回避とサイコとツトム外伝~ゾムビー~

時田総司(いぶさん)

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第四十九話 展望

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身体は口を開く。

「グングニルが少しだけ使える様になったんだったな?」

「何!? それは本当なんだい?」

間髪入れずに逃隠が反応する。

「あ、はい。少しだけですが……」

主人公はやや自信なさげに答える。

「なら、第2訓練場に移動だ! ツトムの状態を見ておきたい」

3人は第2訓練場に移動した。

移動する最中、主人公の心中は、

(大丈夫かなぁ。期待外れって言われたらどうしよう……)

更に自信が無くなっている様だった。



訓練場に着いた。

「さあツトム、やってみるんだ」

身体は主人公に言う。

「ハ、ハイ!」

「ギュッギュッ」

作り直した手袋を手にはめ、集中し始める主人公。



(皆を……守る……皆を……守り抜く)



「グングニル!」





「ブワッ」





主人公の両手が見えなくなる程度の、虹色の光が発生した。

(こ……この前よりも大きな光だ……!)

少し集中力が途切れる主人公。



そして――、

「シュゥウウン」

光りは消えていった。

「最後に気を抜いたな? ツトム」

身体は見抜いていた。

「あ……はい、ごめんなさい」

謝る主人公。

「まぁいい、ギリギリ合格だ」





「! ! !」





身体の言葉に喜びを隠しきれずにいる主人公。



「や……やった!!」



喜びを言葉にする主人公。

「へへ、やったんだい」

逃隠は鼻をこすりながら言った。

「さて、二人とも。ここで重大な話がある」



「!!」

「!?」



身体の突然の言葉に、驚く主人公と逃隠。

「これからの対ゾムビーの対応だが……」

(そ……そうだ。石を集める時にゾムビーと遭遇したら、どうするんだろう……?)

主人公は疑問を抱く。身体は口を開く。



「捕獲……」



「!!」

「!?」



「捕獲しろ、と……hunter側から指示があった」

主人公は問う。

「捕獲って……どうやって捕獲するんですか!? それに! 捕獲してどうするんですか?」身体は答える。

「どうやって……方法はまだ、決め兼ねている状態だ。捕獲した後は……石同様、ロケットで宇宙に飛ばすそうだ」



「! 倒すよりも難しいじゃないですか!?」



主人公は強く言う。

「そうだな……だが、石は返す、しかしゾムビーは倒す、では和解とは言えないのではないか?」

「! そ……それは……」

「だい……」

身体の言葉に、何も言い返せない主人公と逃隠だった。



「しかしな、二人とも」

身体が再び口を開く。

「今回の作戦が完全に遂行された時、ゾムビー達との戦いも完全に決着がつく、と俺は考えている」

「ゾムビー達との戦いが……」

「完全ニ……」

主人公と逃隠は口々に言う。

「そうだ。ゾムビーの脅威が無くなり、平和が訪れる」

「平和ガ……」



(回想)

「あはははハ!!」

ダッヂと一緒に、緑生い茂る野原を走り回る幼き頃の逃隠。

「ははハ!!」

「ワン!!」

今度は野原に寝転び、じゃれ合う二人。

「ペロペロ」

「こラッ! くすぐったいゾ、ダッヂ!」

ダッヂは逃隠の頬を舐めている。

「くかァ――」

「ぐぅぅうう」

(回想終了)



(ダッヂ)

グッと拳を握る逃隠。



「平和……」



(回想)

「よし!」

急に立ち上がる尾坦子。

「?」

続いて笑顔で言う。

「好きです、付き合って下さい」



「ひしっ」

尾坦子は急に主人公を抱きしめた。

「えへへ。ずっとこれがしたかったの」



「尾坦子さん……」

主人公は涙を拭いそれに応えた。

「?」

不意に顔を近付ける尾坦子。





そして――



二人の唇は重なった。



「! ! !? ! ! !?」



ゆでだこ状態の主人公。

「えへへ。ゾムビーじゃなくなったから、こんなコトもできちゃう。ありがと、ツトム君」

(回想終了)



(尾坦子さん……もう二度とゾムビーの被害者にさせない……!! いや、誰一人として、ゾムビーの被害者にはさせない!!)

主人公も決意を新たに拳を握る。

「さて、ゾムビー捕獲の方法について考えてみよう。まず、ゾムビーを弱らせる電波が送れる機械を使おうと思う」

(尾坦子さんが被験体となって研究された、あの電波を……!)

身体の言葉に、思いを巡らせる主人公。

「その次だ。電波で弱らせた後、どうするか……」





「は――イ! ハイは――イ!」





身体に対して、手を上げて反応する逃隠。

「どうした? サケル」



「コレだい!」



逃隠は、自身の着ている特殊スーツを指差した。

「ん?」

顔をしかめる主人公。

「スーツ……そうか!」

何かに気が付く身体。

「ゾムビーの体液を防ぐスーツの素材を使い、ゾムビーを覆うか何かして捕獲するんだ!」

「だい!」

「! (サケル君にしては名案だ! だいぶ失礼だけど……)」

主人公は気を使いつつ思う。

「そうと決まれば、製造ラインに連絡だ! 特殊スーツと同じ素材の紐と、ゾムビー1体包めるくらいの袋を、大量生産させよう!!」



即座に連絡は行き渡り、製造ラインは紐と袋を生産し始めた。



「さて、N州支部へ、今後の活動方針を連絡しよう」

「ピピピッ」

身体は携帯を使って連絡する様だ。

『もしもし、狩人、副隊長だ』

『oh! どうしマシタか?』

N州支部の者が電話に応対した。

『ゾムビー捕獲の件だが、こちらの活動方針を伝える。まずゾムビーを弱体化させる電波を使う。そしてゾムビーの体液を防ぐ素材で紐や袋を作り、それで捕獲して行く事と決めた』

『そうデスね。こちらも同じ様な策を考えてマシタ。マサカ、そちらがこの方法を思いつかないとは思いませんデシタので、敢えて連絡は送りませんデシタが』

『! (……いちいち癇に障るヤツだ)分かった。今言った方針で活動を行っていく』

身体は怒りを抑えて、冷静に応じた。

『了解デス。要件は以上デスか?』

『ああ、以上だ。それでは』

『goodbye』

「ピッ」

身体は電話を切った。

「ふぅ、向こうの承諾も得た様だし、あとは紐や袋が揃ったら再び向こうへ連絡し、一番近くにある石を入手しよう!」

「ハイ!」

「だい!」

身体に受け答える主人公と逃隠。

「さて、今日はもう帰っていいぞ? 特殊な素材のモノだ。数時間で揃うものではないからな」

「分かりました」

「了解だい!」





「ウィ――ン」

主人公は狩人ラボを出る。

(捕獲……困難なミッションになるだろうけど、スマシさんの為にもやるぞ……僕はやるんだ)

主人公は決意を新たに、戦いへ臨む。



その頃、宇宙では――。

『サテ、人間達ハ我ラノ申シ出ニ応エテクレルダロウカ? 同胞達ヨ』

「ゾゾォ」

「ゾム」

ゾムビーの親玉が、ゾムビー達と会話をしていた。

『……。ソウダナ、現ニ“石”ヲ3ツ、返シテモラッテイルシナ。シカシドウダロウカ? 同胞達ヲ捕獲シ、コチラヘ送ル、コレホド難シイコトハナイダロウ……』

「ゾムソム」

「ゾォ」

『コノ要請ガ通ルト、ヨウヤク我ラト人間達トノ“和解ノ道”トイウモノガ見エテクルダロウ。果タシテ人間達ガ、ドレホドノ事ガ現実可能カ、見モノダナ』
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