合成師

盾乃あに

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オーバーナッツ

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 ミズノは知らない間にいなくなったので一週間見つからなかったと嘘の報告をしてるんだろうな。
 まぁ、俺には関係ないか。
 テレビも少し落ち着いたようで、カグヤの出演回数も減った。
 まぁ、ダンジョンに行く回数が増えたのだが、『オーバーナッツ』のことを話すとビックリして、
「な、なんで持ってるんですか?」
 と言われても宝箱から出てきたとしか言えないな。
「まぁ、ダンジョンの宝箱からだが?」
「そ、それは、良かったですね。『オーバーナッツ』は別名、限界突破の実。これを手に入れたと言うことはルカはもう?」
「ん?まだ限界ではないぞ?」
「ええ、木の実が出てくるのは限界突破する人間の前のはず」

 そんな言い伝えみたいなもんがあるのか。
「食べたんだろ?」
「はい、私の前にも『オーバーナッツ』は出てきたので」
 そうか、ならとりあえずレベル100までは取っておくか。

「本当にすごいですね、『オーバーナッツ』なら2兆でも安いですよ?」
「まじか!そうか、でも、そうすると……」
「いや、食べますよね?」
「でも2兆かぁ」
「食べるんです!」
「わ、分かってるって、冗談だろ?」
「本当にもう」
 それにしても『オーバーナッツ』はどんなタイミングで出て来るんだ?
「カグヤの時はどうだったんだ?」
「私の時は、星4の50階層のボスドロップでしたね」
「へぇ、ドロップでも出るのか?」
「はい、ある探索者は星5で出たらしいですからね」

 そこまでいけるのが凄いな。
 マー坊も欲しがってるし、出てくれればいいが。

「さぁ、休憩終わりです」
「おう、んじゃ行こうか」
「あ、これ持ってくださいね」
 とペットボトルとゴミを渡される。
「あいよ、と言うか全身防具とマジックバッグ、買うか?」
「え!売ってくれるんですか?買います!」
「よし、んじゃ、40階層を突破したらな」
「はい!」
 と勢いよく走って行く。
「はぁ、追いつくのしんどいんだぞ?」
 まだ慣れが甘いので瞬歩を使うと次の日にもれなく筋肉痛がやって来る。
「行くか!」
 と瞬歩で距離を縮めると、俺もモンスターを倒して行く。

 さて、星3ダンジョンの40階層は?

 扉を開けると、リッチだ。
 『鑑定』
 『リッチ』……超常的な力により死してなお生前の人格と知性、全能力を維持するアンデッド。

「おらぁぁ!」
 ったく、他のアンデットも出てくるのか!めんどくさいな。
「行きます!」
「あいよ!」
 俺の肩を使い高く飛び上がるとそのままリッチに剣を突き刺し魔力を込めるとリッチは氷になって、割れてドロップになる。
 そしてアンデットどももいなくなった。

「なんだ、アンデットが何を落とすか知りたかったのに」
「アンデットは別にここだけじゃないですよ?」
「ならいいけど」
 とドロップを拾いに行く。杖にマント、魔石だな。
 宝箱は罠があるので『鑑定』で罠を外し、開けてみる。
「へ?」
「え、ええ?」
 ビックリするのも無理はない、『オーバーナッツ』が3つも入っていたのだ。
「これはあまりにも運が良すぎるのでは?」
「さぁ?俺に言われてもな?」
 とりあえずマジックバッグに入れてこの階層を出る。

 まだ午後15時なのでこれから女性用の全身防具を買いに行くことになった。
 俺の車で『Monica』まで行くと、もう顔見知りだから女性用の全身防具を8着カグヤに買わせる。
「何故8着なんですか?」
「俺は合成師だからな」
「ん?」
「まぁ必要なんだよ、あとはバッグは好きなの選ぶといい」
「はい!」
 と言ってやはり同じように腰につけるタイプを買う。
 上手いこと『合成』しないとな。

「さぁ、打ち上げですよ!」
「今日も行くのか?」
「はい!居酒屋で!」
 居酒屋にハマったお嬢様は大変だな。
「じゃあ車は置いて行くから」
「代行というものがあるらしいのですが?」
「よく知ってんな?まぁいいか、どこがいい?」
「いつも言ってるところは何処ですか?」
「『居酒屋麦わら猫』だな」
 いくならツネ達も誘うか?
「ならそこで待ち合わせですね?」
「おう、友達連れてきてもいいか?『tortie』の店長と星4の探索者だが」
「もちろん!多い方が楽しいですからね!」

 ツネとマー坊にメールして麦わら猫に予約の電話をする。
 車でお嬢様は途中まで送って一旦解散だ。

『俺なんかが行っていいのか?』
 と似た様なメールがあったので、いいぞ!と入れておいた。
 マンションに帰って、シャワーを浴び、着替えて出るとちょうどだな。

 まだカグヤは来てないみたいで、俺は外で待つ、
「あ、あの!」
「ん?なんだ?」
「里見瑠夏さんですよね?サイン下さい」
「ん、俺サインなんてしたことないぞ?」
「そうなんですか?名前でもいいんで」
 と名前を書くと、後ろから、
「まぁ、サインですね?」
「なんだよ、来てたのか?」
 突然の『氷剣姫』にビックリして固まってる子。
「そうだ、お前もサインしろよ?どんなのなんだ?」
「いいですよ、こんな感じです」
 サラサラと描きなれているな。
「あ、あ、ありがとうございます!一生大事にしますね」
「じゃーな」
「バイバーイ」
 と見送り、居酒屋に入って行く。
「いらっしゃいませー!」
 ふぅ、この空気感がたまらないよな。
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