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第9章 幸せになります
362. おめでとうとありがとう
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式典が無事に終わり、僕はフィンレーで叙爵のお祝いをしていただいた。
といっても誰かを招いたりするわけではなくて、家族皆で美味しいお料理を食べたり、シェフのケーキを食べたりして、久しぶりに皆とゆっくりお話しできた。
ウィルとハロルドからは、とても素敵なペン立てをプレゼントされた。新しい領で使ってほしいって。そして何故か「おめでとうなのにすみません」と言って泣かれてしまった。
確かに新しい領に行く事にはなるけれど、実際僕はまだ学生だし、父様からタウンハウスはそのまま使いなさいと言われているし、お祖父様との勉強会も続けていきたいし、フィンレーには温室もあるから大きく変わる事はないかなって思っているんだ。変わるとしたら兄様と結婚した後になるだろうけど、それもどんな風になるのかはまだこれから話し合いをしなければならないからね。
そう言うと二人は「すみません。エディ兄様が居なくなってしまうのかと思いました」と泣いた後の赤い目で照れたように笑った。
でもやる事は山積みなんだよね。
七の月には学園の前期の試験がある。そして、家名も考えないといけない。
好きな物って言われて、つい「マカロン」って言いそうになっちゃったけど、父様が止めてくれて本当に良かった。あの場で決まってしまったらマカロン伯爵になるところだった。
父様が食事の時にその話をしたから皆に笑われてしまったよ。特に母様はすごく楽しそうで、嬉しそうで「母様も名前を考えるのをお手伝いさせて」って。
名前を考えるのは兄様にも一緒にって言われているから、父様にも相談しながら決められるといいなって思っている。
食事を終えて、僕と兄様はタウンハウスに戻る事にした。母様は改めて「おめでとう」って久しぶりにギュッてしてくれた。小さな時はすっぽりと腕の中に入ってしまう感じだったのに、今は僕が母様をギュッとしているみたいだ。母様が沢山のお菓子を用意してくれて、好きな物を聞いてくれて、ギュッとしてくれたから初めてのあの日に僕は皆と仲良くなれたんだ。
「パティ母様」
「なぁに?」
「僕の母様がパティ母様で良かったです。マカロン伯爵になっちゃうのはちょっと困るけど、でも一番最初に好きになったお菓子は母様が用意して下さった赤いマカロンです」
「ふふふ、そうね。赤いマカロンを小さな口で齧るエディが可愛くて、母様は本当に嬉しかったの。爵位を戴いてもエディはずっと母様の大事な子供ですよ」
「はい」
「素敵な家名を考えましょうね」
「よろしくお願いします」
父様にも今日の式典のお礼を言って、僕は兄様と一緒にタウンハウスに戻ってきた。
「良い式だったよ。陛下のお言葉もね」
「はい。多分色々考えて下さったんだって思いました。僕は今まで通りに僕が出来る事を出来るだけやっていくようにしたいです」
「うん。そうだね。無理と無茶はしないで、何かあったら相談をしてね」
「はい。明日は兄様の褒賞の式典ですね。見に行くことは出来ませんが、こちらでお帰りをお待ちしています」
「うん。夕食は一緒にとろう。ああ、フレイム・グレート・グリズリーの魔石も一緒に見ようね」
「はい。楽しみにしています」
そして僕は自分の部屋に向かった。
ドキドキの一日が終わる。初めての貴族服、初めての爵位、今日はお風呂に入って早めに休む事にしよう。
それにしても、父様が止めて下さって、マカロン伯爵にならなくて、本当に良かった。
部屋に入ろうとしたらマリーとルーカスとジョシュアが廊下に並んだ。そして……
「遅くなりましたが、伯爵位の叙爵、おめでとうございます」
三人は嬉しそうにそう言って頭を下げた。
マリーは少し泣いているみたいに見えた。
「ありがとう。皆のお陰だよ。スタンピードの時も、ううん、いつもいつでも一緒にいてくれてありがとう」
本当は騎士としてであればルーカスもジョシュアも褒賞を受けられる筈だったんだ。だけど二人とも僕の護衛としていた為に褒賞が受けられなかった。ジョシュアが動かしてくれたレイモンド家の魔導騎士達は褒章の対象になったのに。父様に言ったら王国からは褒章はでないけれど、フィンレー家からは何かを出そうって言ってくれた。
「ルーカスとジョシュアが僕の先生で良かった。二人が楽しい事と本当に鍛える事を教えてくれたから僕は魔法も剣も怖くなくなったよ。そしてマリー、マリーがいなかったら僕はここにいなかったよ。ありがとうマリー」
マリーは泣き出してしまった。僕は思わずマリーをギュッとしてしまった。
「エドワード様!?」
「ふふふ、マリーは僕のお姉さんで、お母さんみたいだ。マリーが僕の専属のメイドになってくれて良かった。本当にありがとう。これからもよろしくね」
「はい……はい、よろしくお願いいたします」
泣き笑いのマリーから離れて、僕はもう一度三人にお礼を言ってから部屋に入った。
まだ肩書だけだけど、伯爵となった最初の日はおめでとうとありがとうで溢れて、僕は本当に幸せだなって思った。
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といっても誰かを招いたりするわけではなくて、家族皆で美味しいお料理を食べたり、シェフのケーキを食べたりして、久しぶりに皆とゆっくりお話しできた。
ウィルとハロルドからは、とても素敵なペン立てをプレゼントされた。新しい領で使ってほしいって。そして何故か「おめでとうなのにすみません」と言って泣かれてしまった。
確かに新しい領に行く事にはなるけれど、実際僕はまだ学生だし、父様からタウンハウスはそのまま使いなさいと言われているし、お祖父様との勉強会も続けていきたいし、フィンレーには温室もあるから大きく変わる事はないかなって思っているんだ。変わるとしたら兄様と結婚した後になるだろうけど、それもどんな風になるのかはまだこれから話し合いをしなければならないからね。
そう言うと二人は「すみません。エディ兄様が居なくなってしまうのかと思いました」と泣いた後の赤い目で照れたように笑った。
でもやる事は山積みなんだよね。
七の月には学園の前期の試験がある。そして、家名も考えないといけない。
好きな物って言われて、つい「マカロン」って言いそうになっちゃったけど、父様が止めてくれて本当に良かった。あの場で決まってしまったらマカロン伯爵になるところだった。
父様が食事の時にその話をしたから皆に笑われてしまったよ。特に母様はすごく楽しそうで、嬉しそうで「母様も名前を考えるのをお手伝いさせて」って。
名前を考えるのは兄様にも一緒にって言われているから、父様にも相談しながら決められるといいなって思っている。
食事を終えて、僕と兄様はタウンハウスに戻る事にした。母様は改めて「おめでとう」って久しぶりにギュッてしてくれた。小さな時はすっぽりと腕の中に入ってしまう感じだったのに、今は僕が母様をギュッとしているみたいだ。母様が沢山のお菓子を用意してくれて、好きな物を聞いてくれて、ギュッとしてくれたから初めてのあの日に僕は皆と仲良くなれたんだ。
「パティ母様」
「なぁに?」
「僕の母様がパティ母様で良かったです。マカロン伯爵になっちゃうのはちょっと困るけど、でも一番最初に好きになったお菓子は母様が用意して下さった赤いマカロンです」
「ふふふ、そうね。赤いマカロンを小さな口で齧るエディが可愛くて、母様は本当に嬉しかったの。爵位を戴いてもエディはずっと母様の大事な子供ですよ」
「はい」
「素敵な家名を考えましょうね」
「よろしくお願いします」
父様にも今日の式典のお礼を言って、僕は兄様と一緒にタウンハウスに戻ってきた。
「良い式だったよ。陛下のお言葉もね」
「はい。多分色々考えて下さったんだって思いました。僕は今まで通りに僕が出来る事を出来るだけやっていくようにしたいです」
「うん。そうだね。無理と無茶はしないで、何かあったら相談をしてね」
「はい。明日は兄様の褒賞の式典ですね。見に行くことは出来ませんが、こちらでお帰りをお待ちしています」
「うん。夕食は一緒にとろう。ああ、フレイム・グレート・グリズリーの魔石も一緒に見ようね」
「はい。楽しみにしています」
そして僕は自分の部屋に向かった。
ドキドキの一日が終わる。初めての貴族服、初めての爵位、今日はお風呂に入って早めに休む事にしよう。
それにしても、父様が止めて下さって、マカロン伯爵にならなくて、本当に良かった。
部屋に入ろうとしたらマリーとルーカスとジョシュアが廊下に並んだ。そして……
「遅くなりましたが、伯爵位の叙爵、おめでとうございます」
三人は嬉しそうにそう言って頭を下げた。
マリーは少し泣いているみたいに見えた。
「ありがとう。皆のお陰だよ。スタンピードの時も、ううん、いつもいつでも一緒にいてくれてありがとう」
本当は騎士としてであればルーカスもジョシュアも褒賞を受けられる筈だったんだ。だけど二人とも僕の護衛としていた為に褒賞が受けられなかった。ジョシュアが動かしてくれたレイモンド家の魔導騎士達は褒章の対象になったのに。父様に言ったら王国からは褒章はでないけれど、フィンレー家からは何かを出そうって言ってくれた。
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「はい……はい、よろしくお願いいたします」
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