合成師

盾乃あに

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『栄光』

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 マンションはミソノに任せ、工房が出来上がったと聞き隣の工房まで行く。

 工房に入ると親方が待っていた。
「おう!どうだ!ちゃんと言われた通り作ってあるぞ!」
「凄いですね……ここで作業できるんだ」
 とシオンは感動している。

 広い空間には炉やテーブル、金床などがあり、ハンマーなどが飾られている。

「これから、ゆっくり自分の使いやすいように変えていけばいい」
「はい!」
 2階に上がると俺の合成部屋もある。

 まだ何もないテーブルのみの部屋だ。

「あとは部屋が三つある。まぁ、鍛治場が一番デカいがな」
 と親方が言う。
 ここにはシャワーや簡単なキッチン、トイレまで完備されているので集中して物作りに没頭できるな。

「親方、ありがとう」
「へ、仕事はきちんとやる!まぁ、いいもの作ってくれよ?」
「それは任せろ!」
 と言って三人で工房から出ると、ミオやカグヤが待っていた。

「それじゃあ行こうか」
「「「はい」」」
 近場のダンジョンに歩いて向かう。

 車を使うまでも無いからな。

 と、星3ダンジョンに向かうと外まで人で溢れている。
「はぁ、こりゃ無理だな」
 と男達はこちらを向くと、
「カグヤだ!てことは『朱』のメンバーか!」
 と騒ぐ。

 さすがにこの人数は入れないと、帰ろうとすると声がかかる。
 振り返ると人が割れて中心から何人か歩いて出てくる。
「やぁ、カグヤ!久しぶりだね」
「はぁ、あんたねぇ?『栄光』がこんなことしていいと思ってるの?」
 と、カグヤが喋るのは金ピカの鎧に身を包んだイケメンだ。

「そんなクランにいないでこっちに入ってよ?特別待遇だよ?」
「悪いけど間に合ってるわ」
 イケメンは断られたことを気にせず話し続ける。
「『栄光』にあのカグヤが入ったって知られれば、いい宣伝になるし、格も上がる。カグヤの好きなようにさせる準備は整ってるから大丈夫だよ」
 何が大丈夫なんだ?
 中々残念なイケメンだな。

「はぁ、話を聞かないのは変わって無いようね?」
「ん?カグヤが『栄光』に入るのは決定事項だからね?枠もちゃんと空けてあるし」
「私は『朱』に入ったの。『栄光』には入らないわよ?」
 
「まぁ。誰でも最初はそう言うさ。でも、この状況を見てみなよ?他のメンバーの邪魔をしてるだけだよ?」
 と大勢の探索者を見ながら両手を広げる。

「あのね、私達は入らない!さっさとこんな子供じみたことをやめてくれない?」
「つれないな。俺と君の仲だろ?」
「テレビで一緒になったくらいでしよ?」
 とカグヤは言うが、あちらはそうじゃないようだな。

「何か勘違いしてないか?俺たちの誘いを蹴るとどうなるかわかってるだろ?」
「それは脅迫よ?」
「君が入ればいいだけだ」
「私は入る気はないから」
 と言って振り返るので俺たちも後をついて行く。

「私のせいでごめんね」
「あーあ、なんか幻滅しちゃった。『栄光』クランがあんなだなんて」
 とミオが言うとヒナやシオンも頷く。

「まぁ、俺らは別の場所で活動すればいいからな」
 ここだけがダンジョンじゃ無い。

 クランに帰るとマー坊達が集まっていて、
「何してんだ?」
「ぉお、いいところに」
 見てみるとタブレットでさっきの画像が流れている。

「なんで?」
「シオンに頼んで撮っておいてもらったの」
 カグヤはそういうと動画を公開するボタンを押す。

「これで少しは大人しくなるでしょ」
「……逆恨みされなければいいがな」
「その時はその時よ。『閻魔』にも連絡してるし、『栄光』から離れるクランも出てくるんじゃない?」

 そこまでか?まぁ、辞めるやつも出てくるだろうけど。

「まぁ、当分はこれでニュースは持ちきりよ?」
「だな!俺らどころじゃなくなるだろ!」
 とマー坊達もはしゃぐ。

「はぁ、それならそれでいいがな」
 瞬く間に動画は拡散され、『栄光』から文句の電話が鳴り、ミソノが冷たくあしらうと、
「『栄光』からまた抗議の電話です。着信拒否してもかかってくるんでどうしますか?」

「んー、まぁ、電話線抜いといてよ」
「他の方からは?」
「知り合いならスマホにかかってくるから大丈夫だ。とりあえず自衛できるようにだけはしておいてね?」
「はぁ、わかりました」
 とミソノは戻って行く。

「はぁ、とりあえず騒ぎが収まるまでは自由行動でいいか?」
「えー!ダンジョンは?」
「んー、俺も生産したいし、ここをミソノだけに任せるわけにはいかないだろ?」
 と言うと他の四人も頷き、渋々だが部屋に戻って行く。

 ここに『栄光』が乗り込んでくるとは考えられないけど、用心に越した事はないからな。

 さて、俺も新しい部屋で生産してみるかな。
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