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 ユリアちゃんに見つかってからとりあえず逃げていた私だが、以前から考えていた事を実行する事にした。なぜならーー

「これってさ、このまま行ったら私どっちにしろ死ぬよね? 私、サバイバル術なんてもってない!」

 つーわけで、前世は正義のお巡りさん、今は不本意ながら犯罪者! 逮捕されたけど逃走します‼︎ 

「さーてと! 騎士さんおやすみ‼︎」

 空手技でちょちょいのちょい‼︎ 驚いて力が緩んでいた騎士さん達から腕を引き抜き、投げ飛ばす。

「ぐあ⁉︎」
「うわぁ⁉︎」
「見たか‼︎ これぞ筋トレの成果‼︎ これからは気を抜かないように気をつけてね~! アディオス(←※スペイン語でサヨナラという意味)!」

 小さい頃に嫌と言うほど連れてこられた王宮は私にとっては庭のようなもの。

「つまり、どこの警備が手薄なのか分かってるのよぉぉぉぉ! ふははははは‼︎」

 華麗に1回転して両手を広げて高笑いでもしてみる。え? なんか卑怯じゃないかって? いやいや、死にたくないからね! 手段は選ばないのだよ‼︎

 クルリと踵を返し、警備が手薄な所を目指して全力疾走する。今、男装がとても役に立った。ドレスじゃ走れないもんね!

「確か、こっちの角を曲がってこっちの道をまっすぐ行けば……ふっふっふっ、出口みーっけ‼︎」
「逃げれませ~んよ~。 不審者は捕まえないとねぇ?」
「ファッ⁉︎」

 誰にともなくドヤ顔で出口に向かった私だったのだが、ここで予想外の出来事が。何故か私の横を馬で並走している見るからに怪しそうな目が細い塩顔イケメン様。そして私はその顔に見覚えがあった。そう、本の表紙にイラストで描かれていた人物にそっくり……敵なのにイケメンすぎてファンが沢山いた……

「隣国のスパイ……」
「んんん? なぁにそれ」
「あの~、俺って捕まる系?」
「ん~、その予定」
「うっそーーっん⁉︎」
「ブハっ!」

 多分この時の私の顔は凄まじかったのだろう。スパイさんが吹き出していた。が、私はここで捕まるわけにはいかないので……

「スパイさん、知ってました? 馬ってこうやると……」

 ニヤリと笑い、馬の近くで悲鳴を上げてやる。

「きゃぁぁぁぁぁぁあ‼︎ 変態よ~‼︎」
「なっ⁉︎」
「馬っていきなり刺激を与えられると暴れるらしいです。頑張ってくださいね! ってもう聞いてないか」

 小説で読んだ事がここで役に立つとは思っても見なかった。勿論、叫んだ後はすぐさま馬から距離をとっていましたよ? だって危ないもん! 対するスパイさんは驚いた馬を宥めるのに大変そうだ。そのうちに私はお暇させてもらおう‼︎ 

「2度目のアディオス‼︎」
 
 こうして男装の麗人ことわたくしフレヤは華麗に王宮から抜け出したのだった。そう、王宮からだけ・・ね……
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