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壊れた玩具
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「おい!木偶の坊は邪魔なんだよ!端っこ歩けや」
と蹴られて壁にぶつかる。
俺は昔から体はデカいが、貧弱で身体も弱かった、うちは貧乏でそれも虐めの対象になっていた。
「はい……すいません」
誰も助けてくれない地獄で、小さいころから探索者になるのが夢だった。
いつか覚醒するんだ。
そうすれば、虐められることはない。
僕はそう信じていじめに耐えてきた。
みんな大体15~18までに覚醒する。
僕は焦った。
虐めの酷さがみんなが覚醒するのと同じくヒートアップしてくるからだ。
「あはは、木偶の坊はまだ覚醒しないのか?」
と剣で斬られ、泣き喚くのを見下している同級生。
「覚醒しないだろ?こんなやつ」
と蹴られ吹き飛ばされる。
「体だけデカくなりやがって」
髪を掴まれ持ち上げられると腹に響く拳に息ができず吐いてしまう。
「汚ねぇな!吐いてんじゃねーぞ!」
と放り投げられる。
こんなことが毎日続いて僕の神経は擦り減り学校を休むと、家に押しかけ外に連れ出される。
父さんは仕事で、母さんもパートだから心配はかけられない。
ドアを壊す勢いで叩かれると出ない訳にはいかなかった。
多分、親もわかっていた様だが、覚醒者じゃない僕たちに逆らうことができなかった。
毎日死にかけるそんな時にようやく僕も覚醒した。
「これは?」
覚醒したジョブは『毒薬師』と言うレアジョブだった。
『鑑定』を持った僕は必死に逃げながらダンジョンで毒草を見つける日々をおくる。
ようやくゴブリンを倒してレベルを上げていく。
1番弱いゴブリンを倒すので精一杯だった。
「か、完成だ」
クレイジードロップ、初めて作った劇薬を飲むと身体のあちこちが痛かったが、なんとか耐えられ、僕…………俺は今までの分を取り返す様にモンスターを倒し、レベルを上げ、虐めていた奴らに虐められる恐怖を教えていった。
「ひ、ひいぃ!わ、悪かった、ごめんなさい」
「……謝らなくていい、これからお前は俺のサンドバッグだから」
「い、嫌ダァ!ゴブゥッッ!」
「汚ねぇな、吐いてんじゃねーぞ?」
とクレイジードロップで強くなった身体でぶん投げ、壊していく。
快感だった。
人を壊すのは楽しく、興奮できた。
そして三年が立つ頃には俺の周りから人は消えていた。
自殺した虐めていた奴らの親から何を言われても覚醒者じゃないので怖くない。
ただの人間なんて腕を折り、地面を舐めさせれば黙って従う奴隷になる。
俺はクレイジードロップを摂取し続ける。
新しい快感を求めてダンジョンに篭り、クレイジードロップを改造していく。
俺の手足は黒く鉄の様になって、モンスターも手で千切れるほどだ。
そんな時出会ったチナが、俺の下に付きたいと言ってきた。
俺はこの腐った世界を……人間をもっと苦しめて、快感を得るためにチナの計画に乗った。
渋谷ジャック……人間を片っ端から壊して行く。
大きな快感を得られると喜びが勝り、俺は大将として動き出したが、
なんでこんな事になってんだ?
弱いと言われ。
手首を斬られ。
俺は恐怖に怯えるしかなかった。
昔の様に虐められる恐怖。
なんで?
俺は覚醒者だぞ?
頂点に立つ男だったはずだ。
クレイジードロップを舐めないと……。
俺にはまだこの薬がある。
薬が……
ーーー
俺は頭から流れる血を拭う。
エクストラポーションはあと一本しかないので、ハイポーションを飲んでとりあえず血を止めると、暴れてる奴らに向かう。
「オラァ!」
警察も増員したのか数は多いが、斬られ倒れてる人も多いな。
ようやく機動隊の前に辿り着くと、チナがいたので襟首を捕まえぶん投げる。
「悪いけどポーションだ、倒れてるやつに使ってくれ」
「あ、ありがとう、すまない!」
と機動隊員はポーションを持って後ろに回る。
「オラァ!」
と振り返って、剣を持って振り上げている男を殴り飛ばす。
チナは血を吐きながら立ち上がると、
「あ、兄さんがおる言うことは、命はんは?」
「アイツならあっちで泣いてるぞ?」
目付きが変わり、鋭くなる。
「チッ!使えまへんなぁ。ここが潮時ですわ」
と逃げるチナを捕まえようと『瞬歩』を使おうとしたその時、
「グァァアァアァァァァア」
と狂った様に全身を黒く染めた化物が、他の人間たちを吹き飛ばしながらこちらに進んでくる。
「はぁ、また飲んだのか?薬にやられてるじゃねーか」
「ぉ……オデはヨわくない」
「そうだな、そこまでいけば立派だ。堕ちるとこまで堕ちたな」
と言って足を斬りつける。
膨張した足は血を噴き上げるが、すぐに止まる。
「ぁ、、、あは、オでにはキかナイ」
「はぁ、もう止めるぞ?」
と剣を構えるが、
「……?」
「あぁ、もうお前終わってるのか」
過剰摂取だな。
「ガハァッッ!!……な、ナんで」
と口から血を吐きながら萎んでいく身体。
膝をつきフラつくとそのまま倒れる。
「チナは逃げたか……」
機動隊がようやく動きだした。
大将がいなくなり、剣を捨て逃げる覚醒者達を取り押さえていく。
「死なせるわけにはいかない、か……」
最後のエクストラポーションを飲ませる。
「ふぅ、壊れた玩具も終わりだな」
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