魔女の弟子ー童貞を捨てた三歳児、異世界と日本を行ったり来たりー

盾乃あに

文字の大きさ
21 / 104

鍛錬と出国

しおりを挟む

 ノサルディに着いた小隊は宿に一泊し、明日は商売をするらしいので明日は休みになった。
「おい!勝負しろ!」
 黄金の爪の一人、多分剣士なんだろう金髪のツンツン頭が木剣を突きつけてきた。
「なーんでお前なんかとやる必要があるんだ?」
「お前は俺達を馬鹿にしてる!」
「ゴブリン程度相手に出来ないなら馬鹿にされても問題ないだろ?」
 よくこの護衛任務を受けられたもんだよ。
「ゴブリンはきちんと倒してるだろ!勝負しろ」
「分かったよ、んじゃ、始め!」
 懐に潜り込んで腹に拳が減り込む。
「うごフッ!」
「はい終わり」
「ゴェッかっはっ……はぁ、ひ、卑怯な」
「卑怯もクソもないだろ?なんならさっさと立てよ」
 金髪野郎は何とか立ち上がると木剣を上段に構えて突進してきた。
「きぇえぇ!」
「声出すな!動きが固い!」
 ただの振り下ろしを半身で避けて腹を蹴り込む。
「かっはっ!」
「もっと鍛錬しろ!」
 はぁ、やっと休みなのになんでこんなガキの相手しないといけないんだよ。
 俺は町に繰り出して魔法屋や道具屋を見て回った。

「兄貴!おはようございます!」
「……誰が兄貴なんだよ?」
「やだなぁ、今日は休みじゃないですか!いい鍛錬日和ですよ」
「頑張れよ」
「待ってください!お願いします!強くなりたいんです」
 はぁ、なんかやな予感しかしない。
「だからって俺に教えを乞うなよ」
「お願いします!」
 背後にはパーティーメンバーが並んでる。

「おら、もっと早く動けよ」
「はい!」
「そこは避けるとこだろ?ちゃんと見て戦え」
「はい!」
「詠唱が遅い!」
「はい!」
 なんで俺は休みなのにこんなことやってんだか。しかも、こいつら年上でやんの。

 やっと昼になって飯を食う。
「俺は絶対冒険者で成り上がるんだ」
 金髪野郎の名前はサンタ。
「私はお金持ちと結婚かなぁ」
 マジシャンのミーナ。茶髪のポニーテールで活発そうな女だ。
「僕はサンタと一緒かな」
 タンクのカンは俺と夜番が一緒だった、ずんぐりした体型の坊主頭。
「私も……です」
 喋りが堪能じゃない弓師のテラは暗めの緑髪のボブだ。
「ならもうちょっと連携とか考えていこうな?俺は忙しいから昼からは付き合わないぞ?」
「「「「えーー」」」」
「いや、付き合う理由がないからな!さっきの復習でもしてろよ」

 なんだかんだで理由をつけて逃げて来た。
「っとに、あ、ポケットさん」
「おぉ、コタロー殿。鍛錬ご苦労様でした」
「見てたんですか?」
「声が聞こえましてね。あの子らは知り合いの子でして、つい護衛を頼んでしまったんですが、思ったより出来が悪かったみたいですね」
 それでこんなレベル違いの護衛なんだな。
「コタロー殿が宜しければ鍛錬してやってください。少しですが色をつけさせて貰いますので」
「はぁ。わかりました。でも期待しないでくださいね」
「わかってます。よろしくお願いしますね」
 請け負ってしまった。

「あ、兄貴」
「やるぞ、お前ら」
 それから扱きに扱いてやった!怪我も回復魔法で治して、すぐにまた訓練。泣いても許してやらなかったら、ちょっとはマシになってきた。
「ウッゴッ!」
「ガハッ!」
「まだまだぁー!」
「もうやめてぇー!」
「お前もやるんだよ!」
「ヘギョっ!」

 アザだらけのサンタ、ミーナ、カン、テラは自然体で護衛ができるようになっている。
 あれから二週間もかけて護衛の合間に訓練したかいがあったな。
「コタロー殿。やり過ぎでは?」
「いや、これでも甘い方ですよ?俺なんかこの倍は扱かれましたから」
「そ、そうですか」
 こちとら三歳から英才教育だっつーの!

 ようやく国境にこれたのはそれから一週間もかかった。まぁ、歩きとさほど変わらないからしょうがない。
「兄貴はどこに向かうんですか?」
「ん?決めてないけど」
「なら一緒に」
「はいかないぞ?俺は一人で動くから。それにお前らはもう大丈夫だろ?」
「「「「あ、兄貴ぃー」」」」
 な、泣かないぞ!俺は決して泣かないぞ!

 帝国側に入る。
「コタロー殿、サンタ達をここまで鍛錬してくれてありがとうございます。これはお礼ですので取っておいて下さい。そしてまた会える日を楽しみにしてます」
「こちらこそありがとうございました」
 護衛任務も終わり、あとはギルドに達成報告をしてようやく自由だ。
 サンタ達は先にギルドに行って達成報告をしている。

「帝国のギルドはどんなんかなぁ?」
 ギルドの看板は変わらない。ギルドの中に入っていくと受付にサンタ達がいた。
「お、もう終わりか?」
「あ、兄貴。俺らはもう済んだんでこれで失礼します」
「おう!頑張れよ!」
「「「「はい」」」」
 何事もなくて良かった。
「俺も達成報告だ」
 報告書を受付に出すと簡単な応答とギルドカードの提示だけで素早く終わった。ついでに金を帝国金貨に変えて貰い、おすすめの宿を聞く。

「いらっしゃい!泊まりで銀貨三枚、朝食付きで銅貨五枚追加だよ」
「んじゃ五日で朝食付き」
「まいど!」
 なかなかいい宿だ。部屋に入るとやっぱどこも似たり寄ったりだな。部屋の鍵をかけると、
『転移』
 日本の自宅にやって来た。今日は親父の手紙もないようだ。

「あー、やっぱこっちが俺の家って感じだ」
 すぐに風呂場に行って風呂を沸かす。
「ッカァー!染みるねぇ」
 ビールを開けてテレビをつける。テレビではダンジョンのニュースをやっていて、いまが夕方なのが分かる。
「なんだ夕方かよ。買い物は明日だな」
 時間差があるからもうちょい宿も延長しておこう。
 明日は金を下ろしてからだな。髪もそろそろ切らないとロン毛になってきてるし。下着も買わないともうボロボロになって来ている。あー、金かかるなぁ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

勇者パーティのサポートをする代わりに姉の様なアラサーの粗雑な女闘士を貰いました。

石のやっさん
ファンタジー
年上の女性が好きな俺には勇者パーティの中に好みのタイプの女性は居ません 俺の名前はリヒト、ジムナ村に生まれ、15歳になった時にスキルを貰う儀式で上級剣士のジョブを貰った。 本来なら素晴らしいジョブなのだが、今年はジョブが豊作だったらしく、幼馴染はもっと凄いジョブばかりだった。 幼馴染のカイトは勇者、マリアは聖女、リタは剣聖、そしてリアは賢者だった。 そんな訳で充分に上位職の上級剣士だが、四職が出た事で影が薄れた。 彼等は色々と問題があるので、俺にサポーターとしてついて行って欲しいと頼まれたのだが…ハーレムパーティに俺は要らないし面倒くさいから断ったのだが…しつこく頼むので、条件を飲んでくれればと条件をつけた。 それは『27歳の女闘志レイラを借金の権利ごと無償で貰う事』 今度もまた年上ヒロインです。 セルフレイティングは、話しの中でそう言った描写を書いたら追加します。 カクヨムにも投稿中です

異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!

ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!? 夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。 しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。 うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。 次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。 そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。 遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。 別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。 Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって! すごいよね。 ――――――――― 以前公開していた小説のセルフリメイクです。 アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。 基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。 1話2000~3000文字で毎日更新してます。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~

きよらかなこころ
ファンタジー
 シンゴはある日、事故で死んだ。  どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。  転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。  弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。

42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。

町島航太
ファンタジー
 かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。  しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。  失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。  だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

ステータス画面がバグったのでとりあえず叩きます!!

カタナヅキ
ファンタジー
ステータ画面は防御魔法?あらゆる攻撃を画面で防ぐ異色の魔術師の物語!! 祖父の遺言で魔女が暮らす森に訪れた少年「ナオ」は一冊の魔導書を渡される。その魔導書はかつて異界から訪れたという人間が書き記した代物であり、ナオは魔導書を読み解くと視界に「ステータス画面」なる物が現れた。だが、何故か画面に表示されている文字は無茶苦茶な羅列で解読ができず、折角覚えた魔法なのに使い道に悩んだナオはある方法を思いつく。 「よし、とりあえず叩いてみよう!!」 ステータス画面を掴んでナオは悪党や魔物を相手に叩き付け、時には攻撃を防ぐ防具として利用する。世界でただ一人の「ステータス画面」の誤った使い方で彼は成り上がる。 ※ステータスウィンドウで殴る、防ぐ、空を飛ぶ異色のファンタジー!!

処理中です...