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嫌がらせ
しおりを挟む「『朱』が来たんですが、どうすればいいですか?」
大男の『黒い翼』のリーダーはスマホ越しに話をしている。
『……俺たちは出ない。そちらで対処しろ』
「な、なんのための組合なんですか!」
『あいつらは組合に入らない。無視するのも、何かするのもお前ら次第だ』
電話の男は冷たくそう言う。
「それなりに大金払ってるだろ!相手はカグヤもいるんだぞ!」
『はぁ、話はそれだけか?切るぞ?』
「ま、待てよ!クソッ!」
とスマホを投げつける。
ーーー
「あんたら綺麗になるまで逃さないからね!」
「く、なんで俺らが」
ミオとヒナが見張っているので塀の落書きが消えるまで掃除する『黒い翼』のメンバー。
3時間もかかって綺麗になった塀をみてようやくオッケーが出ると、帰って行く。
「次はないからね!2度とくるな!」
帰って行く『黒い翼』のメンバーたち。
「ふぅ、これで元通りだな」
「そうね、でも『栄光』が動いてきたらどうするの?」
「ん?その時はその時だな。『栄光』だろうが簡単には終わらせない」
「そうね。ただクランを設立しただけでこられても困るわよ」
カグヤの言う通りだが、『栄光』はこれで勢力を伸ばしてるみたいだし、有名になるのも問題あるな。
とは言え、落書きくらいで収まってよかったな。
クラン同士の喧嘩なんかになるのかと思ったが、『黒い翼』が案外弱くて助かったか。
スマホが鳴る。
「もしもし?」
「あ、大丈夫だった?」
「愛内か、まぁ、落書き程度で収まったよ」
「こっちも『栄光』の方には連絡しといたからさ、手を出してくることはないと思うよ」
愛内が手を回してくれたのか。
「そうか、ありがとうな」
「あはは、いいって!これで借りはチャラな?」
「あぁ、またよろしくな」
「うぃーす!」
と電話を切る。
「誰だったの?」
「『閻魔』の愛内。動いてくれたみたいだ」
「へぇ、そうなんだ。良かった」
まぁ、これで堂々とクランで活動できるな。
それから5日後にマー坊達がやってきて、部屋を決め、早速、墨田区のダンジョンに潜りに行った。
墨田区には星3ダンジョンと星4ダンジョンがある。マー坊達は星5だが、手始めに星4ダンジョンを攻略するそうだ。
「私達は行かないの?」
「ん?まぁ、明日星3ダンジョンに行こうと思ってるが、いいか?」
「よし!ようやく『朱』の初陣ね!」
「私達も頑張りますよ!」
とミオやヒナも気合いが入ってるな。
まぁ、俺も今まで何もしてなかったわけじゃない。
ヒナとミオに防具を渡す。
「え!これいいんですか?」
「まぁ、俺たちは生産職がいるクランだからこれくらいはするさ」
全身防具を渡して、着心地を確認してもらう。
「もちろんシオンにもあるからな?」
「は、はい!僕まで、ありがとうございます」
と受け取って着替えに行くシオン。
「私は買ったんだけど?」
「だな、だがクランだから出し惜しみしてもしょうがないだろ?」
「……腑に落ちないけど、まぁいいわ」
カグヤがそう言うと、着替えてきた三人が楽しそうに会議室に入ってくる。
「この防具軽くていいですね!」
「まぁ、付与もそれなりについてるから前みたいに怪我することはないだろ?」
「もう!それはもう昔のことです!私達も強くなったんですから」
ミオが恥ずかしそうに言うと、
「でも、安全にダンジョンに潜るには装備は大事ですよ?」
シオンが言う。
その通りだし、仲間に傷を負ってほしくないからな。
「ただいまぁ」
と会議室に入ってくるマー坊やミドリ。
「どうしたんだ?」
「はぁ、どうしたも、何故か墨田区の星4ダンジョンに人が多くてな」
「ん?星4なのにか?」
「あぁ、なんでも『栄光』のクランが大勢集まってるようで」
それはおかしいな?
「また私達の邪魔をするの?」
「そのようだな」
組合に入らなかったからこんな手段にでたのか。
「どう言うことだ?」
マー坊が聞くので説明すると、
「は?なんだその子供じみた嫌がらせは?」
「だろ?でも効果はあるからめんどくさいな」
「組合に入るのは?」
とミドリが言うが、
「それは『栄光』の傘下になるってことだ。組合なんて言ってるが非公式だからな」
「ふーん、なら別のダンジョンに行くのは?」
「それしかないか。車は一台しかないから、まずは足をどうするかだが」
「まぁ、買うしかないだろ?どうせならいい車に乗りたいぜ!」
「俺が運転するよ!」
とイサミが嬉しそうに手を挙げる。
「俺も運転したいぞ?」
「駐車場は空いてるから好きにすればいいさ」
「よし!車を見に行こうぜ!」
「クラン用の車は資金で買うようにするからな?領収書は必ず貰うように」
「了解!車借りるぞ!」
と鍵を渡すと『咲雷』のメンバーは出て行く。
「それにしても近場がダメになるのはいただけないな」
「そのうち諦めるでしょ?それとも『栄光』に話をつけに行く?」
「……まぁ、これ以上、邪魔をするようなら、話をつけに行くか」
あまり気が長い方じゃないしな。
「とりあえず俺らも明日星3ダンジョンに行ってみよう」
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