ドラゴン騎士団

カビ

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特訓

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   しばらくして皆少し心が落ち着いたのか、村の人々は壊れた家々の修復に取り掛かっていた。
手伝いが終わった僕は走ってステラの家を尋ねた。家に着くとドアをノックする。すると、部屋の中から返事が聞こえてきた。
「あら、フリッグ。随分と速い再会ね?どうしたの?」
「ライダーがこの村に来たんだ!君は見た?」
「え?いや、見てないわね。ちょっと色々書き物してたから。ごめんなさい。ねぇ、なんか村の方、騒がしくなかった?」
「そ、そうなんだ。えっとリントヴルムがこの村に……。」
「リントヴルムが?変ね、本来砂漠や山岳、山脈とかの厳しい環境で暮らすのに。ところで、大丈夫だった?怪我とかしてるなら……簡易的な治療なら出来るから。」
「うぅん。ライダーが助けてくれたおかげで皆無事だよ。」
「なら良かった。そっかぁ、ライダーかぁ。王国で仕事をしているからライダーやドラゴン達をよく見かける、いやいつも見かけるんだけど、主戦力は基本ドラゴン騎士団だから、歩兵はあまり遠征に行かないのよね。でもここは滅多に野生動物含めて襲撃に遭うことがないから、ドラゴン騎士団が民を護ってるところは滅多に見られないのよ。」
「へ~。僕、ライダーになりたいな。」
「ライダーになるにはドラゴンに選ばれないと。」
「そうなんだ。はぁ……僕は弱いからきっと選ばれないな。」
「そんなことは無いわ。例え弱くても、ライダーになればそれ相応の強さが着く。だから弱さなんて関係ない。」
「でも本当に僕は弱いから……。」
「そこまで言うなら、私と特訓する?」
「え?」
「来て。」
   森の中に入っていくと、木々が少ない少し拓けた所に来た。
「ここ、私が小さい頃いつも特訓してたところ。」
ステラは手頃な枝を拾うと、腰から筒のようなものを出すと、それがナイフに変形して余分な分を剥いだ。そしてそれを僕に投げた。
「いてっ。」
「あぁごめんね。ついいつもの癖で。」
枝を拾いながら言った。
「癖?」
「仲間と手合わせする時に木剣をこうして投げて渡すの。その方が手早く始められるし、反射神経と動体視力の向上にもなる。」
「へ~。」
「それじゃ始めましょ。」
「え?いきなり?やり方とかは?」
「習うより慣れろ。」
「ちょ、ちょっと!?」
ステラは容赦なく先手を打ち、僕の腕を打った。
「いった!」
「はい、1本。そうね、こうしましょうか。私に木剣が1度でも当たればあなたの勝ち。」
「そんなの出きっこないよ。」
「出来る。女の私が出来たんだから。……半ば無理矢理連れてきちゃったから特訓は任意でいいわ。でもやると決めたらとことんあなたに叩き込むからね。」
「僕は、強くなりたい。」
「そう来なくっちゃ。」
それから僕は毎日ステラの元を訪れては一緒に特訓した。習うより慣れろと言った割には手合わせ中に無駄な動きの指摘や、持久力が保たれる動き等を教えてくれた。

   なんだかんだ数ヶ月が経つと、リントヴルムに襲われた村はもうすっかり元通りになっていた。
僕は手合わせ前の木剣のキャッチをできるようになっていた。
「上手くなったんじゃない?」
「ほんと?ステラのお陰だよ。」
まだまだステラの動きには着いて来れないけど、初心者の動きに合わせた動きなら着いてこれるようになった。
   そんなある時のこと、家畜の調子が悪く夜遅くまで面倒を見ていた。
「最近見ねぇなぁと思ったら。」
聞き覚えのある声。ずっと僕を虐めていた奴らだ。
「どうだい?いい加減金貨は用意できたのか?」
今までの僕なら焦って、怯えて許しを請うだろう。でも僕はあの時の僕じゃない。
「普通に考えて、短期間で少なくとも銀貨10枚でも稼ぐには城下町とまでは行かなくとも最低でも街で商売をしなきゃいけない。自給自足がほとんどの村暮らしじゃ無理だ。稼げてやっと銅貨1枚くらいだ。」
お金は錫貨100枚で銅貨1枚。銅貨100枚で銀貨1枚。銀貨100枚で金貨1枚分だ。金貨が限界の値である。
金貨を稼ぐには街で商売をするのでさえ厳しい。城下町で4、5枚稼げるくらい。聞いた話によるとドラゴン騎士団の精鋭部隊は年に約金貨50枚稼いでるらしい。
「生意気な口利きやがって。」
「あと、静かにしてくれないかな。家畜の調子が悪いんだ。」
「家畜なんかどうでもいいだろ。どうせいつも新しく産まれんだからな。」
「君たちは育てたことがないからそう言えるんだろうね。愛情をたっぷり注いだ家畜は質のいい素材を提供してくれる。鶏なら卵を。羊なら体毛を。牛ならお乳を。彼らのおかげで僕達村人は生き永らえる。君たちみたいなか弱い人ばかりを標的にするどうしようもない屑も含めてね。」
すると1人が僕をいきなり殴った。でも今まで木剣キャッチで培ってきた反射神経と動体視力のおかげで簡単に回避することが出来た。
「は?ちっ、てめぇ舐めやがって。」
ここで騒ぐと動物達にストレスだ。早めにけりをつけよう。
ステラから教わった通りにやってみると、簡単に返り討ちにすることが出来た。
「クソっ、なんなんだこいつ!」
「覚えてろよ!」
そう捨て台詞を言い放つと去っていった。
冷静であったが、内心このことを早くステラに伝えたくて仕方がなかった。もう助けてもらわなくて済む。自分で守れる。
流石に夜更かしして面倒を見ていたため、家畜小屋でそのまま寝てしまった。
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