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Emmett
6.
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はじめから兄だと名乗らなかったのは、堕天使の姿でそう告げても怪しまれるだけだと思ったからだ。天使は、悪魔や堕天使に本能的な恐怖を覚える。怯えるアゼルを見て、警戒が解けた頃を見計らって本当のことを話そうと思っていた。
それなのに。
(なぜ、バッコスなんかを庇うんだ。栄誉などと……まさか、今でも神を愛しているのか……?)
神に洗脳されているような弟の様子に、エメットは激しい嫉妬と失望を覚えた。
(俺は一日だって、お前を想わない日はなかったのに……っ!)
哀しみにくれて島を飛び去りながら、もう彼に会いに行くのはやめようかとも考えた。けれど、ようやく再び会えた弟を、どうしても諦められない。
島から一番近い陸地で羽を休めていたエメットはふと、頭上に太陽色の果実がたわわに実っているのに気がついた。弟がまだ小さい頃にはおぶって採らせてやった彼の好物だ。
力の加減ができず手の中で実を潰してしまったときの泣き顔。甘い果実を頬張る満面の笑み。ベタベタになった彼の十指を舐めた後に見せた、頬を染めてうつむいた顔。エメットの脳裏に、懐かしい記憶が蘇った。
(アゼル……)
やっぱり愛しい。顔を見たい。声を聞きたい。たとえ弟の心が他の男に奪われていても、エメットはアゼルのそばにいたかった。
彼は翌朝早く、その果実を篭いっぱいに採り、再び弟の元に飛んだのだった。
それなのに。
(なぜ、バッコスなんかを庇うんだ。栄誉などと……まさか、今でも神を愛しているのか……?)
神に洗脳されているような弟の様子に、エメットは激しい嫉妬と失望を覚えた。
(俺は一日だって、お前を想わない日はなかったのに……っ!)
哀しみにくれて島を飛び去りながら、もう彼に会いに行くのはやめようかとも考えた。けれど、ようやく再び会えた弟を、どうしても諦められない。
島から一番近い陸地で羽を休めていたエメットはふと、頭上に太陽色の果実がたわわに実っているのに気がついた。弟がまだ小さい頃にはおぶって採らせてやった彼の好物だ。
力の加減ができず手の中で実を潰してしまったときの泣き顔。甘い果実を頬張る満面の笑み。ベタベタになった彼の十指を舐めた後に見せた、頬を染めてうつむいた顔。エメットの脳裏に、懐かしい記憶が蘇った。
(アゼル……)
やっぱり愛しい。顔を見たい。声を聞きたい。たとえ弟の心が他の男に奪われていても、エメットはアゼルのそばにいたかった。
彼は翌朝早く、その果実を篭いっぱいに採り、再び弟の元に飛んだのだった。
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