悪役令嬢の心変わり

ナナスケ

文字の大きさ
40 / 127
アストルム騎士団創立編

第34話 悪役令嬢の妹と婚約者

しおりを挟む
無事に茶会も終わり、ダンディス伯爵令嬢達が目的としていたヒナいびりは私によって阻まれ、というかそれどころではなかったという雰囲気だった。

改めて鏡を見てみるとダリアの顔は美形だ。
原作ではキツい顔だと思っていたが、こうして髪型や服を変えてみると美青年だと言われても確かになんら違和感もない。
そして、ダンディス伯爵令嬢のお茶会以来屋敷がある領地にやたら貴族が訪れたり、茶会の招待が増えた。

「ダリア様、男性の正装で茶会に出られたのはなにか目的があったのですか?貴族令嬢からの手紙が絶えませんよ?」

「いや、まぁ、、、騎士見習いとして君たちのことも束ねている身だ。それを知ってもらおうと思っただけなんだが。」

リアーナが私宛の大量の手紙をゲンナリした様子で見ながらため息をつく。

(あのお茶会で一体何人の令嬢が叶わぬ恋に落ちてしまったことか、、、)

「なんだ?」

「いえ、そういえば王宮でも騎士見習いを貴族から召し上げているとか。」

王宮騎士、それは貴族にとってとても名誉なことで貴族男児は中でも男爵などはかの王宮騎士になることを目指す者も多い。

男は王宮騎士、女は聖女。

この国の名誉の得方というものは実に分かりやすいものである。

「王宮騎士は絶対に女性を雇用しないからな、とても勿体ない。」

「他の騎士でも女性は滅多にいませんからね。ダリア様くらいですよ、女性でも構わず自身の騎士団に入れようとする方は。」

男尊女卑、とまでは言わないが屋敷の中で本を読んで過ごしたり勉強をしている女性の方が戦略、策略に詳しいものは多い。

「お兄様、ヒナです。」

「入っていいよ。」

少し表情を曇らせながら控えめにドアを開いて入室するヒナに首を傾げながら要件を聞く。

「その、お兄様のご婚約者様がいらっしゃってます。」


、、、、、は?


「アルベルト様かと」

リアーナに耳打ちされてようやく理解する。

「そうか、お前は会ったことがないのか。」

「は、はい。」

「では共においで、紹介しよう。」

ずっと俯きながら歩く妹を軽く窘めるたしなといつもは素直に聞く妹が不満そうに顔を上げる。

「アルベルト第2王子だよ、説明しただろう?私の今の・・婚約者だ。」



これからも・・・・・だ!」

大きな声に驚いて振り返るとこちらもまた不満そうな色がありありと見える第2王子サマがプリプリしながら大股でこちらに歩み寄ってくる。

「殿下、いつもの庭でお待ちください。これから向かおうとしていましたのに。」

「なにが今の婚約者だ!お前まさか未だに解消しようとしている訳じゃないだろうな!」

「お兄様?婚約解消をなさるのですか?」

「お兄様だと?!」


混ぜるな危険、、、会わせるな危険。

「貴様、今婚約解消と聞いて喜んだな!」

「ひっ、、よ、喜んでなど。」

サッと私の後ろに隠れるヒナを背にしながらアルベルトを宥めるなだ

「殿下落ち着いてください、これは私の妹です。どうかご容赦を。」

妹と聞いてアルベルトの動きがピタリと止まる。

「例の親子か。」

「はい、ヒナも無礼を謝りなさい。こちらはディシュタイン王国第2王子、アルベルト・ディシュタイン殿下であらせられる。」

「ぶ、、、無礼をお許しください殿下。ヒナ・クロウリーと申します。」

「いや、いい。俺も怒鳴ってしまった。すまなかった。」

あら意外に素直!

ニヤニヤしてアルを見ていると顔を赤くしながら「なんだっ!」と怒鳴ってきた。

「いえ、ただ私は素直な殿下の方が好ましく思いますよ。」



「なっ、、、、、、、う、うるさいっ!」








𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭🌌
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について

えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。 しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。 その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。 死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。 戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。

悪役令嬢は間違えない

スノウ
恋愛
 王太子の婚約者候補として横暴に振る舞ってきた公爵令嬢のジゼット。  その行動はだんだんエスカレートしていき、ついには癒しの聖女であるリリーという少女を害したことで王太子から断罪され、公開処刑を言い渡される。  処刑までの牢獄での暮らしは劣悪なもので、ジゼットのプライドはズタズタにされ、彼女は生きる希望を失ってしまう。  処刑当日、ジゼットの従者だったダリルが助けに来てくれたものの、看守に見つかり、脱獄は叶わなかった。  しかし、ジゼットは唯一自分を助けようとしてくれたダリルの行動に涙を流し、彼への感謝を胸に断頭台に上がった。  そして、ジゼットの処刑は執行された……はずだった。  ジゼットが気がつくと、彼女が9歳だった時まで時間が巻き戻っていた。  ジゼットは決意する。  次は絶対に間違えない。  処刑なんかされずに、寿命をまっとうしてみせる。  そして、唯一自分を助けようとしてくれたダリルを大切にする、と。   ────────────    毎日20時頃に投稿します。  お気に入り登録をしてくださった方、いいねをくださった方、エールをくださった方、どうもありがとうございます。  とても励みになります。  

皇帝は虐げられた身代わり妃の瞳に溺れる

えくれあ
恋愛
丞相の娘として生まれながら、蔡 重華は生まれ持った髪の色によりそれを認められず使用人のような扱いを受けて育った。 一方、母違いの妹である蔡 鈴麗は父親の愛情を一身に受け、何不自由なく育った。そんな鈴麗は、破格の待遇での皇帝への輿入れが決まる。 しかし、わがまま放題で育った鈴麗は輿入れ当日、後先を考えることなく逃げ出してしまった。困った父は、こんな時だけ重華を娘扱いし、鈴麗が見つかるまで身代わりを務めるように命じる。 皇帝である李 晧月は、後宮の妃嬪たちに全く興味を示さないことで有名だ。きっと重華にも興味は示さず、身代わりだと気づかれることなくやり過ごせると思っていたのだが……

【コミカライズ企画進行中】ヒロインのシスコンお兄様は、悪役令嬢を溺愛してはいけません!

あきのみどり
恋愛
【ヒロイン溺愛のシスコンお兄様(予定)×悪役令嬢(予定)】 小説の悪役令嬢に転生した令嬢グステルは、自分がいずれヒロインを陥れ、失敗し、獄死する運命であることを知っていた。 その運命から逃れるべく、九つの時に家出を決行。平穏に生きていたが…。 ある日彼女のもとへ、その運命に引き戻そうとする青年がやってきた。 その青年が、ヒロインを溺愛する彼女の兄、自分の天敵たる男だと知りグステルは怯えるが、彼はなぜかグステルにぜんぜん冷たくない。それどころか彼女のもとへ日参し、大事なはずの妹も蔑ろにしはじめて──。 優しいはずのヒロインにもひがまれ、さらに実家にはグステルの偽者も現れて物語は次第に思ってもみなかった方向へ。 運命を変えようとした悪役令嬢予定者グステルと、そんな彼女にうっかりシスコンの運命を変えられてしまった次期侯爵の想定外ラブコメ。 ※コミカライズ企画進行中 なろうさんにも同作品を投稿中です。

愛され妻と嫌われ夫 〜「君を愛することはない」をサクッとお断りした件について〜

榊どら
恋愛
 長年片思いしていた幼馴染のレイモンドに大失恋したアデレード・バルモア。  自暴自棄になった末、自分が不幸な結婚をすればレイモンドが罪悪感を抱くかもしれない、と非常に歪んだ認識のもと、女嫌いで有名なペイトン・フォワードと白い結婚をする。  しかし、初顔合わせにて「君を愛することはない」と言われてしまい、イラッときたアデレードは「嫌です。私は愛されて大切にされたい」と返した。  あまりにナチュラルに自分の宣言を否定されたペイトンが「え?」と呆けている間に、アデレードは「この結婚は政略結婚で私達は対等な関係なのだから、私だけが我慢するのはおかしい」と説き伏せ「私は貴方を愛さないので、貴方は私を愛することでお互い妥協することにしましょう」と提案する。ペイトンは、断ればよいのに何故かこの申し出を承諾してしまう。  かくして、愛され妻と嫌われ夫契約が締結された。  出鼻を挫かれたことでアデレードが気になって気になって仕方ないペイトンと、ペイトンに全く興味がないアデレード。温度差の激しい二人だったが、その関係は少しずつ変化していく。  そんな中アデレードを散々蔑ろにして傷つけたレイモンドが復縁を要請してきて……!? *小説家になろう様にも掲載しています。

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

悪役皇女は二度目の人生死にたくない〜義弟と婚約者にはもう放っておいて欲しい〜

abang
恋愛
皇女シエラ・ヒペリュアンと皇太子ジェレミア・ヒペリュアンは血が繋がっていない。 シエラは前皇后の不貞によって出来た庶子であったが皇族の醜聞を隠すためにその事実は伏せられた。 元々身体が弱かった前皇后は、名目上の療養中に亡くなる。 現皇后と皇帝の間に生まれたのがジェレミアであった。 "容姿しか取り柄の無い頭の悪い皇女"だと言われ、皇后からは邪険にされる。 皇帝である父に頼んで婚約者となった初恋のリヒト・マッケンゼン公爵には相手にもされない日々。 そして日々違和感を感じるデジャブのような感覚…するとある時…… 「私…知っているわ。これが前世というものかしら…、」 突然思い出した自らの未来の展開。 このままではジェレミアに利用され、彼が皇帝となった後、汚れた部分の全ての罪を着せられ処刑される。 「それまでに…家出資金を貯めるのよ!」 全てを思い出したシエラは死亡フラグを回避できるのか!? 「リヒト、婚約を解消しましょう。」         「姉様は僕から逃げられない。」 (お願いだから皆もう放っておいて!)

処理中です...