どうも初めまして! 異種族通訳者のアリスと申します!

わさびもち

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胃袋を鷲掴みにしてやりましょう!

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『それで……お相手はどんなお方なんですか?』
『えっとねぇ~! 彼はとってもカッコよくて……それで優しくて……本当にカッコイイのよ!』
『そ……そうですか』

 全く詳細が分からない情報を頂きましたが……とりあえずアーチェさんの御相手の男性はカッコイイようです。

『ええとアーチェくん。 色々と聞きたいことがあるんだが……いいかい?』
『もちろん! 彼の事だったらなんでも聞いてね! すぐに答えてあげるから!!』

 セシリアの質問にふんすっ! と胸を張るアーチェさん。
 まだ全然お相手のことを聞いてはおりませんが……なーんか騙されてそうな感じがするんですよね。 この人って騙しやすそうですし。

『万が一だが……君のお相手に女がいたとして君はどうするんだい?』
『うーん? そうだねぇ……普通に追い続けるかな~』
『う……奪い取る!?』
『うん! だって現に今もそうしようとしているし~!』
『『はぁ!?』』

 アーチェさんのまさかの告白に私たちの声が重なりました。
 え!? え!? 今聞き間違いじゃなかったら……お相手に既に女がいると言いましたよね?

『すいませんアーチェさん。 もう一度聞きますけど……その男性に既に女性がいるんですね?』
『うん!! でも関係ないの! 愛があるんだもの!』

 えぇ……。 アーチェさんの断言に普通に引く私たち。
 普通に考えたら頭がおかしいですけど……そういえばエルフさんの文化は一夫多妻制でしたね。 男性の生まれる率が少ないらしいですから仕方ないですけど。
 だとしても人間界では一夫多妻制はあまり歓迎されてはいないので……そういう側面を理解して欲しいものですね。

『つまり……その男性を奪い取るってことですか?』
『えぇもちろん! それに必要なのは……言語の壁を超えることだけよ! それさえどうにかすれば……後は私の料理で……』
『言語の壁って……というか今までどうやってコミュニケーション取ってきたんですか? 言葉分からないんですよね?』

 私の素朴な疑問に『チッチッチッ』と指を振るアーチェさん。 とてもムカついたと感想を述べておきましょうか。

『別に私だって完全に分からないで突っ走ってるわけないよ~! だってエルフわたしたちの言語の半分は人間の言葉ですし~』
『……なるほど』

 言われてみれば確かにそうですね。
 つまり今のアーチェさんの状態は「なんとなーく文脈は掴めるけれどはっきり意味がわからない」といった所でしょうか?

『……でも料理は既に振る舞ったんですよね? その時の反応はどうだったんですか?』
『そりゃあ抜群だったわよ! でも言葉分からなかったから結局そこでおしまいだったけど……でもでも! もしそこさえどうにかなれば絶対に落とせるわ!』

 ふむふむなるほど……言語の壁さえ超えれば絶対に落とせるという料理も少し気になりますねぇ……。

『ほう? だったらその料理……私たちに食べさせてくれないかい? 人間の味覚でしっかりと評価してあげるから』
『……あ! そうだねセシリア! アーチェさん? お願いできます?』
『えっへん! 任せておきなさいアリス、セシリア! 彼に振る舞うつもりで……完璧な料理を提供してあげるわ!』

 そう意気込んで何処かへと消えていったアーチェさん。
 待っていると……厨房の方から何やら美味しそうな匂いが漂ってきました。
 例のごとく魔法書をパラパラと捲っていたセシリアも、その匂いには思わず顔を上げて……小さく口を拭うような素振りを見せました。
 かくいう私も……ぐぅー! と盛大にお腹を鳴らして準備OK、何時でも食べられる状態です。

『あ、もう少し待っててね~! 今ちょっと仕上げに入ってるから』
『あ……あはは……』

 気がついたら厨房の方へと身体が動いていて、苦笑いを浮かべるアーチェさんの声でようやく気が付きました。
 これは……期待大ですね……。
 料理ができない私とセシリアには、アーチェさんが作っているものがどれ程難しいものなのかは分かりませんが……とりあえず美味しそうなことは確かです。
 森の恵みでそのままでも美味しい食事なのに……エルフ随一と謳われるアーチェさんの料理は……期待大ですね。

『は~い! おっ待たせ~!』

 やがて戻ってきたアーチェさんが私たちに振る舞った料理は……この一週間の滞在で食べたどの料理よりも圧倒的に美味い逸品なのでした。
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