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紫音
しおりを挟む「おい!テメェ荷物持ちのくせに遅えんだよ!」
と4人組の1人が少し遅れて歩いてくる男に怒声を浴びせる。
「ま、待ってよ。僕はポーターじゃなくて……」
「あー、うっせぇな!お前が『tortie』みたいな属性剣が作れるようになるまでどれくらいかかんだよ?」
リーダー格の男だろう、フードを被った小柄な男に対してやはり苛立っているようで口調がきつい。
「それは、最初に約束したじゃないか。レベルが上がらないと無理だって」
と大きなリュックを地面に下ろすと、
「こんなに荷物を持った状態じゃ無理だろ?」
「あぁ?それしか出来ねぇんだから仕方ないだろ!……もう良い、おい、お前が持てよ」
とリーダー格の男は別の男に言うと、渋々リュックを担ぐ。
「くっそ重いんだが?ったく、お前が使えねぇからだぞ!」
「ウワッ!」
小柄な男を蹴り上げると、
「お前はクビだ!せいぜい頑張ってくれよ?」
「ま、待ってくれよ!」
追いかける小柄な男は何とかついて行く。
「……なんで僕がこんな事……」
と少し後ろを歩くと、そう呟く。
ーーー
「オラッ!」
星3ダンジョンの9階層でオークソルジャーを蹴散らしている。
カグヤは別の仕事、ツネもそろそろ店が出来上がるので見に行っている。
今日は1人で久しぶりに星3の1階層から順に攻略する。
オークソルジャーからは武器や防具がドロップするのでここで取れるだけ取っておく。
「ふぅ、やっぱり久しぶりに身体を動かすと鈍ってるのがわかるな」
腕を回しながら身体を動かすとコキコキと音が鳴る。
「今日は10階層で終わるかな」
と階段を見つけ降りて行くと、先客がいるようだな。
とりあえず次に入る為に少し間隔をあけて、フードを被った小柄な人の横に座る。
「あ、あの」
「ん?なんだ?」
「あの、1人でボスを討伐するんですか?」
と聞いてくるフードを被った男?
少し震えてるようだが、
「まぁ、ここら辺は別に強くないしな」
「あ。あの、よければ僕も連れて行ってもらえませんか?できる事なら何でもします!」
「は?」
よくよく聞くとパーティーメンバーから外されたらしく、10階層で足止めになったらしい。
「はぁ、他の奴らは?俺だけじゃなかっただろ?」
「それが、断られまして……僕は『鍛冶士』なんです。レベルも低いので」
そりゃ足手纏いは断られるか。
「今レベルは?」
「……23です」
「は?そんなレベルじゃここはキツいだろ?」
「わ、分かってるんです。……でも、僕は荷物持ちにされてレベルが思うように上がらなかったんで」
荷物持ちか、それでも前衛の攻撃する前に投擲するなりレベルのあげようはあるだろ。
「仕方ないか。石を投げるくらいはできるだろ?」
「い、良いんですか!ありがとうございます!」
と顔を上げてこちらを向くと中性的な顔立ちだな。
「僕は相楽紫音と言います!よろしくお願いします!」
「俺は里見瑠夏だ」
シオンはフードを取るとツーブロックの髪の内側にインナーカラーで紫を入れている、どちらかといえば女の子の様な気がする。
「女か?」
「あ、いえ、あの」
「……まぁ別にいいか、それじゃあ行くぞ?」
「は、はい!」
俺には関係ないからな。
聞くだけ野暮だろう。
扉を開け、中に入ると扉は勝手に閉まり閉じ込められる。
中央にはキラーベアーがいて、こちらを威嚇する様に吠える。
「ウワッ!く、クソ!この野郎!」
ビックリしながらも石を投げつけるのでサッサと瞬歩で追い越しざまに首を刎ねる。
「す、凄い……」
腰を抜かしている様で地面に座り込んでいるシオンに手を貸す。
「ほら、レベルは上がったか?」
「は……はい!いま30です!」
と言って俺の手に掴まり立ち上がるとズボンを叩いて砂を落とす。
「まだ星2のダンジョンでも厳しいと思うぞ?」
「で、ですよねー。……はぁ」
「鍛冶士はどんなスキルがあるんだ?」
俺は同じ様な生産職のスキルが気になり聞いてみる。
「はい、僕のスキルは『鍛造術Lv1』『見切り』しかなかったんですが、やっと『槌術』と言うスキルが手に入りました!」
鍛造術に見切りか、まだまだミスリルなんてのは先の話だな。
「そうか、なら後は頑張ってレベル上げするんだな」
「はい!」
よし、とりあえずドロップの毛皮、牙、魔石を収納すると、宝箱が出ているので開ける。
「へぇ、運に恵まれたな」
「はい?」
「ほら、お前の武器だろ?」
宝箱に入っていたのは『鋼鉄製のハンマー(素早さ+5)』と、小柄なシオンにはちょうどいい武器が入っていた。
「持てるか?」
「はい!おっと、……でも僕は何もしてないですからもらえませんよ」
「俺には必要ないぞ?いらないってんならしょうがないが」
「い、いります!ありがとうございます」
と頭を下げる。
「えへへ、僕の武器!」
と普通に振り回しているので見た目以上に力はあるみたいだ。
重さは何とかなったようだな。
「んじゃギルドに戻るか!」
「はい!」
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