合成師

盾乃あに

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生産職

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 ギルドに戻り、シオンのパーティーメンバーがダンジョンで置き去りにした事を報告をしていると、
「あの、僕なら助けて貰ったので……」
 と俺の服の裾を摘んで言うので、
「ん?シオンは腹が立たないのか?」
「一応、僕をパーティーに誘ってくれた唯一のパーティーだったので」
 と言うシオン。

「……まぁ、お前がいいなら俺はいいが」
「ありがとうございます。それに報復されると僕じゃ太刀打ち出来ないですし」
 そうか、それもそうだな。
「配慮が足らなかったようだな。分かった」
 と受付にもなかった事にしてもらう。

 生産職はまだ一握りの人間しか成功者はいないのが現状だ。
 昔から覚醒者はいるのだが、生産職で成功するのは狭き門になっている。
 通常ならその道の門下入ってそこでレベル上げを手伝ってもらい、門弟としてそこで働くのが生産職の道となっている。
 だが、それだとその師より上には行けず生産職の進歩もないだろう。

 だからこう言う野良の鍛冶士なんかは中々現れない。
 1人でダンジョンに入り死んでしまうか、諦めてしまう人間が多いと聞く。
 勿体無いことだな。

「シオンは今いくつだ?」
「僕ですか?二十歳になります」
「なら飲めるな?久しぶりに別の人間と飲みたいと思ってたとこだ。付き合え」
 たまにはこう言うのもいいだろう。
「はい!あ、でもお金が」
「奢りだ。着替えたら居酒屋に行こうか」
 大振りなハンマーはギルドの預かり所で保管してもらい、身軽になったシオンは俺と一緒に男用のロッカーに入ってくる。
 やはり男なのか?まぁ別にいいがな。

 別々に着替えて合流すると、シオンは黒のダウンを着てズボンはそのままの様だ。
 片手に大きめのバッグを持っているので多分防具が入っているのだろう。
「あはは、すいません汚れてて」
「まぁ、いいんじゃないか?別に気にしてない」
「ありがとうございます」
 外に出ると車で一旦マンションに寄ってタクシーを呼ぶ。

「はぇー、凄い所に住んでるんですね?」
「ん、住み心地は良いぞ?」
「ハハッ、僕にはまだ遠いですね」
 タクシーが来たので乗り込み居酒屋まで行く。

 前にもカグヤと来たことのある居酒屋だ。
 中に入ってテーブル席に座ると、生三つと串盛りを頼む。

「「乾杯!」」
「ングングッ!ッはぁー……美味しいですね!」
「プハァー……染みるなぁ」
「あはは、イッキですか!だから二杯頼んだんですね?」
「そう言うことだ。喉が渇いてたからな」
 まぁ、ただ飲みたいだけだが。

 他愛のない話からシオンも酒を飲んで饒舌になってきたので話を聞く側に回る。
「そうなんですよ!生産職だからって簡単に何でも作れるわけないんです!」
「まぁ、そうだな」
「『tortie』の属性武器を作るのなんてまだ出来ないんです!それなのに……」
 と属性武器を作れと言われたらしいが、鍛冶士でレベルが低ければまぁ無理な話だな。
 
「僕の夢は属性武器を作ることなんです!そしたら親も認めてくれるだろうし……」
「そうか、作れるだろ?レベル上げ頑張れよ」
「はい!頑張ります!」
 俺が作ったなんてことは言わない。
 俺のは鍛冶とは違うからな。
 シオンは頑張って俺とは違う作り方で作って欲しいしな。

 それからも話をして、飲んで食べて腹一杯になった様なのでお会計をする。
「ご馳走様です」
「おう、シオンは奢りがいがあるな」
 よく食べたな、この身体のどこに入るんだか。

「んじゃ、またな!」
「タクシー代までありがとうございます」
 と言うシオンはもうフラフラだな。
「俺が誘ったからな。気にするな!また飲もう」
「はい!ではまた」
 と言ってタクシーに乗って帰って行った。

 さて、帰ってゆっくりするかな。

 マンションに入り部屋に戻ると、ビールを開けソファーに座る。
「ふぅ……」
 それにしてもシオンは面白い子だったな。
 
 生産職が安全にレベルアップ出来れば、また未来も変わってくるだろう。
 スマホをいじって色々と見ていると、やはり鍛治を生業にしているところは少なく、給料も思ったより少ない。
 やはり上の者が管理しているので、これじゃサラリーマンと何ら変わらないな。

「古臭いなぁ」
 もっと若い子が伸びる仕組みに変えたら良いのにな。

 ビールを飲みながら愚痴るが、俺が言ってても仕方のない事だからな。
 まぁ、シオンも見かけたら声をかけてやろう。
 

「は、クシュンッ」
 知らぬ間に寝落ちしてしまった様で流石に暖房をつけていても寒くて目が覚める。
「ゔぅ、寒い……」
 ヨロヨロとベッドに入りまた夢の中に沈んで行く。

 翌日は少し風邪気味なのか喉が痛いので薬を飲んで家から出ない。

 久しぶりに合成部屋に入り椅子に腰掛け作業台に向かうと、まずはマジックバッグを予備で作っておく。

「シオンも同じ生産職だから必要だろう」
 また会った時にでも渡してやればいいしな。
 後はいつもの様に武器や防具を『合成』していく。
 ーーー
 里見瑠夏サトミルカ  33歳
 レベル126     ジョブ 合成師 
 スキル 合成LvMAX    鑑定 加工 調合 チェック 選択 作成 紫電一閃 模倣 分解 new
 ユニーク 追加効果 
ーーーーーー
 武器……ステータス(力、素速さ、防御、知力、幸運)+3、+5、+10、+15属性(火、水、風、土、雷、氷、聖、光、闇)
 防具……ステータス(力、素速さ、防御、知力、幸運)+3、+5、+10、+15、+20、耐性(火、水、風、土、雷、氷、聖、光、闇、)、俊足、瞬歩、硬化、腕力、剛力、フィット、防汚、軽量化、
 道具……収納(小、中、大、特大)、回復量UP(小、中、大、)属性(火、水、風、土、雷、氷、聖、光、闇)、結界(小、中、大)、帰還、爆破、麻痺、索敵、鑑定、
ーーー

 レベルはオーバーナッツを摂取してから増えたのであまり見ていなかったが、『分解』と言うスキルを獲得していた。
 試しに今『合成』したミスリルソードを『分解』してみるとミスリルのインゴットに戻る。付与は元のままだな。

「へぇ、付与された物が形を変えるのか、これを鍛冶したら属性武器になるな」
 そうすれば形は鍛冶士の腕にかかってくるわけだ。


 
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