404 / 417
終章
5.
しおりを挟む
「ホントに…… 律もう起きて来っから…… 」
発散できない火をいたずらにつけられても困る。津田が目を逸らして、今は乾の下着に包まれている自身の位置をさりげなく直すと、彼は眼鏡の奥の目を細めた。
「なんか、いいなこれ。俺の服着てる津田さんってすごい…… 脱がせたくなります」
「言ってること矛盾してんだろ」
「してないと思いますけど。性的に興奮するって意味ですよ?」
「わざわざ言うな!わーってるよそれは!」
なんなら今脱いで返すけど、と言うと、乾はコーヒーの香りのする口の端を上げた。
「今日はそれ履いててください。それで…… そうですね、律君のお昼寝の時にでも、返してもらいますから」
「それって…… 」
意図を図ろうと顔を上げると、乾は反応を楽しむような目で津田を見つめていた。とはいえ、完全に冗談というわけでもないことは、その視線に宿る温度で感じられる。
「お前さ、なんつーかもっと、淡白なやつかと思ってたよ」
職場で見る彼は、冷徹な鉄面皮で体温を感じさせない。自分が彼に熱烈に求められ、その熱を何度も体内に受け入れることになるなんて、想像もできなかった。
「俺も、そう思ってました」
長い間、性を研究対象としか捉えていなかった、自分の生殖本能を嫌悪していたと、以前聞いたことがある。その乾の笑顔に、淡白ではない自分に気づいたことが嫌ではないんだなと、津田はとりあえず安心した。
「昨夜、津田さん抑制剤飲んでたんですね」
「ん?…… あぁ」
「漁ったわけじゃないんですけど、今朝見たらゴミ箱にPTPが捨ててあったので」
抑制剤はPTPシートと呼ばれる包装容器に、七錠一列で個包装されている。市販薬と同様に銀紙の部分に商品名が印字してあるそれを見て、乾が気づかないはずはない。
「昨日、お前が風呂行ってる間に飲んだ」
もちろん避妊薬としてだ。
乾は微笑んだまま目を伏せ、「よかったです」と呟いた。
発散できない火をいたずらにつけられても困る。津田が目を逸らして、今は乾の下着に包まれている自身の位置をさりげなく直すと、彼は眼鏡の奥の目を細めた。
「なんか、いいなこれ。俺の服着てる津田さんってすごい…… 脱がせたくなります」
「言ってること矛盾してんだろ」
「してないと思いますけど。性的に興奮するって意味ですよ?」
「わざわざ言うな!わーってるよそれは!」
なんなら今脱いで返すけど、と言うと、乾はコーヒーの香りのする口の端を上げた。
「今日はそれ履いててください。それで…… そうですね、律君のお昼寝の時にでも、返してもらいますから」
「それって…… 」
意図を図ろうと顔を上げると、乾は反応を楽しむような目で津田を見つめていた。とはいえ、完全に冗談というわけでもないことは、その視線に宿る温度で感じられる。
「お前さ、なんつーかもっと、淡白なやつかと思ってたよ」
職場で見る彼は、冷徹な鉄面皮で体温を感じさせない。自分が彼に熱烈に求められ、その熱を何度も体内に受け入れることになるなんて、想像もできなかった。
「俺も、そう思ってました」
長い間、性を研究対象としか捉えていなかった、自分の生殖本能を嫌悪していたと、以前聞いたことがある。その乾の笑顔に、淡白ではない自分に気づいたことが嫌ではないんだなと、津田はとりあえず安心した。
「昨夜、津田さん抑制剤飲んでたんですね」
「ん?…… あぁ」
「漁ったわけじゃないんですけど、今朝見たらゴミ箱にPTPが捨ててあったので」
抑制剤はPTPシートと呼ばれる包装容器に、七錠一列で個包装されている。市販薬と同様に銀紙の部分に商品名が印字してあるそれを見て、乾が気づかないはずはない。
「昨日、お前が風呂行ってる間に飲んだ」
もちろん避妊薬としてだ。
乾は微笑んだまま目を伏せ、「よかったです」と呟いた。
1
あなたにおすすめの小説
夢の続きの話をしよう
木原あざみ
BL
歯止めのきかなくなる前に離れようと思った。
隣になんていたくないと思った。
**
サッカー選手×大学生。すれ違い過多の両方向片思いなお話です。他サイトにて完結済みの作品を転載しています。本編総文字数25万字強。
表紙は同人誌にした際に木久劇美和さまに描いていただいたものを使用しています(※こちらに載せている本文は同人誌用に改稿する前のものになります)。
旦那様と僕
三冬月マヨ
BL
旦那様と奉公人(の、つもり)の、のんびりとした話。
縁側で日向ぼっこしながらお茶を飲む感じで、のほほんとして頂けたら幸いです。
本編完結済。
『向日葵の庭で』は、残酷と云うか、覚悟が必要かな? と思いまして注意喚起の為『※』を付けています。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
8/16番外編出しました!!!!!
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭
3/6 2000❤️ありがとうございます😭
4/29 3000❤️ありがとうございます😭
8/13 4000❤️ありがとうございます😭
12/10 5000❤️ありがとうございます😭
わたし5は好きな数字です💕
お気に入り登録が500を超えているだと???!嬉しすぎますありがとうございます😭
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
さよならの向こう側
よんど
BL
【お知らせ】
今作に番外編を加えて大幅に加筆修正したものをJ庭58で販売しました。此方の本編を直す予定は御座いません。
BOOTH
https://yonsanbooth-444.booth.pm/items/7436395
''Ωのまま死ぬくらいなら自由に生きようと思った''
僕の人生が変わったのは高校生の時。
たまたまαと密室で二人きりになり、自分の予期せぬ発情に当てられた相手がうなじを噛んだのが事の始まりだった。相手はクラスメイトで特に話した事もない顔の整った寡黙な青年だった。
時は流れて大学生になったが、僕達は相も変わらず一緒にいた。番になった際に特に解消する理由がなかった為放置していたが、ある日自身が病に掛かってしまい事は一変する。
死のカウントダウンを知らされ、どうせ死ぬならΩである事に縛られず自由に生きたいと思うようになり、ようやくこのタイミングで番の解消を提案するが...
運命で結ばれた訳じゃない二人が、不器用ながらに関係を重ねて少しずつ寄り添っていく溺愛ラブストーリー。
(※) 過激表現のある章に付けています。
*** 攻め視点
※当作品がフィクションである事を理解して頂いた上で何でもOKな方のみ拝読お願いします。
扉絵
YOHJI@yohji_fanart様
(無断転載×)
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
シスルの花束を
碧月 晶
BL
年下俺様モデル×年上訳あり青年
~人物紹介~
○氷室 三門(ひむろ みかど)
・攻め(主人公)
・23歳、身長178cm
・モデル
・俺様な性格、短気
・訳あって、雨月の所に転がり込んだ
○寒河江 雨月(さがえ うげつ)
・受け
・26歳、身長170cm
・常に無表情で、人形のように顔が整っている
・童顔
※作中に英会話が出てきますが、翻訳アプリで訳したため正しいとは限りません。
※濡れ場があるシーンはタイトルに*マークが付きます。
※基本、三門視点で進みます。
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる