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うーん⋯⋯不適材不適所

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『ええと……魔王さんから何か指示を受けていらっしゃるのですか?』
『……単刀直入に言うとその通りです』

 ……はぁ。 なるほど。
 魔王さんめ……折角話がいい感じにまとまりそうでしたのに……。
 私の溜息に申し訳なさそうにするオークさん達。
 ぐぬぬ……どうしましょうか。

『ちなみにその盟約の内容を伺っても?』
『確か……この森にある祭壇を管理しなくてはならない……でしたかな?』
『ふむ……意味分かりませんね。 他になにか詳しいことは?』
『特には伝えられておりません。 ただ、祭壇を守れと』

 なんですかその指示。 
 魔王さん……リーダーなんですからもう少しちゃんとした指示を飛ばしてくださいよっ!!

『それはそうとして。 どうしましょうかね……』
『我らとしても魔王様に逆らう訳には……。 残念ですが今回の話は諦め……』

 ……と。
 魔王さんのせいで、会議室内に諦めムードが漂っていたその時。 一人が毅然とした態度で手を挙げました。

「それで話がまとまるのなら、私が会いに行ってあげようか?」

 その主は明らかに退屈そーに、椅子をゆっさゆっさと揺らして遊んでいたセシリアでした。

「……え。 大丈夫? いくら昨日会ったと言っても……正式な契約無しに訪問するのは危険じゃ……それに時間かかるし」
「……うーん? 別に魔王くん程度の相手なら危険も何もないと思うんだけどねぇ……」

 この世に名高い魔王さんを不遜にも堂々と「弱い」と行ってみせるセシリア。
 しかし……その言葉が事実であることもまた、昨日に証明されていました。

「それに……さして時間もかからないさ。 ここから直接あっちに行くからね」
「……? どういうこと?」

 唐突なセシリアの提案に首を傾げます。
 ここから直接? 昨日一緒に魔王城に向かったのに忘れちゃったのかな?

「昨日、勇者くんが飛ばされた魔法陣があったのを覚えているかい? あれの座標は昨日にだいたい把握しておいたから、今から逆にこちらから飛んでみようと思ってね」
「……????? ごめんなさいセシリアさん。 私にも分かるようにオネガイシマス」
「まぁ何だ。 百聞は一見にしかず。 見ていてくれよ」

 劣等生のアリスちゃんにはよく分かりませんが……まぁセシリアならばどーにかしてくれるでしょう。
 私はそう決め込んで思考を放棄しました。

『ええと……アリス殿? セシリア殿は一体何を?』
『ええと……かくかくしかじか……』

 私はゆっくりとセシリアから聞いた言葉(未理解)を伝えると、やはり驚いたように互いに顔を見合せたオークさん達。
 ですよねぇ……。 私も同じ気持ちです。

「さて……行くよ?」

 詳しい説明もないままに。
 セシリアの姿が消えました。 
 魔法に明るくないようで、不思議そうに首を傾げるオークさん達。 安心してください私も同じ気持ちです。
 成功したのかな……と。
 私が思考放棄でぼんやりと考えていると……声が聞こえてきました。

「あ。 聞こえるかいアリス? 今魔王くんを倒したから。 今から言うことを聞かせるよ?」

 いやいや早すぎでしょ!? 
 まだ十分くらいしか経っていないですけど!?
 もしかして、魔王城攻略タイムアタックでも勝手に行っていたのでしょうか? そんなものがあれば、確実にセシリアの優勝ですね。
 やはり……セシリアって本来はこんな所で燻っている人間ではないんですよねぇ……。
 今更ながらにセシリアの恐ろしさを再確認した私。
 次にセシリアから「認めてもらったよ?」との一報が入ったのも、先程の連絡からすぐのことでした。
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