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告げるもの・・・
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「あなたは・・・八か月後の五月三日ガンで亡くなられます。料金はこちらになります。」
「あぁ、ありがとう。すまないね、こんな占いをさせてしまって。」
まだ働き盛りだろうと見える男性は、顔を真っ青に変えうな垂れている。
「いえ、もうかれこれ十年やっていますので慣れております。」
「そうか、君も大変なんだな。すまないね、ありがとう。」
男は、薄暗くなった夜道をトボトボと歩いて行く。
「今日もこれで終了か。もう、やめ」
「終わったのか、よし飯を食べに行くぞ。」
男の声が占っていた娘のつぶやいた言葉をかき消す。
「うん、分かったよ父さん。何を食べに行くの。」
「おまえの好きなところでいいぞ、どこがいい、郁。」
郁と呼ばれる少女は、少し頭を悩ませ口を開く。
「じゃあ、久しぶりにお寿司がいいな。」
「おお、いいぞ連れてってやる。早く着替えてこい。」
郁の父は、豪快に口を開けにこやかに笑っている。
すぐさま、自室に駆け込み巫女服から私服に着替える。
郁が玄関に向かうと父が車を出し待っていた。
「ごめん、時間かかっちゃった。」
「まぁもう十六歳なんだから、おめかしにも時間がかかるんだろ。そのくらい気にするな!」
「あ、ありがとう。でもさ、やっぱり今日はお寿司やめない。」
郁は煙草を吸うか悩んでいる父に問う。
父は、一旦煙草をしまうと車のミラー越しに娘を見つめる。
手をもじもじさせ彼女は、続きを言おうとしない。
車内に、沈黙が流れる。
「何があったんだ、言ってみなさい。」
「今、占ってきたのそしたら高校で好きな男の子がくることが分かったの、だから。恥ずかしくて。」
「なんだ、そんなこと本当は行きたいんだろ。少しでも気にかけてもらえるように頑張れ。じゃあ寿司屋にいくぞ。」
運転席に座っている男は、顔をニヤつかせ目的地へとハンドルをはしらせる。
後ろの席に座っている少女は、うつむいてじっとしている。
目的地に着くと目的の少年が立っていた。
「やぁ、速水さん。こんばんは、それにしても最近よく会うね。」
「そ、そうだね。この前もデパートであったね。偶然って重なるものだって言うしね。」
必死に身振り手振りで言い訳をする郁を見て、後ろに立っていた父が笑い声をこぼす。
それにつられ、また少年もニコリと微笑む。
一方では、顔を真っ赤に染め上げている少女もいる。
数分間話こんだ二人は手短に挨拶を交わす。
「じゃあまた明日、学校で。」
「うん、また明日。」
二人の、微笑ましい会話を聞いていた父は、うれしく思っていたが表には出さなかった。
食事を終えにこやかに微笑みながら話す二人に、忍び寄る二つの影が後ろに立つ。
「お父さんごめん、ちょっとお手洗いに行ってくる。車で待ってて。」
「あぁ、分かったよ。早くしろよ。」
「は~い。」
父が車に戻ろうと歩いていると、
「ねぇ、速水さん。」
「はい、なんでしょうか。」
呼び止められそろりと振り向くと二人の女性が立っていた。
二人の女性に対面している男は、声が出なかった。
「駐車場に来てもらえる。」
「はい、分かりました。新田さん、鈴屋さん」
背中に小さな小型ナイフを当てられていては断ることは出来なかった。
新田と鈴屋に前と後ろを挟まれ駐車場の車も止められていない隅に連れてこられた。
「なんですか、昔の件はもう決着がついたじゃないですか。」
「その件ならもういいわ。私達は納得いかないけどね。」
新田や鈴屋は、郁の占いに勝手に被害者だと言い出し組合を作ったリーダー達だ。
「今日、あなたの娘さんの占いに行った西垣さんがいたの。娘さんの占いでガンで亡くなることが判明したわ。誰でも突然の死には耐えれないものなのよ、だから会うたびに言っているでしょう、もっとオブラートに包んでって。」
「僕は、言っています。昔は頑張ってオブラートに言っていました。けれど郁は、おかしくなってしまった。まだ、小学生だった郁には、耐えれなかった。」
「でも、もう高校生でしょ。なら、もう精神的には大人になってるでしょう。だから大丈夫よ。」
新田は、懇願するように訴えてくる。
なぜか、鈴屋は小型ナイフを見てニヤついている。
「僕は、また悩んで苦しんでいる郁を見たくないんだ。」
悲しそうに二人の顔を見る父を郁が見つける。
「なんで、その二人と・・・」
この駐車場の隅は、壁によって見えづらくなっている。
そしてそこに、バイクが突っ込んできた。
『ブォォォォォォォン』
『キュィィィィィィィィィン』
「きゃぁぁぁぁぁ」
新田や鈴屋は声をあげる。
声にならない声をあげている郁の後ろから来たバイクは悲鳴をあげて倒れる。
新田と鈴屋を押し倒しかばった父は体を真っ赤なもので染まっていた。
さらに、鈴屋を押し倒したことにより手から滑り落ちたナイフが胸を刺している。
「お父さん、お父さん、起きてよ、起きてよ、ねぇ、お願い、お願いったら。」
「どうせ、占いで分かってたんでしょ。しらない振りして食べたいものを食べてあなたがお父さんを殺し
たのよ。私達知らないからね。」
そくさくと逃げようとした二人を郁は、捕まえる。
「私のせいじゃない、あなた達のせい。お父さんを助けてよ。早く助けてよ。」
「あなた自慢の占いで何とかしなさいよ。」
「占いで占って出たことは変わらないし、結果も操作できないの。占って死の結果が出たら嫌なの。だから、だから、助けて。」
二人にすがろうとするが、二人は必死に逃げて行った。
バイクに乗っていた男が突然立ち上がる。
盛大に吹っ飛んだはずの男性はなぜか無傷だ。
「す、すまない。今すぐ救急車を呼ぶ。」
数分後、救急車に乗りこみ病院にバイクの男と父と乗り込む。
病院で数分間会話もなくバイクの男と父を待つ。
(私は、知っていた。父に危険が及ぶことを、けどこんなにも大きなことだとは思わなかったんだ。やっぱり、新田さんと鈴屋さんの言うとおりだ、梶谷かじや君と会うためだけに父を見捨てた。やっぱりお母さんの言うとおりだったんだ。私は、呪われた子なんだ。)
「か、郁、安心しろ、父さんは大丈夫だ。数日病院にお世話になるくらいだから。楽しく学校に行っていつもの日常生活を送ってくれ。」
「うん、分かったよ。いつも通りにするよ。父さんには心配かけさせない。」
突然膝を地面につけ倒れこんだ父を見て郁は駆け寄る。
「もう心配しないで体を治すためにしっかり寝てて。」
「そうさせてもらうよ。すまないな、郁。」
必死に足動かし病室に戻るこじんまりとしてしまった背中を悲しげな表情で見守ってから病院を後にした。
「おはよう。」
階段を駆け下りリビングに顔出すが返事が返ってこない。
「あ、そうだった。昨日お父さんは・・・」
俯きながら朝食の準備を始める。
『ガチャ』
「お父さん。帰ってきたの。」
料理していたことも忘れ玄関に駆け出す。
「あら、ごめんなさいね。お父さんじゃなくて。」
「お、お母さん。どうして帰ってきたの。私とお父さんを捨てたんじゃなかったの。」
母は、手を頬に当て傾げる。
「侵害しんがいね、お父さんを捨てるわけないじゃないの。あなたと暮らすと言ったから別居してただけよ。今でも愛しているわよ。」
『ジュュュュュュ』
「あ、朝ごはんが。」
台所に駆けて行く娘を見ながらリビングに上がる。
「郁ちゃん、もうお父さんに関わらないで。あなたと一緒にいる人は不幸になるの、六年前もそうだった。」
台所からリビングに戻ってきた郁は、うつむきながら母の前に戻ってきた。
「ごめんなさい。でも、今度こそ大丈夫だから。」
「郁ちゃん、もうチャンスなんてないのよ。お父さんとの契約なの。今日から、私とお父さんが一緒に暮らすの。あなたは、もうお父さんと一緒にいれないのよ。残念だけどもうあなたは一人、お父さんの荷物を整理したら出て行ってあげるからじゃあね。学校には行きなさいよ、いつも自分で儲けているんだから。」
母は、そう告げると二階に駆け上がって行った。
鞄を持ち上げ郁は通学路に俯き加減にとび出した。
『キーンコーンカーンコーンキーンコー・・・』
「速水さん、ちょっと残ってくれない。」
「うん、大丈夫。」
『クスクス』
『クスクス』
「ならよかった。ちょっと待っててね。」
郁は、クラスを仕切っている女生徒が教室を出て行くのを眺めているとすぐに戻ってきた。
「やぁ、速水さん昨日ぶりだね。言いたいことがあるんだ。」
「なに。」
顔をうつむかせ頬を赤らめる郁は、言葉が出てこない。
「速水さん、君占い得意なんだって、噂になってるよ。僕も占って欲しいなって。」
「何を・・・。」
「ストーカーがいないかだよ。最近よく同じ女と会うんだよ。君は知らないかい。」
少年は、顔を歪ませほくそ笑んでいる。
さらに、周りから冷ややか目や微かな声も聞こえる。
少年の表情を見た郁は鞄を忘れ走り出す。
(ばれてたんだ。やっぱりやりすぎていたんだ。初めての感情にやりすぎていたんだ。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。・・・)
学校から逃げ出した郁は気づけば海が下に見える崖に立っていた。
「あぁ、もう嫌だ。こんな世界、いたくない。身を投げ出せば楽になるかもしれない。そういえばいつも私は一人だったな。ハハ、もう飛び込んでしまおう。」
『ブォォォォォォォン』
「どうしたんだい、そんなところに突っ立て。」
「え、あなたは昨日のバイクの・・・。私の事は放っておいてください。」
郁は崖の下に向かって身を乗り出そうとする。
その行動にバイクの男はすぐに察する。
「俺のせいで君を追い詰めてしまったんだね。すまない。だから、こっちにきてくれ。」
(今まで誰も見向きもしてくれなかった。もしここで手を取れば一緒にいてくれるかもしれない。)
「うん、分かった。もう私には、なにもないのだからずっと一緒にいさせてね。」
「あぁ、分かったよ君の大切なものを奪ってしまった俺に責任があるんだ。いつまででも俺を頼ってくれ。」
そういって、バイクの男が郁の手を取った瞬間に郁は男と一緒に身を投げ出した。
そして、二人の行方は誰にも分らなくなってしまった。
そう、あの崖に飛び込んだ二人以外には・・・・
「あぁ、ありがとう。すまないね、こんな占いをさせてしまって。」
まだ働き盛りだろうと見える男性は、顔を真っ青に変えうな垂れている。
「いえ、もうかれこれ十年やっていますので慣れております。」
「そうか、君も大変なんだな。すまないね、ありがとう。」
男は、薄暗くなった夜道をトボトボと歩いて行く。
「今日もこれで終了か。もう、やめ」
「終わったのか、よし飯を食べに行くぞ。」
男の声が占っていた娘のつぶやいた言葉をかき消す。
「うん、分かったよ父さん。何を食べに行くの。」
「おまえの好きなところでいいぞ、どこがいい、郁。」
郁と呼ばれる少女は、少し頭を悩ませ口を開く。
「じゃあ、久しぶりにお寿司がいいな。」
「おお、いいぞ連れてってやる。早く着替えてこい。」
郁の父は、豪快に口を開けにこやかに笑っている。
すぐさま、自室に駆け込み巫女服から私服に着替える。
郁が玄関に向かうと父が車を出し待っていた。
「ごめん、時間かかっちゃった。」
「まぁもう十六歳なんだから、おめかしにも時間がかかるんだろ。そのくらい気にするな!」
「あ、ありがとう。でもさ、やっぱり今日はお寿司やめない。」
郁は煙草を吸うか悩んでいる父に問う。
父は、一旦煙草をしまうと車のミラー越しに娘を見つめる。
手をもじもじさせ彼女は、続きを言おうとしない。
車内に、沈黙が流れる。
「何があったんだ、言ってみなさい。」
「今、占ってきたのそしたら高校で好きな男の子がくることが分かったの、だから。恥ずかしくて。」
「なんだ、そんなこと本当は行きたいんだろ。少しでも気にかけてもらえるように頑張れ。じゃあ寿司屋にいくぞ。」
運転席に座っている男は、顔をニヤつかせ目的地へとハンドルをはしらせる。
後ろの席に座っている少女は、うつむいてじっとしている。
目的地に着くと目的の少年が立っていた。
「やぁ、速水さん。こんばんは、それにしても最近よく会うね。」
「そ、そうだね。この前もデパートであったね。偶然って重なるものだって言うしね。」
必死に身振り手振りで言い訳をする郁を見て、後ろに立っていた父が笑い声をこぼす。
それにつられ、また少年もニコリと微笑む。
一方では、顔を真っ赤に染め上げている少女もいる。
数分間話こんだ二人は手短に挨拶を交わす。
「じゃあまた明日、学校で。」
「うん、また明日。」
二人の、微笑ましい会話を聞いていた父は、うれしく思っていたが表には出さなかった。
食事を終えにこやかに微笑みながら話す二人に、忍び寄る二つの影が後ろに立つ。
「お父さんごめん、ちょっとお手洗いに行ってくる。車で待ってて。」
「あぁ、分かったよ。早くしろよ。」
「は~い。」
父が車に戻ろうと歩いていると、
「ねぇ、速水さん。」
「はい、なんでしょうか。」
呼び止められそろりと振り向くと二人の女性が立っていた。
二人の女性に対面している男は、声が出なかった。
「駐車場に来てもらえる。」
「はい、分かりました。新田さん、鈴屋さん」
背中に小さな小型ナイフを当てられていては断ることは出来なかった。
新田と鈴屋に前と後ろを挟まれ駐車場の車も止められていない隅に連れてこられた。
「なんですか、昔の件はもう決着がついたじゃないですか。」
「その件ならもういいわ。私達は納得いかないけどね。」
新田や鈴屋は、郁の占いに勝手に被害者だと言い出し組合を作ったリーダー達だ。
「今日、あなたの娘さんの占いに行った西垣さんがいたの。娘さんの占いでガンで亡くなることが判明したわ。誰でも突然の死には耐えれないものなのよ、だから会うたびに言っているでしょう、もっとオブラートに包んでって。」
「僕は、言っています。昔は頑張ってオブラートに言っていました。けれど郁は、おかしくなってしまった。まだ、小学生だった郁には、耐えれなかった。」
「でも、もう高校生でしょ。なら、もう精神的には大人になってるでしょう。だから大丈夫よ。」
新田は、懇願するように訴えてくる。
なぜか、鈴屋は小型ナイフを見てニヤついている。
「僕は、また悩んで苦しんでいる郁を見たくないんだ。」
悲しそうに二人の顔を見る父を郁が見つける。
「なんで、その二人と・・・」
この駐車場の隅は、壁によって見えづらくなっている。
そしてそこに、バイクが突っ込んできた。
『ブォォォォォォォン』
『キュィィィィィィィィィン』
「きゃぁぁぁぁぁ」
新田や鈴屋は声をあげる。
声にならない声をあげている郁の後ろから来たバイクは悲鳴をあげて倒れる。
新田と鈴屋を押し倒しかばった父は体を真っ赤なもので染まっていた。
さらに、鈴屋を押し倒したことにより手から滑り落ちたナイフが胸を刺している。
「お父さん、お父さん、起きてよ、起きてよ、ねぇ、お願い、お願いったら。」
「どうせ、占いで分かってたんでしょ。しらない振りして食べたいものを食べてあなたがお父さんを殺し
たのよ。私達知らないからね。」
そくさくと逃げようとした二人を郁は、捕まえる。
「私のせいじゃない、あなた達のせい。お父さんを助けてよ。早く助けてよ。」
「あなた自慢の占いで何とかしなさいよ。」
「占いで占って出たことは変わらないし、結果も操作できないの。占って死の結果が出たら嫌なの。だから、だから、助けて。」
二人にすがろうとするが、二人は必死に逃げて行った。
バイクに乗っていた男が突然立ち上がる。
盛大に吹っ飛んだはずの男性はなぜか無傷だ。
「す、すまない。今すぐ救急車を呼ぶ。」
数分後、救急車に乗りこみ病院にバイクの男と父と乗り込む。
病院で数分間会話もなくバイクの男と父を待つ。
(私は、知っていた。父に危険が及ぶことを、けどこんなにも大きなことだとは思わなかったんだ。やっぱり、新田さんと鈴屋さんの言うとおりだ、梶谷かじや君と会うためだけに父を見捨てた。やっぱりお母さんの言うとおりだったんだ。私は、呪われた子なんだ。)
「か、郁、安心しろ、父さんは大丈夫だ。数日病院にお世話になるくらいだから。楽しく学校に行っていつもの日常生活を送ってくれ。」
「うん、分かったよ。いつも通りにするよ。父さんには心配かけさせない。」
突然膝を地面につけ倒れこんだ父を見て郁は駆け寄る。
「もう心配しないで体を治すためにしっかり寝てて。」
「そうさせてもらうよ。すまないな、郁。」
必死に足動かし病室に戻るこじんまりとしてしまった背中を悲しげな表情で見守ってから病院を後にした。
「おはよう。」
階段を駆け下りリビングに顔出すが返事が返ってこない。
「あ、そうだった。昨日お父さんは・・・」
俯きながら朝食の準備を始める。
『ガチャ』
「お父さん。帰ってきたの。」
料理していたことも忘れ玄関に駆け出す。
「あら、ごめんなさいね。お父さんじゃなくて。」
「お、お母さん。どうして帰ってきたの。私とお父さんを捨てたんじゃなかったの。」
母は、手を頬に当て傾げる。
「侵害しんがいね、お父さんを捨てるわけないじゃないの。あなたと暮らすと言ったから別居してただけよ。今でも愛しているわよ。」
『ジュュュュュュ』
「あ、朝ごはんが。」
台所に駆けて行く娘を見ながらリビングに上がる。
「郁ちゃん、もうお父さんに関わらないで。あなたと一緒にいる人は不幸になるの、六年前もそうだった。」
台所からリビングに戻ってきた郁は、うつむきながら母の前に戻ってきた。
「ごめんなさい。でも、今度こそ大丈夫だから。」
「郁ちゃん、もうチャンスなんてないのよ。お父さんとの契約なの。今日から、私とお父さんが一緒に暮らすの。あなたは、もうお父さんと一緒にいれないのよ。残念だけどもうあなたは一人、お父さんの荷物を整理したら出て行ってあげるからじゃあね。学校には行きなさいよ、いつも自分で儲けているんだから。」
母は、そう告げると二階に駆け上がって行った。
鞄を持ち上げ郁は通学路に俯き加減にとび出した。
『キーンコーンカーンコーンキーンコー・・・』
「速水さん、ちょっと残ってくれない。」
「うん、大丈夫。」
『クスクス』
『クスクス』
「ならよかった。ちょっと待っててね。」
郁は、クラスを仕切っている女生徒が教室を出て行くのを眺めているとすぐに戻ってきた。
「やぁ、速水さん昨日ぶりだね。言いたいことがあるんだ。」
「なに。」
顔をうつむかせ頬を赤らめる郁は、言葉が出てこない。
「速水さん、君占い得意なんだって、噂になってるよ。僕も占って欲しいなって。」
「何を・・・。」
「ストーカーがいないかだよ。最近よく同じ女と会うんだよ。君は知らないかい。」
少年は、顔を歪ませほくそ笑んでいる。
さらに、周りから冷ややか目や微かな声も聞こえる。
少年の表情を見た郁は鞄を忘れ走り出す。
(ばれてたんだ。やっぱりやりすぎていたんだ。初めての感情にやりすぎていたんだ。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。・・・)
学校から逃げ出した郁は気づけば海が下に見える崖に立っていた。
「あぁ、もう嫌だ。こんな世界、いたくない。身を投げ出せば楽になるかもしれない。そういえばいつも私は一人だったな。ハハ、もう飛び込んでしまおう。」
『ブォォォォォォォン』
「どうしたんだい、そんなところに突っ立て。」
「え、あなたは昨日のバイクの・・・。私の事は放っておいてください。」
郁は崖の下に向かって身を乗り出そうとする。
その行動にバイクの男はすぐに察する。
「俺のせいで君を追い詰めてしまったんだね。すまない。だから、こっちにきてくれ。」
(今まで誰も見向きもしてくれなかった。もしここで手を取れば一緒にいてくれるかもしれない。)
「うん、分かった。もう私には、なにもないのだからずっと一緒にいさせてね。」
「あぁ、分かったよ君の大切なものを奪ってしまった俺に責任があるんだ。いつまででも俺を頼ってくれ。」
そういって、バイクの男が郁の手を取った瞬間に郁は男と一緒に身を投げ出した。
そして、二人の行方は誰にも分らなくなってしまった。
そう、あの崖に飛び込んだ二人以外には・・・・
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