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”記憶に残る一日篇”
【九死に一生】
しおりを挟む「そこまでよ!!」
二人は同時に声の主を見た。
買い物袋を放り投げ、スマホを持っている東山ママが、般若のような形相で立っていた。
「警察を呼んだわ!! さっさと消えなさい!!」
「あら・・・・・・わざわざご苦労なことね・・・・・・大臣夫人・・・・・・」
「その子から離れて!! わ、私が相手よ!!」
「フフフ・・・・・・今日のところは挨拶だけにするわね。またね♪ セ・ツ・ナちゃん♪」
女は警察が迫っているとは思えないほどの歩みで、離れていった。
すぐに、東山ママがセツナへ駆け寄ると、手を掴みそのまま家の中へ飛び込んだ。
カギとチェーンを閉めると、セツナの顔や体を見渡した。
「大丈夫!? 怪我はない!?」
「・・・・・・(コクリ)」
「良かったぁ・・・・・・」
緊張の糸が切れたのか。
ママはその場にへたり込んだ。
「母さん!! どうしたの!?」
音を聞きつけて、新樹が階段を駆け下りてきた。
一瞬だけセツナと目が合い静止したが、母親の元へ駆け寄った。
「何があったの!?」
「あの女が・・・・・・セツナちゃんに・・・・・・」
「セツナ!! 何もなかった!?」
また頷く。
「ひとまず、警察が来るまで二人は上に居なさい。いいわね?」
子を護る母親は強い。
格闘技経験なんて一切ないのに、玄関に仁王立ちして守護した。
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・夜
「大臣の奥様に何もなくて良かったです」
警察官が敬礼をしている。
緊急の知らせを聞いて、東山財務大臣も帰ってきていた。
「ママも、新樹ちゃんもセツナ君も・・・・・・無事で良かった」
気丈に振る舞っていたママの肩を強く強く、パパは抱きしめていた。
「これから一週間はこの周辺のパトロールを強化します。虫一匹、通しません」
「うむ。よろしく頼む」
頼もしいパパの顔になった。
「ヤツの行動パターンは予想がつきません。一応、家中の鍵を閉めて、眠るときは枕元に携帯を置いて休んで下さい」
「分かった」
「では・・・・・・それともうひとつ・・・・・・」
警官は言い辛そうに、しかし、真実を口にした。
「もしもヤツが現れたら、全ての要求に従って下さい。決して抵抗しないように・・・・・・それが、唯一の生き残る術です」
「・・・・・・ああ」
「ゆっくり休んで下さい。失礼します!」
ビシッと敬礼をして、警察官は玄関から離れた。
そして、仲間たちの元へ戻るーーーー
凄まじかった。
住宅街の道を完全封鎖している大勢の機動隊に、大量のパトカー。
拳銃を抜いている警官とて、少なくない。
「十キロ圏内を封鎖しろ!! 全ての監視カメラをチェック!! 三人ひと組で行動するように忘れるな!!」
「「「はっ!」」」
鬼刑事の山崎があらん限り声を張って、命令を出している。
「ヤツを発見したらすぐさま連絡!! ヤツに気がつかれたら、構わん!! 発砲を許可する!!」
その様子を、二階の窓から新樹とセツナが見ていた。
「何人いるんだ?」
「・・・・・・」
「凄い騒ぎになってる・・・・・・あの女が本当に戻ってきたのか?」
この大騒動が、大臣宅に不審者が現れたという特別待遇ではないことが、セツナにも分かった。
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