王霞珠玉

あに

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第1章 異世界乱舞

たこ焼きと少年

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ここは、田舎のスーパー、夕方から混み始めるので、昼間は人が余りいない、
そんなスーパーの、外で俺はいつもの様にたこ焼きを焼いている。

「へい、らっしゃい!」

俺は威勢の良い声で、屋台からいつもの言葉を言う。
「ソースを10パック下さい」
学生服の今風の髪型をした男が言ってきた。
「10パックも食うのか?食うなら焼くけどちょっと待ってな」
変な客が来たと思っていると、
「どれくらいで焼けますか?」
と急いでるようで、男がこっちを向いたが顔が腫れていて食えるような状態じゃない。
「どうした?その顔、喧嘩か?オメェが食うんじゃねーだろ?」

自分で買いに来いってんだ、俺はそういうのが大っ嫌いだ!

「そんなことどうでも良いじゃないですか!急いでるんです!」

俺は鉄板の火を消して、金庫だけ車に入れ、休憩中の札を立てると、
「いくぞ!どっちだ?」
男の腕を掴んで聞く。

「いや、 あの」
たじろぐ男、俺が180だから170くらいの背か、
「どっちだって聞いてんだろ!」
俺は大声で聞く。

「あ、あっち・・・」
男は店の裏を指差した、俺は店のエプロンは外して行く、バレるとまずい。

店の裏に回ると、嫌がる女に無理やりしようとする男ども、たこ焼きを買いに来た男は、
「なにやってんだ!約束が違うだろうが」
と殴りかかるが避けられ蹴られる。

「なんだ?時間かかるようにしたのに、やる前に帰ってきやがって!  てかそのデカイのだれだ?おい、お前だボッ‼︎」
絡んできた男は俺の一発もらって静かに寝てる。

あと三人、男どもは女を無視してこっちに来る、買いに来た男は女を隠して亀になっている、それでいい!
「ガッ!」「ゴッ!」「グッ!」
と三人とものして終わり、急いで良かった、警察沙汰だぞこんなん。

「あんたのせいでやられるとこだったじゃない!」と叩かれる客の男。

「ごめん由美ちゃん、守れなくて」
と謝る男に唾を吐いて帰る女。

うわー、これはKOだな。
と思ったらこっちを向いて笑顔で、
「あはは、変な女に引っかからなくて良かったよ、お兄さんも助けてくれてありがとう」

・・・変な客だな、ボコボコの顔で笑ってるし。
「お兄さんいつまであそこで焼いてる?今度はちゃんと食べるから買いに行くよ!あ、僕の名前は霞月、よろしくね!」
カツキか。

「俺は王って名前だ、ッ笑うな馬鹿!」
イダダッ!と言いながら笑うカツキ、俺は苦笑い。
「ごめん、オウってキングの王?」
「そうだよ!悪いか?親がつけた名前だ!」
頬を掻きながら、バツが悪そうに言うと、
「いい名前だね、ピッタリだ!けど髪型古くない?」とまた笑うバカツキ。

「俺のポリシーだ!文句あっか?」
リーゼントはカッコいいだろ!
「そっかポリシーか、うん、良いかもね!」
ボコボコだが、男の顔して笑うカツキ。
「だろ!よろしくバカツキ!」
拳を出すと、拳を合わせながら
「バカツキは酷いよキング」
と笑いながら二人で店の方へ出ようとする。

まぁアイツらは放置でいいだろ、と思ったら意外と早く復活してきて、俺らに向かってくる。

「行けるかバカツキ?」
聞くまでもない顔で笑って、
「一人ならなんとか!」
「んじゃ一人任せるぞ!」
と店の裏に行き暴れる、こいつらが謝るまで続いた、俺らも何発かいいの食らって、俺のポリシーが崩れてる。

「キングは髪下ろしたらイケメンじゃん?」
もっとボコボコになったバカツキが言う。
「だからポリシーだ!バカツキ」
何回も言わせるなよ。

「ッともうこんな時間かよ、今日は上がりが少ないな、まーこんな日もあるか!」
腕の文字盤を見て、結構時間が経っていることに気づいた。
「キングごめん、僕のせいで」
頭を下げようとするバカツキを捕まえて、
「一緒に喧嘩したらダチだろ?気にすんな!」
霞月は泣くのを我慢してるのか、下を向いて震えている
「あーはははは、考え方も古いよ!キング!ダチね!よろしくね」
こいつ泣いてるのを誤魔化したな!
「んじゃ俺は片付けとかあるから戻るからな?ちゃんと帰れよ?バカツキ!」
後ろを向いている、あいつは手だけ振ってる。
本当に泣き虫のカッコつけ野郎が!

バカツキとの出会いはこんなかんじだった。
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