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安全第一!!!
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『まぁ。 王都じゃないんなら好都合ですね』
崩れ落ちたセシリアを尻目に、私は布団に寝転がりながらそう呟きました。
『……好都合?』
『あぁいや。 こちらの話です』
まぁ依頼中に別の依頼受けてますからねぇ……。
ちなみに校長さんには「まだ時間がかかりそうなので気長に待っていてくださーい」とセシリアに送ってもらいました。
ふっふっふっー! まぁどーせ気づかれないでしょうね。 こんなに離れている訳ですし。 今回のお仕事も王都には寄らないっぽいですし。
私の作戦に抜け目はありません……きっとバレることは無いでしょう!
『まぁ、私はアリスがちゃんと仕事してくれたらそれで万事OKだからね!』
『それは任せてください、こちとら異種族通訳者なので』
『おっ! 頼もしいねぇ……!』
胸を張って答える私にアーチェさんは煌びやかな笑顔で答えました。
ちなみに少し遠くからは依然ブツブツと呟きが聞こえてきます。 悪霊退散。
『そういえば……アリスって組合には入ってないんだね? 普通異種族通訳者はどこかの部署に入ってるはずなんだけど……』
グサッと。 予想外のところから私の心臓が抉られたような痛みを感じました。
『……アーチェさん。 その話はやめてください。 私もセシリアみたいになりますよ?』
『うっ……うん???』
釈然としない様子ですが口を噤んでくれたアーチェさんに心の中で私は感謝します。
いやぁ……一応行ったんですよ? 異種族通訳者の組合。 基本的に《ゴブリン専門》とか《エルフ専門》みたいに一人が一つの言語を専門するような状況の上、母数が少ない組合にとって、どんな種族の言葉も理解することが出来る私は喉から手が出るほど欲しい人材だと思っていたのに……なんと門前払いでした。
理由? ……落第したから。
『……ぅぅぅ』
『なっ……なんかごめんね???』
申し訳なさそうなアーチェさんの謝罪を耳にしながら、私は布団に崩れ落ち……そのまま睡眠についたのでした。
★★★★★
翌日。 何とか立ち直った私とセシリアは眩しい朝日を浴びながら……箒に跨っておりました。
『じゃあアーチェさんも私たちの箒に……』
『大丈夫! 私は自分の箒に乗ってくよ~!』
……あ、そう言えばアーチェさんって魔法が使えるんでしたね。
よく手入れされた愛用の箒(?)を手に持ってアーチェさんがやって来ました。
『……よっと! それじゃあ行こっか! ……ん? どうしたの~?』
『…………いえ』
魔法で宙に浮かせた箒にバク転をしながら乗るというアクロバティックな方法で箒に跨ったアーチェさん。 彼女が自分の箒ですいーっと私よりも上手に浮かんだのを見て、私はそっと箒から手を離して……地面に足をつけました。
「セシリア。 操縦変わって」
「……え? いやいや。 行きは私がやったんだから今回はアリスが……」
「……やって!!!」
「……!? わ……分かったよ」
セシリアには悪いですが……私にだってなけなしのプライドがあるんです! 世界的にも有名な魔法大学で勉強をしていた……あ、今は卒業したんでした。 そう飛び級卒業したという誇りがね!
ですからそう易々と恥をかくつもりはありません!
何と言うか……普通に置いていかれそうですし。
『ありがとねセシリア。 あと頼んでおいて勝手だけど……頼むからスピードは出しすぎないで』
『ふふっ。 了解したよ』
『それじゃあアーチェさん! 行きましょー!』
意気揚々とスタートを切った私たち一行。
まずは男性が住んでいるという村への途中にある小さな町に向けて、私たち三人は箒を走らせるのでした。
いやぁ……安全運転って素晴らしい。
『あれれ~? セシリア、ちょっと遅くない~?』
『……ほう? やるねアーチェ。 しかし……私はまだ加速を三段階残しているよ?』
『ふ~ん? んま、それでも私の方が速いけどね~?』
『言うじゃないか。 良いだろう。 少しばかり速度を速めようじゃないか』
……訂正。 前途は多難のようです。
『あっ……あのぉ……? 安全運転でねぇぇぇぇぇぇ!』
私は涙目になりながら急加速した箒から振り落とされないようしがみつき、ただ叫び続けるのでした。
崩れ落ちたセシリアを尻目に、私は布団に寝転がりながらそう呟きました。
『……好都合?』
『あぁいや。 こちらの話です』
まぁ依頼中に別の依頼受けてますからねぇ……。
ちなみに校長さんには「まだ時間がかかりそうなので気長に待っていてくださーい」とセシリアに送ってもらいました。
ふっふっふっー! まぁどーせ気づかれないでしょうね。 こんなに離れている訳ですし。 今回のお仕事も王都には寄らないっぽいですし。
私の作戦に抜け目はありません……きっとバレることは無いでしょう!
『まぁ、私はアリスがちゃんと仕事してくれたらそれで万事OKだからね!』
『それは任せてください、こちとら異種族通訳者なので』
『おっ! 頼もしいねぇ……!』
胸を張って答える私にアーチェさんは煌びやかな笑顔で答えました。
ちなみに少し遠くからは依然ブツブツと呟きが聞こえてきます。 悪霊退散。
『そういえば……アリスって組合には入ってないんだね? 普通異種族通訳者はどこかの部署に入ってるはずなんだけど……』
グサッと。 予想外のところから私の心臓が抉られたような痛みを感じました。
『……アーチェさん。 その話はやめてください。 私もセシリアみたいになりますよ?』
『うっ……うん???』
釈然としない様子ですが口を噤んでくれたアーチェさんに心の中で私は感謝します。
いやぁ……一応行ったんですよ? 異種族通訳者の組合。 基本的に《ゴブリン専門》とか《エルフ専門》みたいに一人が一つの言語を専門するような状況の上、母数が少ない組合にとって、どんな種族の言葉も理解することが出来る私は喉から手が出るほど欲しい人材だと思っていたのに……なんと門前払いでした。
理由? ……落第したから。
『……ぅぅぅ』
『なっ……なんかごめんね???』
申し訳なさそうなアーチェさんの謝罪を耳にしながら、私は布団に崩れ落ち……そのまま睡眠についたのでした。
★★★★★
翌日。 何とか立ち直った私とセシリアは眩しい朝日を浴びながら……箒に跨っておりました。
『じゃあアーチェさんも私たちの箒に……』
『大丈夫! 私は自分の箒に乗ってくよ~!』
……あ、そう言えばアーチェさんって魔法が使えるんでしたね。
よく手入れされた愛用の箒(?)を手に持ってアーチェさんがやって来ました。
『……よっと! それじゃあ行こっか! ……ん? どうしたの~?』
『…………いえ』
魔法で宙に浮かせた箒にバク転をしながら乗るというアクロバティックな方法で箒に跨ったアーチェさん。 彼女が自分の箒ですいーっと私よりも上手に浮かんだのを見て、私はそっと箒から手を離して……地面に足をつけました。
「セシリア。 操縦変わって」
「……え? いやいや。 行きは私がやったんだから今回はアリスが……」
「……やって!!!」
「……!? わ……分かったよ」
セシリアには悪いですが……私にだってなけなしのプライドがあるんです! 世界的にも有名な魔法大学で勉強をしていた……あ、今は卒業したんでした。 そう飛び級卒業したという誇りがね!
ですからそう易々と恥をかくつもりはありません!
何と言うか……普通に置いていかれそうですし。
『ありがとねセシリア。 あと頼んでおいて勝手だけど……頼むからスピードは出しすぎないで』
『ふふっ。 了解したよ』
『それじゃあアーチェさん! 行きましょー!』
意気揚々とスタートを切った私たち一行。
まずは男性が住んでいるという村への途中にある小さな町に向けて、私たち三人は箒を走らせるのでした。
いやぁ……安全運転って素晴らしい。
『あれれ~? セシリア、ちょっと遅くない~?』
『……ほう? やるねアーチェ。 しかし……私はまだ加速を三段階残しているよ?』
『ふ~ん? んま、それでも私の方が速いけどね~?』
『言うじゃないか。 良いだろう。 少しばかり速度を速めようじゃないか』
……訂正。 前途は多難のようです。
『あっ……あのぉ……? 安全運転でねぇぇぇぇぇぇ!』
私は涙目になりながら急加速した箒から振り落とされないようしがみつき、ただ叫び続けるのでした。
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