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『カンテラ』
しおりを挟むとりあえずボス部屋が開いたので入って行くと、今度は鹿のモンスターで古代鹿らしい。
とりあえず俺がさっくり毒を注入。
アーシャが目を貫通する程の矢を射るとドロップに変わる。
ドロップは角、肉、皮、魔石と殆どがドロップだ。
宝箱からは今度は『職業判別機』が入っていた。
またいらないものが増えたな。
「今日はもうあがろうか?」
「そうね、欲しいものもないようだし」
『ニャー、腹減ったニャー』
と言うことで20階層で終わりにし、宿まで戻るとすっかり夜になっていた。
「お!帰って来たのか!」
宿の食堂で飲んでいる男から声がかかる。
「デニスだったか」
「そうだ、ヤトたちはここに何しに来てんだ?」
「まぁ、旅しにだな」
「あはは、酔狂だな?こんなとこにか?」
「まぁな、デニス達はさっきの『魔力測定器』が必要だったのか?」
「ギルドからの依頼だ、何年も経っちまったがな」
「じゃーこれはいるか?」
「お、おい、これは『職業判別機』じゃねーか!運がいいんだな」
「俺には必要ないけどな」
「じゃあ、ま、また交換しないか?」
「いいぞ、そっちは何が出たんだ?」
「これだ、クリスタルだな。俺らは素材しかでてないんだ」
とデカめのクリスタルを出して来た。
鑑定するとジョブレベルアップのクリスタルだ。
「それは他にも?」
「あるぞ!全部で9個ある」
「じゃーそれと交換だな」
「やった!お前はラッキーボーイだな」
「あはは、なんだそれは?まぁ着替えてくるから待ってろ」
「おう!」
と部屋に入って着替えて下に行く。
「待ってたぞ!どんどん頼め!俺たちの奢りだ!」
「ほらよ、交換だな」
「ありがてぇ!これでギルドにデカい顔できるぜ」
と機械をマジックバッグに入れる。
俺もクリスタルをバッグにいれると酒盛りが始まる。
デニス達は男四人組でA級パーティーの『カンテラ』と言うらしい。
その魔力測定器と職業判別機はギルドが喉から手が出るほど欲しい機械らしく、報酬がいいらしい。
だから何年も潜って探していた。
「これでようやく嫁さんを迎えに行ける!」
「嫁がいたのか?」
「おう!みんないるぞ?この仕事が終わったら帰って農業するつもりだ」
「そうか、最後のダンジョンだったのか」
「ああ、やっとまともな職に就ける」
「冒険者も立派じゃないか?」
「……いつ死ぬかわからないから怖かったんだよ」
とデニス達は苦笑いでエールを飲み干す。
まとまった金が手に入って、冒険者をするような奴はいないらしい。
まぁ、中には冒険者を続けるものもいるそうだがほんの一握りとのことだ。
「だぁー、酒がうめぇ!」
「だな。デニス達の新しい門出に」
「「「「カンパーイ」」」」
「ありがとう、ヤトには借りができちまったな」
「物々交換だ、気にするな」
「俺らは明日手続きしたら引退するが、何か困ったことがあったらブライの街にいるからな!声かけてくれ」
と手を出すので握り返し、
「まぁ、行くこともあると思うからその時は案内してくれよ?」
「もちろん!」
デニス達はA級に上り詰めたのにキッパリと止めるんだな。
まぁ、それだけ危険なんだろう。
こっちの世界は命の価値が低いからな。
何にせよこれで気のいい友達が増えたな。
「じゃあ、明日俺たちはここを出るが、本当に2人と1匹で大丈夫か?」
『これでもニャーは強いにゃ!』
「テンだったか?ちゃんと主人を守れよ?」
『当たり前にゃ』
そうして夜を楽しく過ごして翌朝はギルドに行ってみる。
デニスは頬が緩んでいる。
「へへっ!随分弾んでくれたぜ!これもヤトのおかげだな。またな!ヤト」
「おう!またな!」
と馬車まで送って手を振る。
「いい人達だったね」
「だな、冒険者でもベテランだろうに、そんなこと微塵も感じさせなかったな」
『まぁ、人間もいい奴がいるにゃ』
「だな」
『カンテラ』は冒険者ギルドを辞めて故郷に帰っていった。
さて俺たちはどうしようかな?
「シャワーはいいのか?」
「うん、昨日テント出してもらったし」
「んじゃ、次の街にでも行くか!」
『次はそうにゃね、王都でも行こうかにゃ?』
「もう王都か?」
『あとは似たり寄ったりにゃ、王国の城下町なんかなら人も多いし栄えてるにゃ』
もうちょっと回りたかったが、まぁいいか。
「んじゃ行くか!」
「うん」
と外に出たら車を出してテンのナビに従う。
山越する時盗賊が出て来たが知らんぷりで進んで行く。
「あはは、追いついてこれないな!」
『ニャハハハハ!面白いにゃ!』
盗賊を振り切って王都のある方へ向かう。
流石に一日じゃ着かなかったが、2日目にようやく見えて来たデカい建物。
『あれが王都にゃ!』
「デカいね」
「まぁな」
『結構店がたくさんあるから欲しいものも見つかるにゃ』
俺が欲しいのは老化薬の作り方だ。
それか外見を変える薬かな。
途中から歩いて王国の門に入る。
さすが王都だな、人混みで手を繋いでなかに入る。
「綺麗な城ね?」
「外見だけだよ」
「でも、初めてこんな大きなお城を見たわ」
前回は空飛ぶ絨毯で飛んで行ったからな、まぁ、ちゃんと見ればデカくていい城だな。
「さて宿を決めようか」
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