ただΩというだけで。

さほり

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監禁

12.

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  木曜日、乾は電車で千葉に向かっていた。
  C大学での講演会のため、河野が午後までそちらにいると、今朝彼の助手から直接聞きだしたからだ。

  津田が行方不明になった火曜の午後以降、乾の方からは3度河野にメールを送ったが、返信はなかった。電話も何度かかけたが、助手が
「教授にはお伝えしています。お忙しい方ですので、ご理解ください」
  と言うばかりで、河野本人とは全くコンタクトがとれない。

  これはもう意図的に避けられているとしか考えられない、そう思った乾は、職員が出勤する朝早い時間を狙って、T大薬学部の研究棟の前で待ち伏せたのだ。

  昨日、軽井沢の河野の別荘で、津田がそこに監禁されているイメージを膨らませたせいだろうか。乾の中にも、この件には河野が関わっているという確信のようなものが芽生えていた。

  詳しい事情は知らないが、佐伯は始めから河野の関与を疑っていた。乾が病院に問い合わせていた火曜の夜の時点で、河野の調査を興信所に依頼したと聞いた時には、その迅速さに驚いた。彼はきっと、自分の知らない津田と河野の確執を知っているのだろう。

  研究棟に入れなくても、その入り口で出入りを見張っていれば、河野を捕まえられるだろう。彼が毎日大学に顔を出しているかは知らないし、運悪く休暇や出張という可能性もあるが、何もせずにオフィスにいることなどもはやできなかった。
  津田の発情は、今日にも始まるかもしれないのだ。

  河野に監禁されているとしたら、おそらく抑制剤ピルは飲ませてもらえないだろう。
  発情した津田に、河野が触れる。
  それだけでも耐え難い。
  そして、そのままつがいに、河野のものにされてしまう。
  それを想像すると、怒りと焦燥で叫び出しそうだった。


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