ドラゴン騎士団

カビ

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城下町

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   僕達は肩掛けバッグを持って外に出た。
道路には馬車や見回りの兵士が通り、色んなお店に人々が集まっていた。お土産屋さんはドラゴンに関する物ばかりだ。
「そういえば、城下町では素顔知られて大丈夫なの?」
「普通に出かける時は平気だよ。でもドラゴンと一緒にいる時は鎧を身につけるのが鉄則なんだ。でもここだと鎧着てても話しかけられることが多いから、声色や一人称を変えたり、偽名を使ったりする。」
「へ~。」
   僕達は色んなお店を見て回った。中には本物のワイバーンやリントヴルムの頭蓋骨やドラゴンの鱗、レプリカの騎龍晶アクセサリー、ドラゴンの卵のレプリカ、ぬいぐるみと言った様々なものが売っていた。
   しばらく回ってランチにした。凄い、冬じゃないのにお肉が出る。村では自給自足だから不思議だ。それにとっても美味しい。
「オイラ、実はここ産まれなんだよね。」
「え?そうなの?」
「うん。母さんがギャンブルに浸かって、借金だらけになったんだ。それでオイラと一緒に逃げ出した。まぁ結局母さんは殺されちゃったけどね。自業自得だよ。」
「君のお母さんは好きじゃないの?」
「まさか!オイラをほおっておいてギャンブルをしたりブランド物ばかり買って……大っ嫌いだよ。」
「そっか……お父さんは?」
「父さん?さぁ?産まれた時には既にいなかったよ。死んだとは言われてないから多分どっかで旅とかしてるんだと思う。」
ランチをしながらサンドラと色んな話しをした。そして国から支給されたお金の1部を使ってお土産を購入した。サンドラとお揃いのストラップだ。バッグに付けようと思う。そして夕方となり、城に戻った。

   「ふー、楽しかった~。」
「うん。サンドラ、誘ってくれてありがとう。僕も楽しかったよ。」
「だろぉ?さてと、そろそろ夕食の時間だ。食堂に行こう。」
ライダーのフロアにはそれぞれ食堂がある。僕達は見習い生のため、料理は無料だ。
   夕食を終え、風呂も済ますと寝る準備も済ませてベッドに横になった。
「……眠れないな。」
正直、まだ信じられなかった。だって一昨日まで僕は村暮らしをしていたのに、いつの間にかこんな賑やかな街に来るなんて。それもライダーとして。
僕はしばらくぼーっとしていると、起き上がって着替えた。ステラに会いに行こうと思ったのだ。きっとびっくりするだろう。
   僕は小さめの地図を持ってエリートフロアに向かった。グレイヴは黒龍だからきっと精鋭部隊であると見込んでのことだ。教官は特にエリートフロアには行かない方がいいと言っていたけど、ルールにそんなものは無い。ただ自分の身を守るための忠告だ。
   エリートフロアに入り、陰に隠れて部屋を見回した。見習いフロアなんかよりもずっと豪華だ。真ん中には噴水がある。壁端には大きな暖炉とソファも。流石に寝る時間なのかライダーはあまりいなかった。
もう少し見回すと、角の方に机とセットのソファがあった。そこに見覚えのある人が座っていた。ステラだ。本を読んでる。あの指輪……ヘマタイトの。着けてくれたんだ。
   僕はステラの所に向かおうと1歩前に足を出したが、別のライダーが来たためすぐに隠れた。
「おやおやビッチがこんなところに、お茶でも如何かな?」
ステラは無視していた。
「おい、聞こえてんだろ?無視すんな。」
白い服を来ているから恐らく白龍部隊。ステラはパタンと本を閉じ、溜息をつくと言った。
「薬入ってるだろ。お前さ、ズルして勝って嬉しいのか?お前はそうでもしないと俺に勝てねぇんだろ?」
俺?ステラって一人称俺だったっけ。
「ちっ、おめぇは女の癖に生意気なんだよ。後から来た癖に俺の地位を奪いやがって。このクソ野郎が。」
「知らんよ。大体お前見習い生が新しく入ってバーラットが自主特訓してろっての無視して遊びほおけてるだろ?勝つ気あるのか?」
「危ない!」
突然ナイフが飛んできた。それが白龍部隊のライダーが持っていたお茶のコップに直撃し、割れてお茶でビッチョビチョになっていた。それを見たステラは大笑いした。
「シーブレンダー!!てめぇまたナイフでジャグリングしやがったな!?後で表来やがれ!」
「ルイス!ごめんごめん!」
と、笑いながら謝った。同じ白龍部隊のようだ。すると、ステラは立ち上がった。
「それじゃあ俺はそろそろ寝る。精鋭部隊司令官決戦でお前がどんな醜態を晒すのか楽しみで仕方ない。去年は頭から壁に突っ込んでたな~あれは本当に面白かった!」
ルイスと呼ばれるライダーは明らかに苛立っていた。そしてステラが歩き出した後に言い放った。
「お前の親父はダッセェ死に方したけどな。赤龍部隊のリーダーが、それも精鋭部隊司令官がバカみてぇな死に方してんなぁって初めて聞いた時思ったわ。いや、白黒龍を差し置いて赤龍だからなるべくしてなったのかもな~。」
それを聞いたステラは立ち止まった。流石に……やばいのでは?
真横を何かが勢いよく横切り衝撃音が鳴り響いた。見ると、ルイスが壁に座ったまま倒れ込んでいた。壁にはヒビが入ってる。ステラを見ると、見た事のない姿に変貌していた。目は真っ赤に燃え、グレイヴと全く同じ翼に角、手足、尻尾が付き、角の間には紅い1本の結晶が突き出ており、まるで三本角があるように見える。
「ちっ、痛ってぇ!」
ステラはルイスに飛びかかって踏みつけた。
「貴様!!仲間の死を嘲笑うとはとんだくず野郎だな!?なんでこいつが未だに騎士団をやってるのか不思議でならない!もう我慢の限界だ!」
ステラはあの槍を取り出した。すると刀身が青紫色に燃え上がった。流石にルイスは焦っているようだった。
「ステラ!!」
そう叫んだのは赤い服を来ている少々歳をとったライダーだ。ステラの肩に手を置く。ステラはハッとするように彼の方に向いた。
「……。」
「落ち着きなさい。」
「こんなやつ生かしておく価値なんか。」
「気持ちは分かるが、そのためにお前が悪者になる必要は無い。」
「……分かった。」
ステラはルイスから離れると、生えていたあのドラゴンの体の一部は吸い込まれるようにして消えた。そして、集まって来ていた他の黒龍部隊を見て、軽く会釈すると黒龍部隊専用部屋に入っていった。彼等はルイスを睨みつけた。ルイスはと言うと、他の白龍部隊に助けられていた。彼らもまた、黒龍部隊を睨んでいた。そしてあの歳をとったライダーがルイスに向かって言った。
「恥を知れ。」
ルイスは舌打ちをすると、白龍部隊専用部屋に入っていった。
   なんか、嫌な所を目撃してしまった。はぁ……戻ろう。
「小僧、そこで何をしている。」
歳をとったライダーが言う。
「え?僕?」
「お前以外に誰がいる。」
やばい、バレた。
「ちょっと……気になって。ごめんなさい。」
「ったく。バーラットから見習い生はここには来るなと言われなかったのか。」
「言われました。会いたい人がいたので。ルールは無いので大丈夫かなと。」
「あぁ。だが、精鋭部隊はプライドが高い。特に白龍部隊と黒龍部隊はな。他の奴らに目を付けられる前に去れ。」
「はい、今去ります。」
「それと、会いたい人とは誰だ?」
「えっと……ステラに。」
「……何故彼女のことを知っている?」
「ステラが休暇中に……」
しまった!言ってしまった。や、やばい。
グランクは片手で頭を抱えた。
「あの馬鹿が。後できつく言っておかねば。もういい、去れ。」
「ステラは悪くないんです!僕が、冬を越すために狩りをしていたら、たまたま……。」
「たまたまで許されるなら、今頃誰も殺されてない。」
そう言うとグランクも赤龍部隊専用部屋に入っていった。
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