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借り
しおりを挟む女の子を助けたのはいいが、取り敢えずどうするかな。
身だしなみを整えこちらを向くと、銀髪の綺麗な女の子だが、泣いて怯えた眼をしている。
「ふぅ、何故こんな所まで?」
「わ、私、探索者学校の3年なんですが、その、前衛をできる人を募集してて」
「学校ではパーティーは組めないのか?」
「覚醒したら、その、ジョブが……」
と泣き出す。
はぁ、面倒くさい事になったな。
「初心者ダンジョンの方がいいんじゃないか?」
「そ、そうなんですけど、学校の課題が」
「課題?なんだそれ?」
「星2ダンジョンの、その、10階層のボスを倒さないと留年に」
それはこの子に仲間がいないのなら、
「無理だろ」
「そ、それは、……分かってるんですけど」
「取り敢えず外まで連れてけばいいか?」
「そ、、、そうですね、よろしくお願いします」
まぁ聞き分けのいい子で助かった。
さすがに俺だって行ってない10階層までは、足手まとい確定の子を守りながらは無理だからな。
とりあえず帰るだけなら目の前の敵を倒せばいいだけだから無事に出口にたどり着く。
「さぁ、出口だな」
「強いんですね、、、なら」
「俺は生産職だ。だから悪いな」
一緒にダンジョンから出ると、警備員に止められる。
「先程、探索者が、同じ探索者に斬られたと言って保護されましたが何か知っていますか?」
「は?はぁ、この子をレイプする寸前で止めたら、殺すって3人で囲んできたんで、1人は頬を、もう1人は鎧を斬ったつもりが血が出たのでポーションをかけたんだぞ?」
「ん?聞いた話とは違いますね。そこの子は?」
「はい、わ、私を襲ってきた人達から助けてもらいました」
「ふむ、とりあえずこちらで詳しく話を聞かせてください」
と言い、別室に連れて行かれると警察が待っていた。
「はぁ、今日はついてないな」
別々の場所に連れて行かれ事情聴取を受ける。何度も同じ事を聞く警察官に腹が立つが、仕事なんだろうし、気が済むまで付き合ってやる。
2時間ほど付き合っていると、別の警察官がやってきてなにやら話をして、
「別の男が認めたそうです。ご協力頂きありがとうございました」
「なら、俺は?」
「はい、後日、感謝状を贈呈されると思いますので、また連絡させて頂きます」
「はぁ、まぁいいや、それじゃあこれで」
「ご協力ありがとうございました」
部屋から出ると女の子もようやく出れたようだった。
「ご、ごめんなさい。私のせいで」
と今にも死にそうな顔で謝罪をしてくる。
「あぁ、腹減っただろ?なんか食べるか」
ここで俺がするべき行動は結局、許すしかないのだ。
2人で椅子に座って収納から出したハンバーガーを食べる。飲み物も出してやる。
「俺の名前は里見瑠夏だ。君は?」
「私は棗桃李と言います」
「協力があれば10階層を突破していいのか?」
「はい、親が探索者の人なんかはそうしています。でも、もう諦めます」
「ん?なんでだ?」
泣く程、その課題をクリアしたかったんじゃないのか?
「私のせいで里見さんにまで迷惑かけてしまいましたし、向いてなかったんだと思います」
また涙を溜めて泣くのを我慢している。
はぁ、仕方ないか、
「ちょっと待ってろ」
とスマホを取り出し電話をかける。
『おう!どうした?』
「お前こそ休みか?」
『まぁな、今週は休みにしたんだ』
「なら、借りを返してもらうぞ」
『ん?どうしたんだ?』
電話したのはマー坊だ。事情を話して明日、手伝ってもらう事になった。
通話を終了して、
「俺の知り合いの星3の探索者に頼んだから、明日は空いてるか?」
「え、は、はい!卒業課題なのでいつでも大丈夫です」
と涙を拭き、そう答える。
「なら俺も一緒にいくから、明日の朝8時にここに集合な?」
「あ、ありが、とうございます」
また泣き出したので肩を叩き、泣き止むまで隣にいた。
翌日、星2ダンジョンに向かう車内にはマー坊が助手席に乗っている。
「しかし、ルカが人助けねぇ」
「仕方ないだろ?さすがに俺だってここまで巻き込まれたら最後まで付き合うさ」
「まぁな、星2の10階層と言えば多分ゴルアークだろうな」
「だな、昨日ネットで調べたらそうみたいだな」
有名らしくサーベルタイガーのような見た目のモンスターで牙がドロップするらしい。
だが、普通の探索者学校では初心者ダンジョン攻略で問題ないらしいが、有名学校だと星2のゴルアーク攻略が普通になるそうだ。
と言うことはナツメは有名な探索者学校に行っているようだな。
「まぁ、俺がいれば問題ないがな」
「さすが、星3だな」
「もうすぐ星4だぞ?」
「へぇ、攻略間近なのか?」
星4になるのか、さすがだな。
「おう!その為の温存期間だ」
「そうか、悪いな」
「気にするな、体が鈍ってきてたとこだし、ゴルアークなら問題ない」
笑うマー坊は頼もしいな。
車を駐めて派出所の中に入ると、早速ナツメが寄ってくる。
「里見さん、今日はよろしくお願いします」
「おう、こっちの今井が協力してくれるからな」
「今井真斗だ、今日はよろしくな!」
「はい!よろしくお願いします。棗桃李と言います」
と挨拶をして、更衣室で着替えると、全身装備のマー坊。
「へぇ、全身装備なんて凄いな、動きやすいのか?」
「慣れだな。ルカもランク上げるならこれくらいしないとな」
「俺は生産職だから、これで十分だよ」
と2人で更衣室から出ると、ナツメが気合いが入った目で待っていた。
「凄い!全身装備なんですね!」
「一応な」
受付で記入してカードを見せてからダンジョンに入っていく。
「さぁ、行こうか」
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