれる。
「うーん、おはよぅ、お馬さん」
『おはよう。よく休めたか?』
「まあね! 目覚めは快調! 今ならどんな山道でも登れそうだよ!」

 テントから顔を出すと、冷たい空気が顔に当たって気持ちいい。そしてお馬さんは相変わらずな感じだ。朝起きたらお馬さんがいるという光景にも慣れてきたのかもね。
 今日も朝から山登りを再開しなくてはいけないので、パンを魔導器具でトーストしながらテントの中で寝巻きから着替え、テントを片付けたらパンを口に挟みながらお馬さんの上に乗ってまたお馬さんに揺られる旅が再開された。

 そして山道に入ったあたりで流石に怖いからお馬さんからは降りて、お馬さんの後につきながら1時間ぐらい歩いて……まあ特に話すようなことはなかったから省略するね。最初のうちは雑談とかもしてたんだけど、私の体力的な意味で最後の方は話する余裕もなくお互い無言だったぐらいだし。

「ぜぇ、はぁ……」
『お主よ見ろ、良い景色だぞ!』
「んぇ? 景色? ……あ、ほんとだ」
 顔を上げるとどうやら山の頂上についてたみたい。木々の合間から山の向こうの景色が見える。なんていうか良い景色とか悪い景色とかじゃなくて、山を上り切ったっていう達成感がすごい。なるほどこれが登山の醍醐味ね。まあここから下りがあるわけだけども。

 ちなみに余談だけど、私が歩いてきたのは完全に登山者用のコースで、荷馬車を引く商人とかはこの道のりの数十倍の長い距離を回り道して山越えをすることになるらしい。
 私たちもそっちの道で行けば楽なのは楽だったんだろうけど、そうすると山越えだけで一週間以上かかっちゃうかもしれないらしい。私たちは特に急いでいるわけじゃないけれど、路銀も無限にあるわけじゃないからね。それに山越えもなんだかんだ楽しかったし。

『せっかく山頂まで来たのだから、一休みしてはどうだ? 昼食……には早い時間かもしれぬが』
「そうだね。せっかくだから一息つこうかな。……あ~、空気が美味しい!」
 ここまでくるのは疲れたけどようやく山越えの折り返し地点まで到着したみたいだし、今日中に麓まで着けそうかな。鞄から水筒を出して水を飲むと、疲れた体に染み渡る。時折吹く強い風が汗で蒸れた湿気を洗い流してくれるようで気持ちいい。

「さて、それじゃあ……くだろうか」
『下りは足元に気をつけるのだぞ。それと山のこちら側は気温が高くなるから、コートは早めに脱いで水分補給はこまめに行うのだぞ』
「わかったって。そんな何回も言わなくても大丈夫。水は喉が乾く前に飲む。水を飲む時は塩を舐める。でも飲み過ぎるとトイレに行きたくなるからちょっとずつ飲む。でしょ!」

 まったく。あなたは私のお母さんか⁉︎
 まあでもこうして無事に頂上までたどり着けたのもお馬さんのサポートのおかげだから、あまり大きな声で文句は言えないんだけど。
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