悪役令嬢に転生したけど記憶が戻るのが遅すぎた件〜必死にダイエットして生き延びます!〜

ニコ

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「フレヤ‼︎ 出てこい! 貴様の追放先が決まった! ロンデル帝国の樹海だ‼︎」
(※ロンデル帝国の樹海:入ったら最後。絶対に出てくる事ができないと言われている森の事)

 牢に喚きながら入ってきた人物。皆さんもうお分かりですね? そう! 私をと言いやがったこの国の王子です‼︎

「うるさいですね~」
「は? オマエダレタ?」
「あらあら? 言葉が片言になっていましてよ?」
「え? おい! 看守‼︎ お前たちこんな身代わりで俺が騙されないかと思ったか⁉︎」

 牢の中にいる私を見た瞬間王子の目が点になった。あんぐりと口を開き、我に帰った瞬間看守達を怒鳴り出した。

 おいおい、私はフレヤだぞ? 

「お、王子。恐れながらこの方はフレヤ様で間違いございません」

 顔馴染みの看守の1人が恐る恐る言い返す。すると、アホ王子君が失礼なことを言ってきた。

「嘘も休み休み言え‼︎ 大体体型が違う! フレヤの奴はこんなに痩せていない‼︎ 豚のように肥え太った体つきだったぞ⁉︎ しかも声だってこんな透き通るような綺麗な声はしていない。あいつの声は野太くて聞いていると気分が悪くなる‼︎」

 おいクソ王子! 褒めてんのか貶してんのか分かんねぇよ‼︎ あらいけない。思わず男装の時の口調が! 仕方ないね、分かんないんだったらちっちゃい頃の王子の恥ずかし~い失敗談をお話ししてあげましょ‼︎

 今後の展開が予想できて、思わずニヤニヤとしてしまう。

「おいお前。なにニヤニヤしているんだ!」
「いえいえ、私がフレヤだと分からないなら王子と私しか知らないお話をしようと思いまして……」
「なに⁉︎」
「確かアレは私達が6才の頃でしたわ。王子と私の親交を深めるために私たちはルール湖と言う王家の関連の者しか入れない湖の別荘で寝食を共にしました。その時の事ですが……」
「ま、待て‼︎ 分かった! お前がフレヤなのは分かったからそれ以上は言うな‼︎」
「あら? でももしかしたらこのお話しは私がフレヤ様から聞いたものかもしれませんよ?」

 慌てて私の話を遮ろうとする王子にニコリと笑いかけて疑わしい点を言ってあげる。

「い、いや! そ、そう言えば俺とお前が婚約したのも神殿のお告げがあったからだったな! おいお前! 手首を見せてみろ!」

 あーあ、思い出したんかい。王子が言っているのは私の手首にある桜の様な赤黒いアザのことである。当時の私は気味の悪い花の模様だと思ってたけど今見るとこれは桜の模様で間違いない。

 渋々手首を見せると私はあることに気がついた。赤黒かったはずの桜のアザがまるで本当の桜の花のように薄いピンクで色づいていたのだ。

 あー……コレはアウトかなぁ。色が違ったらダメでしょう。そんな私の心配を他所に王子は私のアザを覗き込み、「ほ、本当にフレヤだったようだな!」と言ったのであった。

 は? コイツアタマダイジョウブカ?(訳:このお方、記憶力の方に異常がみられているのでは?)と思ったがそう言えば王子は小さい頃に1度だけしかアザを見たことがないことを思い出す。

 小さい頃の記憶なんて無いに等しいもんね。つまり、私はコレで晴れて王子の度肝を抜くことに成功した。ショックで放心中の王子を眺め、満足していると。王子がなにか言い出した。

「おい、フレヤ。お前がどーーーーーーーしても俺の妃になりたいなら仕方なくだぞ? しかたなーーーく側妃くらいにはしてやらんこともない」
「謹んでご遠慮いたします」

 チラチラとこちらを(正確にはフレヤの胸)を見ながら尊大な態度でいらんことを宣ってくれる王子。考える素振りもせずに即答してしまった。

「な、なんだと⁉︎ 貴様、俺の事が好きだっただろ? なんで断るんだ‼︎」
「もう冷めました。それだけです」
「なんだとぉぉ⁉︎ おい、コイツを早く追放しろ!」

 プライドを傷つけられたらしい王子が後ろに連れていた騎士たちに指示を出した。

「来い」

 今度は2人の騎士に腕を掴まれ牢から出される。私の脳内にビフォーアフ○ーの時のBGMが流れる。

 どうしたことでしょう3ヶ月前までは4人体制だった私が今では一般人と同じ2人体制に! 広かった肩幅(主に脂肪で)が無くなったことで胸までだと思っていた髪は腰まで届くほどの長さに! 目線を下にすればーー

「おい? 歩けよ」
「あ、はい」

 順番に説明していたのに、脳内に呆れ声の騎士が割り込んできたので強制終了してしまった。っとその前に!

「すみません、ちょっと着替えてもいいですか?」
「なんだと?」
「いやぁ~、この服装って乙女としては恥ずかしいんですよね」
「あー……まぁいいだろう。早くしろよ」

 私をジロジロ見て諦めたようにため息をついた騎士様にお礼を言い、急いで着替える。

「すみません、終わりました」
「ああ、遅かった……は⁉︎ な、な、な……⁉︎」

 あんぐりと大きく口を開けて固まる騎士様。向かい側の牢では男装を教えてくれたユーリや、男衆が笑い転げていた。

「ぎゃははははは‼︎ みろよあの顔‼︎」
「くくくくくっ」
「なぁーに固まってるんですか~?」
「お嬢ちゃんいいイケメンになってるぜぇ?」
「本当だなぁ」

 ……看守も笑い転げていた。それほどエリート騎士様のお顔が面白かったらしい。

「お、お前。なんだその格好⁉︎」
「男装だけど?」
「今すぐやめろ」
「むーりーでーっす! 見てくださいよ! さっきの服は脱ぐ時にビリビリに破れてしまいました‼︎」
「お、おま⁉︎ まさかさっきの布が破れる音は……」
「そうなんです! ここの囚人服ってもろいですよね~(ウッソ~! 実はサラシにするために破きました~)」
「……もういい。俺は知らん」

 どうやら許してもらえたようだ。協力してくれた皆んなに隠れてピースするとみんなもニヤッと笑ってやり返してくれた。
 
 その後は、なにも抵抗することもないので、トコトコと王宮内を歩いていると、誰かが目の前に立ちはだかった。

「きゃっ⁉︎ な、なにするの‼︎ わ、わたしが何をしたというの……ひどいわ!」

 そして私にぶつかり(正面から)涙目でこちらを見上げてくる。

「あの~、どうします?」
「「……」」

 気まずい沈黙の中それを破った人物がいた体つきだった。さっきぶつかってきた女性である。小柄で可愛らしい雰囲気を纏っていたはずなのだが……

「ってアンタ誰よ⁉︎ フレヤだと思ってたのに違ったじゃない! あら? あなたボロ着てるわりにはカッコいいわね。そこの騎士達! この方をお風呂に入れて私の部屋に通して頂戴‼︎」

 ユリアちゃん。キャラ! まだ貴方、猫被ってないとヤバイよ⁉︎

 男装姿の私を見てポッと頬を染めるユリアちゃん。

 この小説。最後はヒロインが王妃になってハーレムエンドで終わるのだが最後のネタバラシで実はヒロインが腹黒の策略家だったことを知らされる。ドロドロの裏がありすぎる恋愛?小説だったのだ。それが意外性を呼んでベストセラーになったわけだが……

 私はそんなお方とお近づきになりたくない! よって逃げる‼︎

「すまない。私は罪を犯したので貴方のような可愛らしいお姫様とは似合わないよ。失礼する」

 めちゃくちゃ頑張って低くした声で返事をして、私の変わりようにまたもや驚いている騎士達を無理矢理引っ張り、ユリアちゃんの横を通り過ぎたのだった。

 この時ユリアちゃんの目がハートになってら「わ、私の可愛さで靡かないなんて! なんて男前な方なの‼︎ はっ! もしかして小説の続編が出てその時の攻略対象とか? きゃー! イケメンすぎる‼︎ 絶対おとしてやる!」と言っていたことなど当時の私は知る由もない。

 そして、王子は王子で「クソ! フレヤが痩せてあんなに綺麗になるなら追放など止めればよかった。大体俺の誘いを断るなんて……豚のくせに生意気だぞ⁉︎ そうだ、お仕置きしなければいけないな。追放はやめにして俺の別荘にでも閉じ込めるか。そしたらあの体も俺のもの……」と、とんでもなくゲスな事を考えていた事など重ね重ね言うが当時の私は知る由もない!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【番外編:フレアの男装術】

①髪をくくります。

②服を脱いでサラシを胸にキツく巻き付けましょう。コレが疎かになるとバレます。即バレします。

③首を隠しましょう。女の子は喉仏がないので隠さないと即バレします。バレたくなかったら頑張ろう!

④ちょっとダボっとした大きめの男物の服を着ましょう。肩パッドをお忘れなく。細いとバレます。

⑤お次は化粧です。まず眉をキリッとかきましょう。そして頬に影を入れて女性特有の柔らかく見える輪郭をシャープにしましょう。
 
 完成‼︎

 後は歩き方とか、喋り方とか動作に気をつければパーフェクト‼︎
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