三つ子の百合姫

長瀬 青斗

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それは、初めて赤らんだ楓の音

いちご飴【歌詞ノートの記憶】

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「なーなー楓音かのんー。なんか最近歌作ってないん?」

ソファに寝転びながら足をバタバタさせている天音あまと

「そろそろこうさー、ポップで可愛い曲が欲しいわけよ。そういうのって楓音担当じゃん?」
「いやいつからわたしの担当になったんだ、ん?」
「いや怖ぇよ。急にガラ悪ぃよ。」
「それどころじゃないのよこっちは…いいわよねーあんたは気楽そうで」
「なんだとぅ!?こっちは今も曲作りに行き詰まってんだよこんちきしょう」
「あんたの方がガラ悪いわよ…」

iPadをコツコツ指で叩く天音。普通にうるさい。

「やめんかい💢」
「え、なんなん?なんかあったん?生理?」
「お前まじで黙れ???」
「イライラは女の子の敵ぞ?」
「召されたいのか貴様?」

もう嫌だ…こいつと居るとどんどんガラが悪くなっていくのが自分でもわかる…

「あーわかった恋だ!彼氏だ!!うわぁ楓音が色気づいた!!!」
「いや違うし!?付き合ってないし!?はぁ何言ってんのあんた!?」
「え………え、楓音マジなん?え、好きな人できたん??マ???」
「え………」

え???え、菊里さんの事が好きなの?わたし。いや、確かにかっこいいし綺麗だし、話してて楽しいし、でも女の人だし、え……???え???

「じゃ、ラブソングよろしくぅ」
「はぁ!?」
「自分の心の整理にピッタリな事くらいよく知ってるだろー」
「……………。。。」
「じゃ、俺は寝るんで。おやすー」
「おやすみ…」

心の整理…ね。まぁそうなんだけど…
とりあえず日記代わりに書いておくか
菊里さんにハンカチと上着返さないとなぁ

私用の桃色のノートを広げる

~・~꙳~~・~꙳~~・~꙳~~・~꙳~~・

『いちご飴』 楓音かのん/作

大人の世界は
珈琲の様に苦いらしい
けど  僕はミルクもお砂糖も
入れないと飲めないお子ちゃまなんだ

真っ黒な大人達は
香ばしい香りに包まれて  あぁ
もうちょっとミルクとお砂糖を
入れないとクラクラしそうだ

そんな香ばしい香りの中から漂ってきた
いちごの香り甘い香り
とっても甘いものが好きなのね

ころころコロコロ転がった
飴ちゃんキラキラ光る時
クルクルくるり振り返って
笑うまるで少女の様に
ジリジリ苦い口ん中も
コロコロ飴ちゃん転がせば
サラサラとろり溶けきって
後には甘い香りだけが、残る

~・~꙳~~・~꙳~~・~꙳~~・~꙳~~・

………ポップ感で押し切ってしまった感が否めないが、まぁ日記代わりには良いだろう

ノートを閉じて、電気を消す

「おやすみ」
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