魔女の弟子ー童貞を捨てた三歳児、異世界と日本を行ったり来たりー

盾乃あに

文字の大きさ
16 / 104

休み

しおりを挟む

 貧民街の爆発が止まった時には東区は廃墟と化していた。
 レオランたちが助けられた子供は十二名。レオラン達は怪我人は出たが命に関わる事はなかった。
 裏ギルドは壊滅していたらしく、パズの死体も見当たらなかった。

 子供達は首に爆弾を着けられて一斉に解放されたらしい。皆が動き出した頃に一人が爆発、それにつられてバラバラに逃げ出したらしい。

 結局、誰のせいかわからないままこの事件は迷宮入り。
 血を求める赤の魔女、死を求める白の魔女、貧民街を無くしたい王都、皆が噂話をしている。

「ユピーはウチで預かるよ」
「女将さん助かります。よろしくお願いします」
アンちゃん」
 他の子供達は色んなところに預けられる事になった。ユピーは錆猫の居眠り亭に預けられた。

「レオラン」
「あぁ、ひでぇ事しやがる」
「あの時なんで来たんだ?」
「俺は貧民街出身だ」
 そうか、だから裏ギルドのことも多少は知ってたのか。
「上の連中はもう工事の計画を立ててるらしいぜ?本当にこの国が嫌になる」
「……そうだな」
 助けられなかった人がいて、助かった人がいる。俺たちみたいに動いた人間は少なく、他人事のように見ているだけの人が大半だ。

「俺はパズが生きてるように思う」
「お前が殺したやつか?殺したんだろ?」
「あぁ、だが、死体が見当たらなかった」
「……」
「パズを見つけ出して今度こそ必ず」
「やめとけよ。いま生きてるやつに目を向けろ、そしていつか会う時がきたら…その時は必ず仕留めればいい」
 あの時の音が、悲鳴が、心を縛る。
「あぁ、そうするよ」

 いつか必ず。


「いらっしゃいませ」
 ユピーが宿屋に来てから一週間になる。
 初めて会った頃は男か女か分からなかったが、女の子だった。風呂に入れて貰って燻んだ髪も綺麗な青い髪になり。服も中古だが買ってきたのを着ている。
「兄ちゃんおかえり」
「あぁ、ただいま」
 頭を撫でると強く押し返してくる。

 助けられて良かった。

 たぶんユピーは分かってる。親父さんの作っていた物が自分達に付けられた物だったと、そしていなくなったことも。

「今日は特製のシチューだって!絶対食いにこいよ」
「あぁ」
 強い子だ。

 俺はそれから北のダンジョン攻略を開始した。少しでもユピーと一緒にいれるように、俺までどこかにいってしまわないように。

 いや、俺が離れ難いだけだな。

 東区の再開発が済んだら俺は出て行くことにした。もう貧民街なんてものはないんだから。だから俺もそれまでにはダンジョンを攻略したい。

「行ってくるよ!」
「いってらっしゃい!」
「肉持ってきなよ?」
「取れたらね」
 女将さんとユピーに送り出されダンジョン へ。

 俺はもっと強くなる。

 色んなものを守れるように。


「はぁ、はぁ、はぁ」
 ようやく六十階層のボスを倒して一休み。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

コタロー・カザマ 十五歳
 レベル76
 力 S-
 体 A-
 速 A+
 魔 S-
 運 B+
スキル 五行魔法(火・水・土・風・雷)        
    闇魔法 光魔法 回復魔法 転移魔法 時空間魔法 強化魔法 支援魔法
    剣術 槍術 棍術 体術 盾術 感知
ユニーク 

 黒の魔女の弟子
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「くそっ、ここのダンジョンは上級より上っぽいな」
 他の攻略したダンジョンよりも難易度が高い。こんなところで躓くわけにはいかないんだが。

 王都ダンジョン 六十一層

「なんでオークキングが普通に出るんだよ!」
 オークキング、ジェネラル×2、ナイト×2、マジシャンの六匹編成だ。
「『アイスエッジ』うらぁぁ!」
 袈裟斬り、切り上げ、蹴り、追い討ちをかけて三匹、身体強化で後ろに回り込み残り三匹を倒す。
「はぁ、はぁ、まじでしんどいな」

 いい時間なので六十階層から転移陣で戻り、南区の宿屋に戻る。
「いらっ、あ、兄ちゃんおかえり」
「ユピーただいま」
「肉は?」
「これ、オークキングの肉」
「いやっほぉー!!あとで支払うからね」
 女将さんは俺のことを当てにしすぎだ。
「とりあえずシャワー浴びてくる」
「うん、どうぞー」
 ユピーは元気でやってる。女将さんも上機嫌だ。なのに俺は。

 飯を食いに下に降りるとレオラン達がいた。
「コタロー!こっち来いよ!」
「あぁ!お邪魔します」
 久しぶりの再会だ。
「んじゃかんぱーい!」
「「「「かんぱーい」」」」
 エールが美味い。
「で、お前休んでないだろ?」
「何だよいきなり」
 たしかにいつ休んだかな?

「お前にはとりあえず休息が必要だ」
「そーだそーだ!」
「ダンジョン馬鹿になっちまうぞ」
「そーだそーだ!」
「ユピーも心配してるぞ?」
「そだそーだ?」
 メルの合いの手がおかしいが、ここらでちゃんと休むか。
「分かった、明日からちょっと休むわ」
「「「「おおー!」」」」

 と言うわけで休みになった。
「で?なんでいるんだ?」
 ラフな格好のレオラン達四人。
「いや、コタローは休みに何するのかと思ってな」
「そーだそーだ」
「いや、それはもういいから」
 メルはショートパンツにダボっとしたサマーニットだ。
「俺らも休んでなかったからな」
「そろそろ休み」
 ウィッグはパンツスタイルで決めている。

「んで?なにすんだよ?」
 一人なら日本に帰るけど、
「そうだ、俺の故郷の遊びでもするか?」
「おぉ!それでいいぞ」
「なら、酒場でやるか」
 この世界は本当に娯楽がない。だからこれを流行らせよう。
「トランプ」
「何だ?上質なカードだな」
 俺はトランプの遊び方を教えた。

「あーがり!」
 ウィッグがあがった。いまはババ抜き中だ。
「ぬぬぬぬぬぬ」
「おらおら、どっちだと思う?」
 俺はさっさと上がっていまはガストとレオランの勝負だ。
「こっちだ!」
「ざーんねんでしたー!」
「「「あはははは」」」
 ガストが外して、またレオランのチャンス。


 結局、夕飯時までトランプをやっていたせいで他の客も巻き込んで大騒ぎ。
「やったー!」
 ババ抜きは大好評で何人でも遊べるのが良かったみたいだ。
「あー、コタローは面白いもの持ってるな」
「だろ?あれはあげるよ」
「いいのか?やりぃ!これでいつでも勝負できるぜ」
 いい歳こいたおっさんがよく遊ぶもんだ。
 カウンターで呑んでるとユピーがソワソワしてたから後であげると言ったら喜んでくれた。女将さん達とやりたかったらしい。

 あとは商業ギルドで登録して、売り出してくれれば勝手に広がるだろうさ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

勇者パーティのサポートをする代わりに姉の様なアラサーの粗雑な女闘士を貰いました。

石のやっさん
ファンタジー
年上の女性が好きな俺には勇者パーティの中に好みのタイプの女性は居ません 俺の名前はリヒト、ジムナ村に生まれ、15歳になった時にスキルを貰う儀式で上級剣士のジョブを貰った。 本来なら素晴らしいジョブなのだが、今年はジョブが豊作だったらしく、幼馴染はもっと凄いジョブばかりだった。 幼馴染のカイトは勇者、マリアは聖女、リタは剣聖、そしてリアは賢者だった。 そんな訳で充分に上位職の上級剣士だが、四職が出た事で影が薄れた。 彼等は色々と問題があるので、俺にサポーターとしてついて行って欲しいと頼まれたのだが…ハーレムパーティに俺は要らないし面倒くさいから断ったのだが…しつこく頼むので、条件を飲んでくれればと条件をつけた。 それは『27歳の女闘志レイラを借金の権利ごと無償で貰う事』 今度もまた年上ヒロインです。 セルフレイティングは、話しの中でそう言った描写を書いたら追加します。 カクヨムにも投稿中です

異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!

ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!? 夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。 しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。 うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。 次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。 そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。 遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。 別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。 Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって! すごいよね。 ――――――――― 以前公開していた小説のセルフリメイクです。 アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。 基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。 1話2000~3000文字で毎日更新してます。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~

きよらかなこころ
ファンタジー
 シンゴはある日、事故で死んだ。  どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。  転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。  弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。

42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。

町島航太
ファンタジー
 かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。  しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。  失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。  だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

ステータス画面がバグったのでとりあえず叩きます!!

カタナヅキ
ファンタジー
ステータ画面は防御魔法?あらゆる攻撃を画面で防ぐ異色の魔術師の物語!! 祖父の遺言で魔女が暮らす森に訪れた少年「ナオ」は一冊の魔導書を渡される。その魔導書はかつて異界から訪れたという人間が書き記した代物であり、ナオは魔導書を読み解くと視界に「ステータス画面」なる物が現れた。だが、何故か画面に表示されている文字は無茶苦茶な羅列で解読ができず、折角覚えた魔法なのに使い道に悩んだナオはある方法を思いつく。 「よし、とりあえず叩いてみよう!!」 ステータス画面を掴んでナオは悪党や魔物を相手に叩き付け、時には攻撃を防ぐ防具として利用する。世界でただ一人の「ステータス画面」の誤った使い方で彼は成り上がる。 ※ステータスウィンドウで殴る、防ぐ、空を飛ぶ異色のファンタジー!!

処理中です...