魔女の弟子ー童貞を捨てた三歳児、異世界と日本を行ったり来たりー

盾乃あに

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魔女会談

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 ルナディア大陸の中央、ルナディア最大のダンジョン『バベル』が聳り立つ。その最上位層にて魔女会談は行われる。

「あら、黒の魔女も久しくあっていなかったわね」
 青いローブを着た蒼髪のハーフアップにメガネをかけた美女。
「やぁ、青の魔女って、いつも通り名前で呼び合おうじゃないか?」
「そうね、ルーはやっぱりライラのことかな?」
「ミスティアの言う通りさ。こっち側に大きな被害が出てんだからちょっとは言いたくなるってもんさ」
「あら、私はちゃんと見てたわよ?あれは美しい花火のようでしたわ」
 白のローブを着た美女だ。銀髪を靡かせ目を閉じたままソファーに腰を下ろしている。
「メイフィか、あんたにはそう見えたかもしれないけどね」
「あぁ、あの熱心に動き回っていた子がお気に入りなの?」
「は、あれは私の弟子さ」
「「まぁ」」
「ついにルーにも男ができたのね」
「あれはまだまだ弱そうだったわよ?」
 ミスティアもメイフィも興味津々のようだ。
「まぁ、弟子が巻き込まれたんだ。ライラには少し抑えておいてほしいんだがね?」

「はぁ、私じゃ抑えられないのを知っているはずでしょう?」
 赤いローブを着た赤髪、ショートカットのおっとりとした雰囲気の美女が喋り出す。
「うちの魔人共は勝手に動いてるだけ、しかもルーのとこの男にやられたらしいじゃないか」
「どーせ生きてるんだろ?」
「辛うじてって感じかな?まぁ今回はやり過ぎだからいいお灸になったんじゃないかな」
 ライラは真っ赤なワインを飲み干すと立ち上がる。

「でもね、ルーの弟子ってのもやり過ぎよ?こっちの人間じゃないんでしょ?ならこっちには不干渉じゃなきゃフェアじゃないわ」
 少し不機嫌そうにするライラ。
「あいつもこっちで何年も生きてるからそりゃ無理ってもんだろ?しかもいまは私の手を離れてるんだ」
 ルーも不機嫌を隠す事なくライラにぶつける。

「まぁまぁ、ここで私達がやり合ってもしょうがないでしょ?私は今回の事はしょうがないと思ってるんだけど、どう?」
 メイフィが口を挟むとライラとルーはそっぽを向く。
「私もメイフィに賛成だ。お互いの子飼いがぶつかっただけでしょ?次からは気をつけるでどうなの?」
 ミスティアもメイフィに賛成のようだ。

「はぁ、わかったわよ。でも、ライラには下の者の手綱はちゃんと握ってて欲しいわね」
 ルーがタバコに火を付ける。
「分かった。こちらも王都はやり過ぎだと思ってる。ちゃんと注意しておくよ」
 ライラもキセルに魔法で火を付ける。

「ならこれでお終い。あとはお茶会にしましょう」
「私はルーの弟子について知りたいわぁ」
 メイフィがルーの方を見て笑みをこぼす。

 四人がテーブルに座り、お茶がどこからともなく現れる。

「なんだ、手を出した男なのね。つまんなーい」
 メイフィはルーの男だと知って手が出せないことに不貞腐れる。
「まぁ、三歳児まで吸い取っちゃったから仕方なくよ?でも、手を出すのはやめて欲しいわね」
「あら。知識を吸い取るのもダメなの?」
「ミスティアが吸い取ると廃人になるじゃないか」
「血は?血くらいはいいだろ?」
 ライラがテーブルに乗り上げるが、
「一番ダメだろ!少しで済むわけないのは自分が一番わかってるでしょ?」
「チェッ!異世界人の血なんて久しく飲んでないんだから少しくらいいいじゃないか」
 ライラは不貞腐れてテーブルに突っ伏す。

「そろそろ勇者召喚の季節じゃない?」
 メイフィがそう言うとライラの目が光る。
「そうだった!あー、はやく会いたいよ」
「召喚の儀はまだ数年かかるだろ?」
 ルーが声を上げるが、
「数年なんてすぐよ、私達にしてみたら」
「まぁ、そうね」
 
 数百年に一度、人間が勇者召喚の儀を行い魔人に対抗してくる。一度も魔王ライラが討たれたことはない。
 魔女達にとってはまたとない一大イベントなのだ。

「今回は魔人の四人くらい倒して欲しいわね」とライラは言う。
「そうねぇ、私は人間も魔族も頑張って欲しいところよ?」メイフィは笑った。
「メイフィは死ぬところを見たいだけだろ?私のとこまで来てくれるのを待ってるわ」
「ミスティアは賢者として知識を与えるだけにしとけよ?逆に吸い取ったらそこで終わっちまうよ」ルーがミスティアに釘を指す。

 人間と魔族の争いは、この四人にとってはゲームと一緒である。どっちが勝とうが負けようがいい。ただ自分達を楽しませてくれることを期待しているだけなのだ。

 良くも悪くも不干渉。自分の役割を決めてそれに従って動くだけ。
 赤の魔女は魔王。白の魔女は神官。
 青の魔女は賢者。黒の魔女は隠者。
 
 勇者の行動によって出会いは変わり、それを見て一喜一憂する魔女達。

 魔女達もまた娯楽に飢えていた。
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