77 / 127
青年編
第57話 ホムンクルス
しおりを挟む
それぞれが成長し、少女は女性に、少年は男性になりつつあった。
そんな中一際目立ったのはダリアだった。
「ねぇお聞きになった?遂にダリア様が魔術学校に御入学ですって!」
「あぁわたくしも早く学園に入学してお近くでご勇姿を見届けたいわ!」
「ダリア嬢がヒナ嬢ともうひとりご令嬢を学園にご入園させたというのはもうお聞きになりまして?」
「まぁ!あの噂のご令嬢ですか?」
「ダリア嬢と凄く親しげだと伺いましたわ!」
「まぁ!お姿も似ているという噂ではありませんか!」
「メルヴェイユという名前あまり聞いたことありませんわね。」
「ですがクロウリー家は大きいですから遠縁がいらっしゃっても不思議ではありませんものね。」
ダリア・メルヴェイユの存在が公になり当然クロウリー公爵にダリアは呼ばれた。
同じ名前の令嬢のことを聞き出すために。
「、、、」
「お呼びでしょうか。父上。」
「なぜ呼ばれたのかはお前がよくわかっているだろう。」
「ダリア・メルヴェイユ嬢のことでしょうか?彼女なら私の影武者として使えると思い拾っただけだとご説明したはずです。」
「その存在が公になれば影武者としての利用価値が無くなることくらい承知の上のはず。」
「彼女が光の魔法を持っています。私たちが保護する理由には十分だと思いますが?」
「養女にでもする気か?」
「母上がみごもる必要は無くなります。母の体を労わってのことでございます。」
「フンっ、、、まぁ良い。その娘を第一王子がいたく気に入っているという報告もある事だ。好きにしろ。」
「ありがとうございます、父上。」
公爵の執務室を後にするとダリアの影からレイヴンが現れダリアに耳打ちをする。
「体の準備が出来ましてございます、主。」
「あぁ、ありがとう。さて、色々準備しなくちゃね。」
ダリア・メルヴェイユのことは名前までは公にされていなかった。
同じ名前では何かと不便なため、夕はダリアにもうひとつの名前を考えるように伝えた。
そしてダリアが考え名前が、、、、
アメリア。
アメリア・メルヴェイユ
どこまでも続く階段を降りてゆく。
石造りで出来た壁にコツンコツンと足音だけが響く。
階段を一段降りていく度にダリアの表情から笑顔が消えていく。
(何度この階段を降りたことか、、、)
階段を降り切ると重々しい扉を開け部屋の中に入っていく。
手術台に横たわるダリアの姿。
これこそが精巧に作られた人類初のホムンクルスだった。
だがホムンクルスを作ることは国で禁じられていた。
「私は元々悪役なんだ。悪役らしく己の幸せだけに力を奮おうじゃないか。」
ホムンクルスの研究は順調に進んだもののここ数年<時の砂>については情報は何も得られなかった。
ダリア、いや夕は心折れかけ始めていた。
「、、、私も、独りは寂しいみたいだ。早く来てくれ、、、、ダリア。」
それからしばらくたったある日、、、
ホムンクルスが目を覚ました。
ダリア・クロウリーの魂を宿して。
𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹🌃
そんな中一際目立ったのはダリアだった。
「ねぇお聞きになった?遂にダリア様が魔術学校に御入学ですって!」
「あぁわたくしも早く学園に入学してお近くでご勇姿を見届けたいわ!」
「ダリア嬢がヒナ嬢ともうひとりご令嬢を学園にご入園させたというのはもうお聞きになりまして?」
「まぁ!あの噂のご令嬢ですか?」
「ダリア嬢と凄く親しげだと伺いましたわ!」
「まぁ!お姿も似ているという噂ではありませんか!」
「メルヴェイユという名前あまり聞いたことありませんわね。」
「ですがクロウリー家は大きいですから遠縁がいらっしゃっても不思議ではありませんものね。」
ダリア・メルヴェイユの存在が公になり当然クロウリー公爵にダリアは呼ばれた。
同じ名前の令嬢のことを聞き出すために。
「、、、」
「お呼びでしょうか。父上。」
「なぜ呼ばれたのかはお前がよくわかっているだろう。」
「ダリア・メルヴェイユ嬢のことでしょうか?彼女なら私の影武者として使えると思い拾っただけだとご説明したはずです。」
「その存在が公になれば影武者としての利用価値が無くなることくらい承知の上のはず。」
「彼女が光の魔法を持っています。私たちが保護する理由には十分だと思いますが?」
「養女にでもする気か?」
「母上がみごもる必要は無くなります。母の体を労わってのことでございます。」
「フンっ、、、まぁ良い。その娘を第一王子がいたく気に入っているという報告もある事だ。好きにしろ。」
「ありがとうございます、父上。」
公爵の執務室を後にするとダリアの影からレイヴンが現れダリアに耳打ちをする。
「体の準備が出来ましてございます、主。」
「あぁ、ありがとう。さて、色々準備しなくちゃね。」
ダリア・メルヴェイユのことは名前までは公にされていなかった。
同じ名前では何かと不便なため、夕はダリアにもうひとつの名前を考えるように伝えた。
そしてダリアが考え名前が、、、、
アメリア。
アメリア・メルヴェイユ
どこまでも続く階段を降りてゆく。
石造りで出来た壁にコツンコツンと足音だけが響く。
階段を一段降りていく度にダリアの表情から笑顔が消えていく。
(何度この階段を降りたことか、、、)
階段を降り切ると重々しい扉を開け部屋の中に入っていく。
手術台に横たわるダリアの姿。
これこそが精巧に作られた人類初のホムンクルスだった。
だがホムンクルスを作ることは国で禁じられていた。
「私は元々悪役なんだ。悪役らしく己の幸せだけに力を奮おうじゃないか。」
ホムンクルスの研究は順調に進んだもののここ数年<時の砂>については情報は何も得られなかった。
ダリア、いや夕は心折れかけ始めていた。
「、、、私も、独りは寂しいみたいだ。早く来てくれ、、、、ダリア。」
それからしばらくたったある日、、、
ホムンクルスが目を覚ました。
ダリア・クロウリーの魂を宿して。
𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹🌃
64
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は間違えない
スノウ
恋愛
王太子の婚約者候補として横暴に振る舞ってきた公爵令嬢のジゼット。
その行動はだんだんエスカレートしていき、ついには癒しの聖女であるリリーという少女を害したことで王太子から断罪され、公開処刑を言い渡される。
処刑までの牢獄での暮らしは劣悪なもので、ジゼットのプライドはズタズタにされ、彼女は生きる希望を失ってしまう。
処刑当日、ジゼットの従者だったダリルが助けに来てくれたものの、看守に見つかり、脱獄は叶わなかった。
しかし、ジゼットは唯一自分を助けようとしてくれたダリルの行動に涙を流し、彼への感謝を胸に断頭台に上がった。
そして、ジゼットの処刑は執行された……はずだった。
ジゼットが気がつくと、彼女が9歳だった時まで時間が巻き戻っていた。
ジゼットは決意する。
次は絶対に間違えない。
処刑なんかされずに、寿命をまっとうしてみせる。
そして、唯一自分を助けようとしてくれたダリルを大切にする、と。
────────────
毎日20時頃に投稿します。
お気に入り登録をしてくださった方、いいねをくださった方、エールをくださった方、どうもありがとうございます。
とても励みになります。
死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について
えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。
しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。
その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。
死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。
戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
悪役皇女は二度目の人生死にたくない〜義弟と婚約者にはもう放っておいて欲しい〜
abang
恋愛
皇女シエラ・ヒペリュアンと皇太子ジェレミア・ヒペリュアンは血が繋がっていない。
シエラは前皇后の不貞によって出来た庶子であったが皇族の醜聞を隠すためにその事実は伏せられた。
元々身体が弱かった前皇后は、名目上の療養中に亡くなる。
現皇后と皇帝の間に生まれたのがジェレミアであった。
"容姿しか取り柄の無い頭の悪い皇女"だと言われ、皇后からは邪険にされる。
皇帝である父に頼んで婚約者となった初恋のリヒト・マッケンゼン公爵には相手にもされない日々。
そして日々違和感を感じるデジャブのような感覚…するとある時……
「私…知っているわ。これが前世というものかしら…、」
突然思い出した自らの未来の展開。
このままではジェレミアに利用され、彼が皇帝となった後、汚れた部分の全ての罪を着せられ処刑される。
「それまでに…家出資金を貯めるのよ!」
全てを思い出したシエラは死亡フラグを回避できるのか!?
「リヒト、婚約を解消しましょう。」
「姉様は僕から逃げられない。」
(お願いだから皆もう放っておいて!)
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
私は既にフラれましたので。
椎茸
恋愛
子爵令嬢ルフェルニア・シラーは、国一番の美貌を持つ幼馴染の公爵令息ユリウス・ミネルウァへの想いを断ち切るため、告白をする。ルフェルニアは、予想どおりフラれると、元来の深く悩まない性格ゆえか、気持ちを切り替えて、仕事と婚活に邁進しようとする。一方、仕事一筋で自身の感情にも恋愛事情にも疎かったユリウスは、ずっと一緒に居てくれたルフェルニアに距離を置かれたことで、感情の蓋が外れてルフェルニアの言動に一喜一憂するように…?
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。
愛され妻と嫌われ夫 〜「君を愛することはない」をサクッとお断りした件について〜
榊どら
恋愛
長年片思いしていた幼馴染のレイモンドに大失恋したアデレード・バルモア。
自暴自棄になった末、自分が不幸な結婚をすればレイモンドが罪悪感を抱くかもしれない、と非常に歪んだ認識のもと、女嫌いで有名なペイトン・フォワードと白い結婚をする。
しかし、初顔合わせにて「君を愛することはない」と言われてしまい、イラッときたアデレードは「嫌です。私は愛されて大切にされたい」と返した。
あまりにナチュラルに自分の宣言を否定されたペイトンが「え?」と呆けている間に、アデレードは「この結婚は政略結婚で私達は対等な関係なのだから、私だけが我慢するのはおかしい」と説き伏せ「私は貴方を愛さないので、貴方は私を愛することでお互い妥協することにしましょう」と提案する。ペイトンは、断ればよいのに何故かこの申し出を承諾してしまう。
かくして、愛され妻と嫌われ夫契約が締結された。
出鼻を挫かれたことでアデレードが気になって気になって仕方ないペイトンと、ペイトンに全く興味がないアデレード。温度差の激しい二人だったが、その関係は少しずつ変化していく。
そんな中アデレードを散々蔑ろにして傷つけたレイモンドが復縁を要請してきて……!?
*小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる