DANCING・JAEGER

KAI

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第2章

【健気な気遣い】

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 ただ、変わったこと・・・・・・それは面会。


 面会時間だけは自由な時間であるはずなのに、龍敏は一切の面会を断った。


 ほとんどはクインとの面会だったが、彼は刑務官に「具合が悪い」だの言って断固として会わない。


 二年が経ち・・・・・・四年が経った。


 龍敏は三〇才となり、囚人全員を作業をボイコットさせて派手な誕生日パーティーを催した。


 作業場の机にあぐらをかき、どこから入手したのか酒とタバコを楽しんで半狂乱。


 当然看守が慌てて止めに入ったが、龍敏はもはや背水の陣さえ放り投げた世捨て人のごとく酒に酔って暴れるのであった。


 彼が懲役作業から外されたのは言うまでもない。


 独居房でひたすらに本を読んでいた。


 健気なクインは会わないと言われてもせめて差し入れを、と、時間を潰せる本や雑誌を持ってきてくれた。


 小説など触ったことすらなかった龍敏が、雪の舞い散る冬に手を吐息で温めながら必死にページをめくっていた。


 読んでいる作品は『仁義なき戦い』の原作。


 実在した極道の獄中記を元にして書かれたこの小説にどっぷりハマった龍敏は一時期「~じぇけぇ」「~じゃのぉ」などと知ったばかりの広島弁を使うのであった。


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