聖女の結婚~逆ハー強制ルート?~聖女は性女、伴侶達は腹黒最強S夫でした!?

しろくまさん

文字の大きさ
45 / 59
二章「結婚の儀」

三十九話「結婚準備」後編

しおりを挟む
「昨夜、戻ってきたヒビスクスに、掃除は止めたと伝えました。彼は慌てて王配に連絡して、一晩で三十人程は捕えたようです」タッカが楽しそうに言う。

「僕も今朝、宰相に手紙を送ったよ。結婚の儀で動けなくなるから、各国の情報を伝えるって。確定情報を全て渡して、暫く公務は休むと言ってやった」タリーは書類のないテーブルを撫でて笑った。

「わたしは神殿間の情報網で、問題を丸投げされた場合は投げ返すと明言しました。イーストフィールドからは謝罪が届き、ノースフィールドからは近日相談したいとの打診がありました」イオナンタがニヤリとする。

「ぼくは父親に、あまり酷い取り引きをすると加護を失うと噂を流してもらった。王族が加護を失った後だから効果は抜群みたい。セントラルとの取り引きはかなり減ると思う」パクレットは悪戯が成功した子どものようだ。

「俺も昨夜、セントラルへ情報を流されていると上司に伝えておいた。今朝、早速その証拠を掴んだようだ。巫女姫の絆について焦って伝えていたらしい」コレウスが黒い笑顔で伸びをした。

「オレは暫く、パクレットと寝る」憮然としたパースランの宣言に、コレウスだけでなくパクレットとイオも慌てて宥めにかかった。
 タリー、タッカと一緒に、その様子に大笑いする。

 元気が出たみんなが嬉しくて、笑顔で朝食の用意をしていると、義母と巫女姫が護衛に付き添われて到着した。父と弟は徹夜で働いているそうだ。ヒビスクスも戻ってないものね。

「ここは楽しそうね。王宮はバタバタしてるわ」義母の笑顔に、みんなが頭を掻く。
「暫く忙しかったので少し休憩します。結婚の儀が始まると、また大変だから」タリーの言葉に義母が頷いた。

「貴方達も疲れていたものね。無理しちゃダメよ、大切なお婿さん達」側にいた義母に頭を撫でられて、タッカが照れくさそうに微笑む。私達も懐いて貰うのに時間がかかったのに。お義母さん、流石だわ。

「ミルテ様は大丈夫?」少し瞼が腫れてるわ。
「はい。久しぶりに枕元に両親の絵を置いたら、良い夢が見られたんです。懐かしくて泣いてしまいました」嬉しそうね、温泉へ行ったという話かしら。

 朝食を取りながら巫女姫の話を聞く。素敵な話なんだけど、つい温泉に注目してしまう。この国では聞いたことがないわ。
 前世では温泉好きで、近所のスーパー銭湯なども、時々利用していた。

「いいなぁ、温泉」と呟くと、後ろから抱きしめられた。
「では、おれとの新婚旅行だな。楽しみにしておいてくれ」ヒビスクスだわ。

「お疲れ様、旅行って?」口付けを交わしながら尋ねると
「聖域が広がって、温泉もできていた。加護が増したお陰かな、結婚の儀で行こう」欠伸をしながら答えて、伴侶の間に入って行った。

「精霊の加護って不思議ですね」巫女姫が首を傾げる。
「これまで、聖女と守護者が貞節を守って精霊に尽くす事で、国と民が栄えるのだと教わってきました」周囲のみんなが苦笑している。

「それが、精霊やその御子や、自身の子どもを生み育てるにも、伴侶だけでなく命の守護者を始め、複数の守護者の協力が必要だなんて。この隔たりは何でしょう」ため息を吐く巫女姫に、掛ける言葉が見つからない。

「ミルテ様」義母がその手をそっと握る。
「明日の事は誰にも分かりませんよ。わたしの婚約者は突然、他国で結婚して妻を連れ帰り、婚約破棄を申し入れてきたのです」巫女姫が固まった。

「でも、その日の内に婚約者の妻が謝りに来てくれました。ラディアータ様は美しく凛々しくて、わたしまで彼女に恋をしかけたくらいです」義母は笑った。

「相談した結果、婚約は破棄ではなく延期になりました。その数ヶ月後に彼女が『自分の余命は短く夫を幸せにできないから、彼と結婚して欲しい』と頼みに来て、二人で抱き合って泣いたんです」そうだったのね。

「わたしは辛い時を過ごしましたが、お陰で大切な家族を得ました。そして子どもは素敵な配偶者達を得て、また大切な家族が増えます」義母の笑顔に、巫女姫も目を潤ませて微笑んだ。

「その時々に、大切な人とよく話し合って、一番良いと思う事を選ぶしかありませんよ。話すことができなくても、よく考えれば、その人の気持ちが分かる筈です」義母はやっぱり凄い。

 お父様はお義母さんと別れたくなかった。でも実母はその生国の教えと、他国の常識や父の気持ちとの板挟みになっていたんだろう。

 義母が父母を非難せずに待ってくれたことで、良い方向に進んだんだと思った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...