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二章「結婚の儀」
四十五話「結婚の儀・風の社」
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「パースランから『無理させちゃった、ごめん』って伝言だよ」パクレットが笑う。
「コレウスに治癒を頼んでくれたのね」水の気配が残ってるわ。
「うん、パースランの真っ赤な顔が可愛かった」私も想像して笑った。これを口実にコレウスがパースランに意地悪をして、結局また怒られるんだろう。
サウスフィールドでは、伴侶とならなかった守護者同士でパートナーとなることが多い。コレウスはパースランと、イオナンタはパクレットと相性が良いようだ。
パースランはコレウスに愛されてると分かってはいるけど、まだ受け入れられないみたい。パクレットは早々にイオを受け入れて、心の絆を強めている様子だ。
「どうしたの?」暫くパクレットを見つめていた。
「ううん、パクレットはイオと仲が良いな、と思って」私の言葉に
「パースランと違って、ね」パクレットが苦笑する。
「先日コレウスのお姉さんに恋をした兄がいたでしょ?」うん、一目惚れしてたわ。
「あの兄とイオの雰囲気、少し似てない?」そう言えば、そうかも。
「兄と色彩が似ていて安心できるし、二人とも誠実で優しくて、ちょっと意地悪なんだ」……否定できない。
パクレットは三人の兄と二人の姉がいる。先日来てくれのは、三番目のお兄さんね。
「ぼくは殆ど、あの兄と二番目の姉に育てて貰ったんだ。姉はイーストフィールドにお嫁に行ったし、兄はコレウスの実家に行っちゃいそう」パクレットが寂しそうな顔をする。
「そんな顔をしてみせて、イオに優しくして貰ったのね」私はクスクス笑う。
「うん、たまには意地悪なしも良かったよ?」もう。頬が熱くなるわ。
「結婚式が終わったら、私の家族も新領地に移るわ。寂しくなるわね」優しいパクレット。笑顔で人を近付けない癖があって、でも親密になると凄く大切にする。
「うん」そっと引き寄せて口付けられた。
「でもみんながいて、加護のお陰で存在も感じられる。空は繋がってるしね」
そう、今いるのは空。ゆっくりと飛ぶ絨毯の上だ。起きた時は驚いたけど、地の底に居たんだから次はそうなるか、と変に納得した。
「もうすぐ着くよ」私が恐々下を覗いてたら、可笑しそうな声がかかる。
「ほら、あそこ」雲の上にキラキラと光る場所がある。近付くと……水色や薄紫、透明度の高い水晶の塊? 前世ならアジアの寺社仏閣を思い起こす様な建物だ。
「風の社だよ。こんなに精霊が集まってるのは初めて見る。歓迎してくれてるんだね」あぁ、風が渦巻いているわ。
「行こう」肩を抱き寄せられ、手も繋いで貰って、雲の上に足を踏み出す。ふわふわしてるのかと思ったら見た目だけで、しっかりと固い感触がする。
「落ちないよ、大丈夫」こめかみに口付けて貰い、ゆっくり歩を進めた。
水晶の寝椅子が据えられた部屋。太陽の光が射し込んで、壁も床も輝いている。
「夜も素敵だよ。ゆっくり過ごそうね」優しい声と同時に、唇が降りてきた。
「ん……」口付けていると、周囲を優しい風が吹き始めた。
体中を小さな刷毛で撫でられているように、優しく刺激される。鎖骨や肩甲骨、腰骨の窪みや指の間まで。そんな所が気持ちいいんだと知らなかった。
「……ぁあ」力が抜ける。ふわっと体が浮き、座面と接していた所も隈無く風に触れられて、何処も圧迫されず重みも感じず、快感だけに身を任せる。
パクレットの名前の由来はデイジー、髪色から青い花ね。花言葉は『幸福』。気を静めてリラックスさせ、落ち着かせて運気を呼び寄せるといわれていた。私もイライラしている時に、玄関に飾った事がある。
「ちょっと下を見てくれる?」背中側からパクレットに抱かれ、ゆっくりとうつ伏せにされる。促されて何とか意識を下に向けると、大きな街が見えた。
「セントラルの王都だよ。南の城壁の外にくっついた、暗い場所が見える?」うん、影が伸びる様な所じゃないのに、何故かしら?
「黒衆の住みかだよ。明日にでも襲撃されるようだ。今は子ども達しかいない。タッカは儀式で動けないし、ぼくが警告したいんだ。助けてくれる?」パクレットが焦らないよう、自分を抑えているのが感じられる。
「勿論。どうすればいい?」助けなくてはならない黒衆の子ども達がいると思うと、暗い場所がより遠く小さく頼りなく見えた。
「警告を乗せて風の精霊を送るから、タッカとその兄弟姉妹のイメージを加えてほしいんだ」よく分からない。肩越しにパクレットを見上げる。
「ぼくに抱かれながら、ちょっと彼らの顔を思い出して。ちょっとだけね?」
「コレウスに治癒を頼んでくれたのね」水の気配が残ってるわ。
「うん、パースランの真っ赤な顔が可愛かった」私も想像して笑った。これを口実にコレウスがパースランに意地悪をして、結局また怒られるんだろう。
サウスフィールドでは、伴侶とならなかった守護者同士でパートナーとなることが多い。コレウスはパースランと、イオナンタはパクレットと相性が良いようだ。
パースランはコレウスに愛されてると分かってはいるけど、まだ受け入れられないみたい。パクレットは早々にイオを受け入れて、心の絆を強めている様子だ。
「どうしたの?」暫くパクレットを見つめていた。
「ううん、パクレットはイオと仲が良いな、と思って」私の言葉に
「パースランと違って、ね」パクレットが苦笑する。
「先日コレウスのお姉さんに恋をした兄がいたでしょ?」うん、一目惚れしてたわ。
「あの兄とイオの雰囲気、少し似てない?」そう言えば、そうかも。
「兄と色彩が似ていて安心できるし、二人とも誠実で優しくて、ちょっと意地悪なんだ」……否定できない。
パクレットは三人の兄と二人の姉がいる。先日来てくれのは、三番目のお兄さんね。
「ぼくは殆ど、あの兄と二番目の姉に育てて貰ったんだ。姉はイーストフィールドにお嫁に行ったし、兄はコレウスの実家に行っちゃいそう」パクレットが寂しそうな顔をする。
「そんな顔をしてみせて、イオに優しくして貰ったのね」私はクスクス笑う。
「うん、たまには意地悪なしも良かったよ?」もう。頬が熱くなるわ。
「結婚式が終わったら、私の家族も新領地に移るわ。寂しくなるわね」優しいパクレット。笑顔で人を近付けない癖があって、でも親密になると凄く大切にする。
「うん」そっと引き寄せて口付けられた。
「でもみんながいて、加護のお陰で存在も感じられる。空は繋がってるしね」
そう、今いるのは空。ゆっくりと飛ぶ絨毯の上だ。起きた時は驚いたけど、地の底に居たんだから次はそうなるか、と変に納得した。
「もうすぐ着くよ」私が恐々下を覗いてたら、可笑しそうな声がかかる。
「ほら、あそこ」雲の上にキラキラと光る場所がある。近付くと……水色や薄紫、透明度の高い水晶の塊? 前世ならアジアの寺社仏閣を思い起こす様な建物だ。
「風の社だよ。こんなに精霊が集まってるのは初めて見る。歓迎してくれてるんだね」あぁ、風が渦巻いているわ。
「行こう」肩を抱き寄せられ、手も繋いで貰って、雲の上に足を踏み出す。ふわふわしてるのかと思ったら見た目だけで、しっかりと固い感触がする。
「落ちないよ、大丈夫」こめかみに口付けて貰い、ゆっくり歩を進めた。
水晶の寝椅子が据えられた部屋。太陽の光が射し込んで、壁も床も輝いている。
「夜も素敵だよ。ゆっくり過ごそうね」優しい声と同時に、唇が降りてきた。
「ん……」口付けていると、周囲を優しい風が吹き始めた。
体中を小さな刷毛で撫でられているように、優しく刺激される。鎖骨や肩甲骨、腰骨の窪みや指の間まで。そんな所が気持ちいいんだと知らなかった。
「……ぁあ」力が抜ける。ふわっと体が浮き、座面と接していた所も隈無く風に触れられて、何処も圧迫されず重みも感じず、快感だけに身を任せる。
パクレットの名前の由来はデイジー、髪色から青い花ね。花言葉は『幸福』。気を静めてリラックスさせ、落ち着かせて運気を呼び寄せるといわれていた。私もイライラしている時に、玄関に飾った事がある。
「ちょっと下を見てくれる?」背中側からパクレットに抱かれ、ゆっくりとうつ伏せにされる。促されて何とか意識を下に向けると、大きな街が見えた。
「セントラルの王都だよ。南の城壁の外にくっついた、暗い場所が見える?」うん、影が伸びる様な所じゃないのに、何故かしら?
「黒衆の住みかだよ。明日にでも襲撃されるようだ。今は子ども達しかいない。タッカは儀式で動けないし、ぼくが警告したいんだ。助けてくれる?」パクレットが焦らないよう、自分を抑えているのが感じられる。
「勿論。どうすればいい?」助けなくてはならない黒衆の子ども達がいると思うと、暗い場所がより遠く小さく頼りなく見えた。
「警告を乗せて風の精霊を送るから、タッカとその兄弟姉妹のイメージを加えてほしいんだ」よく分からない。肩越しにパクレットを見上げる。
「ぼくに抱かれながら、ちょっと彼らの顔を思い出して。ちょっとだけね?」
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