聖女の結婚~逆ハー強制ルート?~聖女は性女、伴侶達は腹黒最強S夫でした!?

しろくまさん

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二章「結婚の儀」

四十六話「結婚の儀・黒衆の逃亡」✳

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「今日は風が強いね」黒髪黒目の少年が、ポツリと呟く。
「何か起こりそう?」不安を押し隠す様子で、白黒メッシュの髪、緑の目の少女が尋ねる。

 十才に満たないだろう子らが遊んでいるのをちらりと見る。彼らの面倒をみているんだろう。

「今朝、街の警備員達が見慣れない男と話してた。一瞬こちらを見た目が気に入らない」濃紫の髪に黄色い目の少年が頷いた。片腕が無いようだ。 

「いつでも逃げられるよう、用意するわ」三人で頷き合って、少女が速足で今にも壊れそうな建物に入る。

「どうかした?」近寄るのは黒紫の髪と深緑の目、凄く綺麗な子だ。十五才くらいだろうか。目配せしながら小声で話す。

 手の震えを抑えながら、手早く避難準備をしている。表からは見えないように、裏口近くにリュックのような物を並べていった。

「来て」小さな鋭い呼びかけに振り向く。黒髪の少年が見ているのは空き地の、地面?
「タッカだ」え? 視線の先には砂で描かれた、確かにタッカに見える絵があった。

 パクレットと繋がったまま促されて、離宮を訪れた黒衆を思い浮かべると、その姿が側の地面に次々に型どられる。

「姉さんがいる」小さい子が喜んだ。
「笑ってるよ、珍しい」三、四才の子達の笑顔に驚きの声が上がる。

「おいで、姉さん達が呼んでるって」宙を見つめた黒髪の少年が囁く。
「ここは危ない。すぐに出発しろと言ってる」  
 三人で顔を見合わせている。パクレットの言葉が伝わったのね。

「出発するなら今だ。明日の朝日が上るまでに二つ目の山に入らなきゃ。あそこなら隠れて休める」片腕の少年が空を見る。
「行きましょう」少女が決断した。

 途端に風が渦巻いて地面が均された。証拠隠滅ね。小さな子達が残念がっている。

 二十人足らずの少年少女が、荷物を受け取っては、裏口から静かに裏山へと出て行く。大きな少年は小さな子を背負ったり、手を引いている。先導するのは黒髪黒目の少年だ。

 見張られていると想定しているのだろう。年長の子達が小さな蝋燭を立てた皿を水を張った鍋に浮かべて、何ヵ所かに置いている。窓にはカーテンを引き、不在を誤魔化すようだ。

 山へ繋がる道は細い。タッカの闇の加護を感じるから、結界を張ってあるんだろう。小柄な子達だから通れるけど、ヒビスクスなら詰まりそうだ。

 住処が空になり、前の道に黒犬、裏の路地に黒猫の姿が見える。監視役の使い魔を残したのね。


「良かった」震える腕をパクレットに回して、しがみつくように裸の胸に抱きついた。
「黒衆も迎えに走ってるし、辺境伯に伝言も飛ばした。間に合うだろう」あの黒い小鳥ね。

 緊張が解けて、二人でただ抱き合う。
「大事な一日なのにごめんね。風の精霊はまた待たせちゃったわ」まだ精霊の種も生めてないし。

「ウェストフィールドの聖女が風属性だから、風の精霊の総数は多いんだよ、まだ大丈夫」パクレットが笑ってくれる。

「でも、この場所に居なかったら気づかなかった。ゾッとするよ。昨日は精霊が落ち着かないから、パースランと儀式の順番を変わってもらったんだ」パクレットが身震いする。


「あの子達が捕まったら……」何をされるのかしら。暗殺者としてはまだ実戦に出てないか、十分に鍛えられてはいないだろうし。

「サウスフィールドだけだよ、実際に奴隷がいないのは」パクレットの沈鬱な言葉に愕然とする。奴隷制度が廃止されたのは、ずっと昔の筈だけど。

「そう呼ばれてないだけ。無給で働かせたり玩具にしても文句を言われない、黒衆の子どもは狙い目だよ。『影』は自分達の後継者を育てることで、他の連中からは保護していたんだ」

 何てこと。怒りが沸き上がった。黒衆の子どもの笑顔を思い出す。そうだ、あの子は滅多に笑わないのね、あんなに可愛いのに。
「怒らないで。その力は溜めておいて」パクレットが私を抱きしめる。

「ほら、夜が来るよ。世界はこんなに美しいんだ」西の果てに日が沈む。茜色に染まる雲が流れ、遠く光を映す海面が煌めいているのが見えた。

「聖女の守護者になって高い加護を貰えて、こんな所まで来れた」パクレットが静かに笑う。
「ぼくは色んな所へ行って、色んな事が知りたかった。商売に関係なく」

 頬を両手で包まれ、そっと口付けられる。風が体を辿るのに、裸のままだったと急に意識した。

「勿論、聖女の体ももっと知りたいよ」パクレットの声と風の刺激で、花の香りが匂い立つ。
「聖女の香りは風の精霊にはご馳走なんだ」パクレットの指が姫豆を弄る。

「ぁ、あ」耳を口に含まれ、舌で犯される。胸を掴まれて乳首を捻られる。秘裂が易々と指を咥えて奥へと誘う。腰が揺れて、もっと強い快楽を要請ねだった。

「ぼくも、淫乱な聖女が大好物だ」喘ぐ私にパクレットが囁き、ゆっくりと貫かれる。
「愛してるよ、ヴェロニカ」優しい風に包まれていた。
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