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王宮内暗殺事件編
第94話 毒を以て毒を制す
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アルマの護衛として呼ばれたジルは彼女の腫れた頬を目にして驚愕した。
「アルマ…その頬はどうしたんだ。まさかまた公爵が……」
「いつもの事です。」
ジルが手早く用意させた氷水にタオルを浸してアルマの頬にそっとあてる。
「今回の事件でクロウリー公爵家が動こうとしている、お前に何か危害を組んえてくるかもしれない。」
アルマは庭から外をぼぉっと眺めながら
「たとえわたくしを憎み、忌み嫌っている者があちら側にいたとしても…必ずダリア様が守ってくださるわ。あの方にとってわたくしは大事な駒のひとつなのだから。」
まるでこの場にある全てのものを視界に入れていないような遠い目をするアルマにジルはどこか複雑そうに顔を歪めた。
「お前のことを駒として扱ってるだと?一体そんなやつの何がいいんだ。」
「あら可愛いことを言うのね?ジル。貴方だって立派なミレーヌお姉様の駒じゃない。」
アルマは口元は笑っていたが目は鋭かった。
「利用し利用されるのがこの貴族社会というもの、貴方だって言葉を変えれば王陛下に使われているのですから。信頼関係だけで国家が成り立つわけでもないでしょう…まぁ、今回は休息だと思って大人しくしています。」
(ミレーヌお姉様のお腹の中には既に王の子を宿している、それを公表される前に権力を削ぎ落そうなんて。此度も大変見事でございました、ダリア。)
ミレーヌが住む別宮、そこには酷く苛立った様子のミレーヌが親指の爪を噛んで空を睨みつけていた。
「何故あの毒を公爵家の私生児が飲んだのよ…こちらの手の者が口にするはずだったのに!忌々しい青薔薇の血族がっ!」
目の前に花瓶に生てある真っ赤なバラを睨みつけていると段々と茶色に変色していき枯れてしまう。
枯れた花びらがゆっくりとテーブルに落ちたその時…
窓から入っていた太陽の光は雲により覆われ、昼だと言うのにあっという間に薄暗くなってしまった。
そして部屋の隅から真っ黒な騎士服を着た騎士が怪しい笑みを浮かべて立っていた。
異様に感じる寒気と悪寒にミレーヌは嫌な汗をかく。
「ここはディシュタイン王家の側妃の部屋と知ってのことか?」
(このタイミングで暗殺?まさか、神殿のっ!)
『へぇ、貴女…神殿とも関わりがあったのですね?どうりでやたらと問題を起こせるわけだ。』
(なっ!なんでそのことを。)
騎士は光が当たるところへと1歩足を踏み出した。
『今回の事件は貴女の手駒を全て失いかける危険な賭けだ。だがその神殿のおかげでひとつの駒を失うだけで済んだ、ということを理解しておいた方がいい。』
何人も重ねたような奇妙な声に君の悪さを感じるミレーヌ。
『あぁ、怯えないで?貴女を殺すだなんて勿体ないことしませんから。暫く大人しくしていて欲しいんですよ、明日は大事な方をお迎えに上がらないといけないもので。そうそう、つい先ほど貴女の資金源でもあったトルノ伯爵家がお取り潰しとなりました。理由はお分かりですね?』
驚きを隠せないミレーヌに騎士はケタケタと笑いながら赤黒い液体の入った小瓶をミレーヌの足元に放り投げた。
「·····」
『公爵家の令嬢を毒殺しようとした罪に加え、災害復興のために使用を認められた公金に手をつけた罪。これらによってお取り潰しとなりました。ご安心ください!その一部が貴女の元に流れていることは公になってはおりません。そんなことで失脚されては困りますので。』
にっこりと微笑むと黒い影とともに騎士は消えていった。
枯れ果てたバラの花びらを思い切り掴み握りつぶすミレーヌの顔は怒りに歪んでいた。
「側妃となったのはこの国の王妃になるためなんかではない…わたしはこの国の聖母となるのだ。見てるがいいダリア・クロウリー、貴様の最後の晴れ舞台は処刑場となることだろうっ!」
𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹
「アルマ…その頬はどうしたんだ。まさかまた公爵が……」
「いつもの事です。」
ジルが手早く用意させた氷水にタオルを浸してアルマの頬にそっとあてる。
「今回の事件でクロウリー公爵家が動こうとしている、お前に何か危害を組んえてくるかもしれない。」
アルマは庭から外をぼぉっと眺めながら
「たとえわたくしを憎み、忌み嫌っている者があちら側にいたとしても…必ずダリア様が守ってくださるわ。あの方にとってわたくしは大事な駒のひとつなのだから。」
まるでこの場にある全てのものを視界に入れていないような遠い目をするアルマにジルはどこか複雑そうに顔を歪めた。
「お前のことを駒として扱ってるだと?一体そんなやつの何がいいんだ。」
「あら可愛いことを言うのね?ジル。貴方だって立派なミレーヌお姉様の駒じゃない。」
アルマは口元は笑っていたが目は鋭かった。
「利用し利用されるのがこの貴族社会というもの、貴方だって言葉を変えれば王陛下に使われているのですから。信頼関係だけで国家が成り立つわけでもないでしょう…まぁ、今回は休息だと思って大人しくしています。」
(ミレーヌお姉様のお腹の中には既に王の子を宿している、それを公表される前に権力を削ぎ落そうなんて。此度も大変見事でございました、ダリア。)
ミレーヌが住む別宮、そこには酷く苛立った様子のミレーヌが親指の爪を噛んで空を睨みつけていた。
「何故あの毒を公爵家の私生児が飲んだのよ…こちらの手の者が口にするはずだったのに!忌々しい青薔薇の血族がっ!」
目の前に花瓶に生てある真っ赤なバラを睨みつけていると段々と茶色に変色していき枯れてしまう。
枯れた花びらがゆっくりとテーブルに落ちたその時…
窓から入っていた太陽の光は雲により覆われ、昼だと言うのにあっという間に薄暗くなってしまった。
そして部屋の隅から真っ黒な騎士服を着た騎士が怪しい笑みを浮かべて立っていた。
異様に感じる寒気と悪寒にミレーヌは嫌な汗をかく。
「ここはディシュタイン王家の側妃の部屋と知ってのことか?」
(このタイミングで暗殺?まさか、神殿のっ!)
『へぇ、貴女…神殿とも関わりがあったのですね?どうりでやたらと問題を起こせるわけだ。』
(なっ!なんでそのことを。)
騎士は光が当たるところへと1歩足を踏み出した。
『今回の事件は貴女の手駒を全て失いかける危険な賭けだ。だがその神殿のおかげでひとつの駒を失うだけで済んだ、ということを理解しておいた方がいい。』
何人も重ねたような奇妙な声に君の悪さを感じるミレーヌ。
『あぁ、怯えないで?貴女を殺すだなんて勿体ないことしませんから。暫く大人しくしていて欲しいんですよ、明日は大事な方をお迎えに上がらないといけないもので。そうそう、つい先ほど貴女の資金源でもあったトルノ伯爵家がお取り潰しとなりました。理由はお分かりですね?』
驚きを隠せないミレーヌに騎士はケタケタと笑いながら赤黒い液体の入った小瓶をミレーヌの足元に放り投げた。
「·····」
『公爵家の令嬢を毒殺しようとした罪に加え、災害復興のために使用を認められた公金に手をつけた罪。これらによってお取り潰しとなりました。ご安心ください!その一部が貴女の元に流れていることは公になってはおりません。そんなことで失脚されては困りますので。』
にっこりと微笑むと黒い影とともに騎士は消えていった。
枯れ果てたバラの花びらを思い切り掴み握りつぶすミレーヌの顔は怒りに歪んでいた。
「側妃となったのはこの国の王妃になるためなんかではない…わたしはこの国の聖母となるのだ。見てるがいいダリア・クロウリー、貴様の最後の晴れ舞台は処刑場となることだろうっ!」
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