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しおりを挟む翌日も鷹倫の頭の中は、苳也のことでいっぱいだった。客相手なのに乱暴な言葉を吐くが、飾らない、素直な言葉を並べてくれる。
今までこんなに等身大で接してくれた人間は居ただろうか、と鷹倫は回顧する。
「いなかったな……。」
そしてこれは間違いなく「恋」という感情。自分の心臓、記憶、全てがそう答えている。
「また、会いたい……。」
「なになに?松中さん、そんな憂いを帯びた顔をしちゃってー。」
「あ?」
いつも鷹倫を揶揄う同僚の堀田がニヤニヤしながら話しかけてきた。鷹倫はぼーっとしたまま彼の方に顔を向ける。
「何か用か?」
「いやいや、何か元気なさそーだったし。あ、そうだお前秘書課行ったか?」
「いや…秘書はいるから。」
「じゃなくて!今日中途採用で入ってきた子がΩなんだと。もしかしたら番の可能性あるぞー。」
「いいですよ別に。」
「お前は運命の番とじゃなきゃ結婚しないんだろ。だったら自分から行けよ、な。」
背中を強く叩かれて鷹倫は秘書課のあるフロアへ向かう。
コンコン
ドアを形式的にノックして入ると、山崎という女性αの秘書が鷹倫に気がついた。
「あ、鷹倫くん。」
「山崎女史、どうも。今日から来た新人さんがΩだから見て来いって言われたんだけど。」
「相変わらず事務的ね。早く番を見つけて少しは人間的になりなさいって。」
「そんなに言わなくてもいいじゃないですか。」
「ま、いいわ。千崎くーん。」
鷹倫はショックを受けた。何故だろうか。
「山崎さん、お呼びですか?」
やっと巡り合えた「運命の番」なのに。
「あーあ、フェロモン全開。」
「………あ、あの……こちらの方は?」
「マーケティング取締役の松中鷹倫くんよ。ちょっと鷹倫くん?」
(全然、気持ちがついていかない。)
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