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しおりを挟む「千崎侑李、25歳、G大学法学部卒、父親がαで財務省の官僚で母親はΩながらミセス誌の人気専属モデル。絵に描いたような優良物件じゃん。」
「これ逃したら本当に永遠の独身貴族よ、鷹倫くん。」
その日の夜、山崎と堀田に連れられて鷹倫は珍しく居酒屋で飲んだ。
庶民的な居酒屋で、αだけの3人は店内でもかなり目立っていた。鷹倫はこの目線が嫌で滅多に夜は出歩かないのだった。
鷹倫は2人から、「番」である千崎と今後どうするか、それより早く身を固めろと説教される。うんざりしつつ聞き流し、チビチビと芋焼酎を飲んでいると、賑やかな団体が入店してきた。
「ったくよー、さっさとクビにしちまえよな、あのババア!」
「まぁまぁ落ち着いて。」
「そうそう!ヤな事はぜーんぶビールで流しましょーよ!」
鷹倫は思わず芋焼酎をダラっと零した。その姿に山崎と堀田は驚き、堀田がおしぼりで鷹倫の口を拭った。
「松中⁉︎どした?」
「何急にぼーっとしちゃってるの?」
「……嘘だろ……。」
運命だ、と鷹倫は思った。
「あ。」
鷹倫が視線を送っていたら、向こうも鷹倫に気がついたようだった。
「昨日はどーも。」
「あ……あの……。」
「何、佐竹?知り合……うわぁぁぁぁ!超イケメンじゃん!」
「何々、イケメン⁉︎うっわ!すっげーイケメンじゃん!」
「何で佐竹が知り合い⁉︎マジで隠してんじゃないわよー!」
「違ぇよ!昨日エアコン取り付け行ったとこの客だよ!」
鷹倫が軽く会釈をしただけで、連れの人たちは群がって彼を問い詰めた。
「苳也くーん、お口が悪いでちゅよー。」
「やかましいわ!…つかアンタも何でこんな安居酒屋にいんの?」
「え、あぁ、今日は同僚に誘われて呑みに来ただけです。」
「へー、意外だな。αってこういうトコじゃ呑めねぇって思ってたし。あ、昨日の詫びだ、一緒に飲もうぜ。1杯奢る。」
苳也は豪快にニンマリと笑った。
ドクン ドクン ドクン
山崎と堀田は鷹倫から放出されるフェロモンを感じ取って飲んでいたものを吹き出しそうになった。
「ちょ、ちょっと、鷹倫くん?」
「まさか…あのちょっと小柄な人のこと好きなの⁉︎」
「……好き、なのかもしれない……。」
「いやいや!あの人βじゃん!」
「でも、今日、千崎にあった時より嬉しいんだ!」
「ちょっと……マジで?」
鷹倫は呆然とする2人を置いて、手招きしてくる苳也の方に駆け寄って行った。その背中を見ながら2人は困惑した。
「ちょっと……そんなん、無理だってば。」
「聞いたことないわよぉ…αがβに惹かれるなんて……女の子ならまだしも男の子だし……。」
「松中ぁ……それは無しだって。報われないんだぞ、βの男なんて……。」
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